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7567風の唄・第2部―第7話―空華1/27 19:35:292031cfugNPyUOK282
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空華1/27 19:35:562031cfugNPyUOK282||380
私は、歩いている。
風の中、少しづつ。
ああもう、前がよく見えない。
この風の中を歩いた昨日は、盾になり、手を引いてくれる大人の人が居た。
でも、今日は私と村長さんだけなんだよね。

私は今、風の丘に向かっている。あの草原ね。
腕には『聖本』を抱えて。
はっきり言っちゃうと、引き受けたこと、ちょっとだけ後悔してる。
だって、身分不相応だって思えてきちゃったんだもん。
ああでも、いまさら断れないよね?
だったら頑張るしかない……よね。
自己完結。

「……フィナ?」
「……えっ?はい?えっと、何か言いましたか?」

村長さんの声で、私は思考から我に返った。
少し慌てる。

空華1/27 19:36:172031cfugNPyUOK282||147
「いや……祠についたというのに、ぼうっとしておるようじゃったから」
「あ、はい……ちょっといろいろ考えちゃって。行きますか?」

あう、もうついてたんだ。
考えごとしながら歩くと危ないって、いつも言われちゃうんだよね。
私の言葉に頷いた村長さんと、私は祠に入っていく。

「うっ……」

すごい風。
あたりまえだよね、ここが元なんだもん。
私の長い髪が風に踊って、すごく邪魔。
思わず目を細めながら、私は一歩一歩、歩いていく。

そして祠が終わり、『丘』に出た。

空華1/27 19:59:342031cfugNPyUOK282||321
      ***

「そう、集中して。まずは姿を思い浮かべる。風の中から生まれ出る、そのことをイメージするんだ」

優しい声と口調。
時間はあまり無いはずなのに、私たちを焦らせまいとしている感じだ。
私は今、レットと一緒に、「精霊」の呼び出しを練習している。
……上手くいかない。
なんか、すごくもどかしい。
思わず、苛立ちの言葉が声に出る。

「あー……できないー……っ」
「焦らなくていい。大丈夫、落ち付いてやればできるよ」

空華1/27 20:0:12031cfugNPyUOK282||521
ディウさんはそう言ってくれるけど。
……ううん、集中集中。
ディウさんが見せてくれた精霊は、妖精みたいだった。
私もそれをイメージする。

横では、レットも同じように宙を睨んでいた。
こんなに真剣なところ、はじめて見た気がする。
……ああもう、だから、集中集中。

私の見る先の宙では、風が形作られかけては、消えている。
後一歩なのに。

「うー……」

小さく唸るようにつぶやいているのは、私じゃなくてレット。
思わず、私も溜め息を零す。
つい、集中が切れちゃう。
そのとき、だった。

不意に、弾かれたようにディウさんが顔を上げた。
丘の方を見る。

「始まった……」

空華1/27 20:4:12031cfugNPyUOK282||313
+後書き+

少し間が開いてしまいましたが、続きを書きました。
今回、リアとフィナの2視点です。
なんだかフィナが主役みたいですが、主人公はちゃんとリアです。
次回も二つの視点になるかもです。
詠んでいただき、ありがとうございました^^


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