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7568セイクリッド・ブルー第二部(3)istint1/27 19:42:262182cf3QHO0ye7ttw
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夜も更け、見張りの男たちも交代で休みについた。
レンティーニはその強力な魔力探知で三人の荷物のあるテント、ティアのいるテントを突き止めていた。
ティアはレンティーニの命令で犬のように大人しくしていたので荒縄で縛られていただけだった。

istint1/27 19:43:62182cf3QHO0ye7ttw||174
ティアは鋼鉄の牢屋に入れられてもそれを破って抜け出せる力を持っているのでそちらは問題なかった。
道具もティアのすぐそばに置いてあり、特に見張りもいなかったので幸運だった。
当面の問題は三人のテントを取り囲む見張りだ。

istint1/27 19:43:262182cf3QHO0ye7ttw||814
だがそれもエルフ王家の強力な魔力を以ってすればどうにでもなる事だった。
ニナは素早く魔力の糸を織り上げると見張りの男達に投げかけた。
暫らくすると男達は完全に精神をニナの支配下に置かれた。

istint1/27 19:43:482182cf3QHO0ye7ttw||148
ニナは精神を集中している為、汗をびっしょりかいていた。
ニナに精神を支配された男はレンティーニの魔力探知の糸を辿っていき、三人の道具を掴むと再びテントまで戻ってきた。

istint1/27 19:44:62182cf3QHO0ye7ttw||821
レンティーニとルヴィンは男から武器を奪い返すと次は馬を奪う為にテントを離れた。
レンティーニの魔力探知は正確に人の位置、またその人間の見ている方向まで探知する事が出来たので比較的楽に馬を繋いでいる場所にたどり着く事が出来た。

istint1/27 19:44:292182cf3QHO0ye7ttw||561
ルヴィンはその内の一頭にそっとまたがり、縄を切った。
レンティーニは自分用の馬を確保すると他の馬の縄も全部切り落としはじめた。
ルヴィンはいつ見張りが来るかもわからない状況でレンティーニがしている行動に苛立ち始める。

istint1/27 19:44:442182cf3QHO0ye7ttw||991
(二頭手に入れれば充分じゃないか、早く逃げよう。)

istint1/27 19:45:82182cf3QHO0ye7ttw||674
レンティーニが全ての縄を切り終わると、ようやく二人はテントにニナを迎えに行った。
ニナは精神支配に集中し、もうクタクタだった。

istint1/27 19:45:222182cf3QHO0ye7ttw||345
「よし、逃げるぞ!」
レンティーニがティアに魔力を送り込んだ。

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それと同時にティアが元気いっぱい吠え立てながらテントから飛び出し、馬達の方に走り出した。
馬達は驚いて、口々に嘶くと暴れ出した。
あらかじめ縄は切られていたので馬達は皆一斉に走り出す。

istint1/27 19:46:282182cf3QHO0ye7ttw||769
あっという間に大騒ぎになり、騎士達は逃げる馬を追いかけたり寝ている者を起こしに行ったり大混乱になった。
レンティーニはその様子をみると子供のようにくっくっくと笑った。

istint1/27 19:46:412182cf3QHO0ye7ttw||5
「よし、仕上げだ。
 二人とも馬に乗って先に行け。」

istint1/27 19:47:12182cf3QHO0ye7ttw||567
テントの見張りももちろん騒動をおさめるのに躍起になっていたので二人はまんまとテントを抜け出した。
レンティーニは剣に気流を集めると思いっきり地面に突き立てた。
たちまち辺りは地震になり、次々テントが倒壊していく。

istint1/27 19:47:192182cf3QHO0ye7ttw||655
野営地は益々混乱に陥った。
レンティーニもティアの背に乗り、二人に追いついてきた。

istint1/27 19:47:372182cf3QHO0ye7ttw||700
「うまくいったな、レンティーニ。
 やっぱりアンタ凄いな!」
ルヴィンが感心してレンティーニの顔を覗き込んだ。

istint1/27 19:47:572182cf3QHO0ye7ttw||588
するとレンティーニは悪戯が成功した子供のような表情でまたくくくっと笑った。
「昔エルフの村で同じ事やってニナのじいさんにこっぴどく叱られたもんさ。
 なあ、ニナ?」
ニナも思わず噴出した。
可笑しくてたまらないと言う風に目に溜めた涙を拭った。
「まさか子供が考えた悪戯がこんなとこで役に立つなんてね!」
レンティーニはまた笑い出したが、何かに気付いたように表情をこわばらせた。

istint1/27 19:48:142182cf3QHO0ye7ttw||768
野営地の柵の出口に人影が見える。
あの灰色の騎士だ。

istint1/27 19:48:282182cf3QHO0ye7ttw||139
「やはりあの男は一筋縄ではいかんらしい。
 二人は先に行くんだ。
 俺が奴を引き付ける。」
レンティーニは剣を抜き、疾走するティアの背から飛び上がり、灰色の騎士に斬りかかった。

istint1/27 19:48:412182cf3QHO0ye7ttw||670
灰色の騎士は難なくそれを受け止めた。
鉄仮面で表情が見えないので太刀筋が通常より読みにくい。
さらにその冷酷な剣は確実に急所を狙ってくる。

istint1/27 19:48:542182cf3QHO0ye7ttw||771
だがレンティーニも剣士としての腕前は一流。
世界最強の剣士、黒騎士の名に違わぬ人間離れした勘と反射神経、そして流れるような動きで剣を捌き続ける。
灰色の騎士とレンティーニは互いに一歩も退かぬ攻防を繰り広げた。

