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7594小説「あすなろ」沙布1/31 12:29:405985cfbh59ojFxQ7g
初小説です^^
やっと書き終えました。
長くなったので前編と後編に分けます。

沙布1/31 12:31:145985cfbh59ojFxQ7g||255
「あすなろ」
〜前編〜

沙布1/31 12:31:275985cfbh59ojFxQ7g||436
 これは僕が子供の頃、本当に体験した出来事だ。信じたくない奴は信じなくてもいい。
 ただ、現実には僕たちが奇跡だと考えている事が起こりうる可能性があることを覚えていて欲しい。

沙布1/31 12:31:495985cfbh59ojFxQ7g||606
 あれは中学1年生の時だった。
 僕は霧の中にいたんだ。誰もいなくて正直怖かった。すると、
 「どうしたの?」
 そう言う声がしたんだ。返事をしようとしたのだけれど、頭がくらくらして僕の意識は無くなっていった…。

沙布1/31 12:32:285985cfbh59ojFxQ7g||166
 目が覚めると僕は大きな木がある丘の上にいたんだ。
 「名前は何て言うの?」
 僕の後ろで声がした。振り向くと、僕と同い年くらいの少女が立っている。
 「あたしは薫っていうの。あなたは?」
 「僕は…恭祐」
 僕がそう答えると薫と名乗る少女はにこりと笑った。
 「宜しくね、恭祐くん」
 少女――薫は笑顔で言う。
 「うん…宜しく…」
 僕は彼女の笑顔を見てドキッとした。とても素敵な笑顔だったから。
 「バイバイ、またね」
 そう言い彼女は丘の反対側に下りていった。
 (変な奴…)
  僕はただ彼女が走っていった方を見て、何かに操られたかのように立っていた…。

沙布1/31 12:32:485985cfbh59ojFxQ7g||910
 そこで僕は目が覚めたんだ…。
 白い壁、白いベッド、両親の顔…。
 そう、ここは病院…。
 「恭祐…」
 僕は忘れられない。両親の目に浮かんだ涙の雫を…。

沙布1/31 12:33:225985cfbh59ojFxQ7g||574
 僕は1週間後に退院した。僕の入院について両親は何も言わなかった。
 問いただして見ても寂しそうに笑って何も答えない。
 なぜ僕は病院にいたのか、分からなかった。
 僕は怖かった。
 病院にいた理由を教えてもらえなくて。僕の、なにかが変わってしまったような気がして…。
 僕は不安のまま夜を迎えた。
 すると急に眠気が襲ってきたんだ…。

沙布1/31 12:34:455985cfbh59ojFxQ7g||781
僕は大きな木がある丘の上に立っていた。
 すると後ろから聞き覚えのある声がした。
 「遅かったじゃない」
 振り向くと笑顔の少女――薫が立っていた。
 「…。ゴメン」
なぜか僕は謝った。
 「いいのよ、謝らなくて」
 そう言うと彼女はまた笑顔になる。
 僕は彼女の笑顔を見るとなぜか幸せな気持ちになった。
 「ねえ、恭祐くんって呼んでいいでしょう。私の事は薫って呼んでいいから」
 「うん…薫」

沙布1/31 12:35:155985cfbh59ojFxQ7g||502
 僕は恥ずかしがりやな性格なのに、薫とは普通に話せた。
 薫は話し上手だった。季節の事、友達の事、本の事…いろいろ話してくれた。
 ただ、薫自身の事は話してくれなかった。
 言いたい事を言い尽くした様で薫は黙り込み、しばらく沈黙があった。

沙布1/31 12:36:385985cfbh59ojFxQ7g||292
 薫は大きく背伸びをして大きな木に寄り掛かった。
 「恭祐くん、この木、何の木か知ってる?」
 薫は寄り掛かった木を指差して言った。
 「知らない」
 そう答えると、薫は木の方を向いた。
 「この木はね、あすなろの木なの。この木ね、明日はヒノキになろう、明日はヒノ  キになろうって思ってたんだって。だからあすなろって名前らしいの。」
 薫はそう言いあすなろの木に抱きついた。