istint1/27 19:49:232182cf3QHO0ye7ttw||161
(ここいらで勝負を決めてルヴィン達に追いつかないとな。)
業を煮やしたレンティーニがついに気流を纏った。
灰色の騎士はレンティーニの剣を受け止めたが、その衝撃はすさまじく数メートル先まで弾き飛ばされた。
体勢を崩したところにレンティーニが音速を超える素振りからの衝撃波で追い討ちをかける。
灰色の騎士は辛うじてそれも受け止めたが、足を踏ん張ったまま地面を滑り、数メートル後退した。

istint1/27 19:49:452182cf3QHO0ye7ttw||622
仮面の内から低いくぐもった声が聞こえた。
「これが気流か。
 噂どおりすばらしい破壊力だ。
 こちらも手の内を見せねばな。」
灰色の騎士は両手を地面にダラっと垂らした構えからレンティーニに斬りかかる。
レンティーニは軽々その剣を受け止める。

istint1/27 19:49:552182cf3QHO0ye7ttw||171
しかし、次の瞬間。

istint1/27 19:50:152182cf3QHO0ye7ttw||45
確かに刃は受け止めたはずなのにレンティーニの鎧の肩の部分に傷がついた。
その後も受け止めるたびにその刃の数センチ先の部分に傷がつく。
(なんだ、この剣は…。確かに受け止めたはずだが…?)
レンティーニも初めて見る剣技に戸惑いを隠せない。

istint1/27 19:50:312182cf3QHO0ye7ttw||409
「フフフ…、驚いたようだな。
 これが私の能力、陽炎だ。
 五聖将軍には常に最強の騎士が付き従う。
 このまま切り刻まれて死ぬがいい。」
そして灰色の騎士がレンティーニの頭上目掛けて剣を振り下ろした。

istint1/27 19:50:472182cf3QHO0ye7ttw||996
レンティーニはそれも受け止めようとしたが、不意に相手の剣の切先がユラユラと揺れたかと思うとレンティーニの剣をすり抜けた。
灰色の騎士は勝利を確信した。

istint1/27 19:51:202182cf3QHO0ye7ttw||535
だが切先がレンティーニの頭に触れたかと思ったその時、灰色の騎士は竜巻のようなものに巻き込まれ、空中に放り出された。
灰色の鎧は一瞬にしてズタズタになり、渦巻く風の勢いのせいで体勢を整える事もままならない。
レンティーニは剣が触れる瞬間を鋭い魔力探知で見切り、それを狙って灰色の騎士の身体を地面ごと空中に切り上げたのだ。

istint1/27 19:51:382182cf3QHO0ye7ttw||528
「なかなか楽しませてもらったぞ、騎士殿。
 だがこれで終わりだ。」
レンティーニは空中でクルクル回り、体勢を立て直せないでいる騎士に止めを刺そうと飛び上がった。
剣に気流を纏わせ、音速を超える剛剣を騎士の胴目掛けて振り下ろした。

istint1/27 19:51:542182cf3QHO0ye7ttw||906
だが、その剣は騎士の身体に触れる前に何者かの大きな槍に阻まれた。

istint1/27 19:52:52182cf3QHO0ye7ttw||972
「そこまでだ。
 黒騎士。」
五聖将軍、ソロネ。
彼の槍はレンティーニの剣を受けても弾かれる事は無かった。

istint1/27 19:52:212182cf3QHO0ye7ttw||196
「ここであんたの首を取っておきたいとこだが仲間が先に行ってるんでな。
 充分時間は稼いだ。
 馬が無ければ追ってくる事もできまい。
 ここは退かせてもらう。」
レンティーニはティアの背に飛び乗ると、あっという間に野営地を後にした。

istint1/27 19:52:362182cf3QHO0ye7ttw||680
「お前ともあろうものがひどくやられたものだ。」
ソロネが灰色の騎士を担ぎ上げた。

istint1/27 19:52:452182cf3QHO0ye7ttw||252
「賊にも逃げられ、挙げ句将軍様に助けていただくとは守護聖の名に泥を塗ってしまった。
 しかし槍で難なく奴の剛剣を受け止められるとは流石五聖将軍の一角を担うお方。
 その槍で私の首をお刎ねください。」
弱々しく灰色の騎士が応えた。

istint1/27 19:52:552182cf3QHO0ye7ttw||813
「その槍?
 どの槍の事を申しておるのだ。」
ソロネがとぼける。

istint1/27 19:53:192182cf3QHO0ye7ttw||339
「は? 
 その、奴の剣を受け止めた槍でございますが。」
灰色の騎士が槍を指差した。

istint1/27 19:53:302182cf3QHO0ye7ttw||466
すると槍は鈍い音をたて、ひびが入ったかと思うと粉々になってしまった。
ソロネは既にその槍がレンティーニに破壊されている事を悟っていたのだ。

istint1/27 19:53:412182cf3QHO0ye7ttw||796
「ハルファス、お前の処分は不問にする。
 これからも守護聖として精進せい。
 それにしてもレンティーニ、恐ろしい男だ。
だが本当に恐るべきは…」
ソロネはじっと粉々の槍を見つめていた。

istint1/27 19:54:452182cf3QHO0ye7ttw||945
今回はここまでー。風邪ひいてしまって鼻水が止まりません。

シェイラ1/28 9:17:462111cftc5IUPaAi.Y||959
こんにちわ!またまた、楽しく読ませていただきました。今回、レンティーニの意外(?)な一面を見ることが出来た気がして、とても楽しかったです。昔は、もっとクールな人かと勝手に思い込んでいました……。istintさんの風邪が早く治ることを願いながら、次の作品をわくわくしながら待っています♪


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