沙布1/31 12:36:595985cfbh59ojFxQ7g||360
 「あすなろがヒノキになれるはずはないのに。叶うはずないのに。でもあすなろは  夢を持ってる。私もこの木みたいに夢を諦めないで頑張ろうと思うんだ」
 そう言う薫はどこか嬉しそうだった。僕は返事はしないで薫と一緒に木に抱きついていた。
 「また会える?」
 「うん、もちろん」
 「じゃあ私帰るね。楽しかったわ」
 そう言い薫は帰っていくのだった…。

沙布1/31 12:37:155985cfbh59ojFxQ7g||919
 ここで僕は目覚めた。
 薫と会ったのは夢だったのだ。夢にしてはよく覚えているが。
 薫のあの笑顔が今でも僕の瞳に焼き付いている…。

沙布1/31 12:37:425985cfbh59ojFxQ7g||410
 学校では、僕はつまらない時間を過ごして来た。
 退院して初めて学校に行った時は皆話しかけて来たものの、僕がおとなしいくしているとそのうち誰も話しかけてこなくなった。
 僕は別に構わなかった。話が合わない奴らと喋っても仕方が無いし、それに…僕には、薫がいるから。

沙布1/31 12:37:565985cfbh59ojFxQ7g||944
 僕は家に帰ると昼寝をする。夢の中の、薫に会うため…。

沙布1/31 12:38:155985cfbh59ojFxQ7g||797
 僕はあすなろの木がある丘に立っていた。
 「恭祐くん、遅くなってゴメンね」
 薫が走ってやってくる。いつもの笑顔で…。
 こうして僕らはあすなろの木に寄り掛かって話をするんだ。
 僕は薫と話している時が一番楽しかった。

沙布1/31 12:38:305985cfbh59ojFxQ7g||502
 学校へ行き、帰ると昼寝。夕飯を食べたらすぐ寝る…。そんな日々が一ヶ月くらい続いただろうか…。
 学校から帰ってきて、僕はいつものように寝る事にした…。

沙布1/31 12:39:25985cfbh59ojFxQ7g||770
 僕はあすなろの木がある丘の上に立っていた。
 薫はいつものように走ってやってきた。ただ、今日はいつもの服と違って青いワンピースを着ていた。
 「今日は私の誕生日なんだ」
 薫はそう言いにこりと笑う。
 「プレゼント欲しい?」
 僕は薫に聞いた。
 「あのね、実は写真が欲しいの…」
 「写真?」
 「恭祐くんの写真が欲しいの。恭祐くんの事もっと知りたいんだ。恭祐くんの周りの人の事も。だから写真が欲しいの」
薫は強くそう言った。僕は写真なんか退院してから撮ったことが無かった。

沙布1/31 12:39:325985cfbh59ojFxQ7g||583
 「言葉じゃダメ?最近写真撮ってなくてさ。僕の事いろいろ教えてあげるよ」
 「写真じゃないとダメなの。つまり…友達の顔が見たくて」
 薫はどこか困っているようだった。僕はつい、
 「探してみるよ。今度持ってくる」
と言ってしまった。
 「無理させちゃってゴメンね」
 そう言いながら薫は嬉しそうな顔をした。僕はこの笑顔が見られるなら、どんなことをしてもいいと思った。

沙布1/31 12:39:465985cfbh59ojFxQ7g||746
 薫とはいつものように話をした。
 「もういかなくちゃ、バイバイ」
 そう言い薫は丘を駆け下りて言った…。

沙布1/31 12:40:05985cfbh59ojFxQ7g||992

沙布1/31 12:41:505985cfbh59ojFxQ7g||942
これで前編は終了です^^
ここまで読んで下さってありがとうございました。
誤字・脱字の連絡お願いします。
何でもいいので感想お願いします。

アリアンナ1/31 22:31:142111cfrsFwgNXkDt.||430
ちょっと「あすなろ物語」からの抜粋がありますね
それでも、不思議な雰囲気で素敵です

沙布2/1 14:53:175985cf.prazYAZcAc||991
 アリアンナさん感想ありがとうございます。
 あすなろの名前の由来が気に入ったのであすなろを小説に登場させました。
 アリアンナさんの言葉通り、不思議な感じを出したかったので不思議な雰囲気感じていただいて良かったです^^
 


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