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7609セイクリッド・ブルー第二部(4)istint2/3 15:51:36056cf.p9QkBCUvaI
http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-7568.html  前回までのお話

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ルヴィンとニナはもう野営地の明かりが見えないところまで来ていた。
ニナは心配そうに振り返ると、馬から降りた。
「ここでレンティーニを待ちましょう。」
そう言うと、ニナはしゃがみ込んで、指を地面に突き立てるとルヴィンと馬をぐるっと囲むように円を描いた。
線がつながると円内はポっと白い光に包まれた。

istint2/3 15:51:536056cf.p9QkBCUvaI||614
「結界を張りました。
 これで闇のものは私達の存在には気付かないでしょう。」
ルヴィンは少し安心して馬から降りた。
でもまだ心臓がバクバク鳴っている。
無意識に剣を握り締めた手はじっとり汗ばんでいた。
何も会話をしないまま時間だけが過ぎていった。

istint2/3 15:52:56056cf.p9QkBCUvaI||519
暫らくすると野営地の方角からドドドっと足音が聞こえてきた。
ルヴィンは剣を構え、ニナを守るように前に出た。
足音は徐々に大きくなっていき、やがてそれは二人の前に姿を現した。

istint2/3 15:52:176056cf.p9QkBCUvaI||290
頭の先から爪先まで黒いボロに覆われ、所々腐れ落ち、内臓がドクドク脈打つのが見える馬に乗った闇の住人。
ジスティだ。

istint2/3 15:52:336056cf.p9QkBCUvaI||390
それは二人の目と鼻の先で馬を止めると、空中の匂いを嗅ぐような仕草を見せた。
ルヴィンは悟っていた。
今の自分ではジスティを倒す事は出来ないと。
バルガスを倒した戦法はジスティには通用しないし、何よりジスティの目を見ると全身が恐怖で凍り付いてしまうのだ。

istint2/3 15:52:506056cf.p9QkBCUvaI||14
二人は息を潜め、ジスティが通り過ぎるのを待った。
ジスティはしつこく二人の側で鼻を鳴らしている。
顔を接吻出来るほど近づけて匂いを嗅いでくるジスティに思わずルヴィンは後ずさりした。

istint2/3 15:53:46056cf.p9QkBCUvaI||131
その瞬間、ジスティが甲高い雄たけびを上げ、万力のような力でルヴィンの腕を掴んだ。
足が一歩、結界の外に出てしまった為に見つかってしまったのだ。
ルヴィンは必死にその手を振り解くと剣を構えた。

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ジスティは錆付いた剣を抜くと恐ろしい唸り声を発しながらルヴィンに斬りかかる。
声と視線によって凍りつく身体を奮い立たせて剣を受け止めた。
だがジスティの剣は重く、受けきれずに肩口に傷を負ってしまった。
痛みと恐怖でルヴィンの意識は次第に遠のいていった。

istint2/3 15:53:366056cf.p9QkBCUvaI||638
遠くでニナの叫び声が聞こえる。
肩からはドクドク生暖かいものが流れ出していく。
ああ、死んでしまうのか。
ニナ、守れなくてごめんよ。

istint2/3 15:53:526056cf.p9QkBCUvaI||252
意識が途切れそうになった時、またあの夢の中の声が聞こえる。
(…誰…だ?)
ルヴィンの目の前に青白い輝きを放つ龍が現れた。
幻か、夢か判らなかったがそれはルヴィンに語り出した。

istint2/3 15:54:96056cf.p9QkBCUvaI||432
(…器よ。
 我が声を聞くがよい。
 甘美なる破壊の力を振るうがよい。
 意識を開放しろ。
 お前は大いなる力の器に過ぎぬ。
 呪われしスタインの血の宿命を受け継ぎしもの。
 闇の御子よ…抗うな…。)

istint2/3 15:54:226056cf.p9QkBCUvaI||935
途切れそうな意識の中でルヴィンは必死に戦っていた。
(誰だ…お前は。
 俺が闇の御子?
 血の宿命?
 器?)

istint2/3 15:54:436056cf.p9QkBCUvaI||151
龍の幻は徐々に透き通っていき、今にも消え入りそうだ。
(忘れるな。
 お前の父から受け継いだその力、紛れも無い闇の深淵に属するもの。
 この私ですらその力の前に屈服せざるを得なかったのだ…)

istint2/3 15:54:536056cf.p9QkBCUvaI||957
龍の幻は消えていった。
(待…て…)
ルヴィンの意識は完全に途切れてしまった。

istint2/3 15:55:126056cf.p9QkBCUvaI||688
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ルヴィンは肩口から血を流し、地面に倒れこんでしまった。
ニナはもういても立ってもいられず残り少ない魔力を振り絞るようにジスティに向けて炎を放った。
ジスティは造作も無く炎の塊を握りつぶすと剣をルヴィンの喉に突き立てた。

istint2/3 15:55:426056cf.p9QkBCUvaI||306
「止めなさい!ルヴィン!ルヴィーン!」
ニナが思わず目を覆い、悲鳴を上げた。

istint2/3 15:55:596056cf.p9QkBCUvaI||768
ガキンっと乾いた音が鳴り、その直後にジスティの唸り声が聞こえた。
突き刺した剣が抜けないのか、必死に剣を引っ張ってもがいている。
ニナがそっとルヴィンを見ると、ルヴィンの身体は魔力とも気とも違う青白い光に包まれていた。
ルヴィンは喉に突き刺さる寸前でジスティの剣を素手で掴んでいた。

istint2/3 15:56:136056cf.p9QkBCUvaI||598
「ルヴィン!ルヴィン!」
ニナが呼びかけても返事が無い。

istint2/3 15:56:336056cf.p9QkBCUvaI||999
ルヴィンはゆっくりと起き上がると獣のような咆哮を上げ、全身から噴出す青白い光でジスティを吹き飛ばした。
ルヴィンの手にした剣には龍を象るように光が渦を巻いていた。
ジスティは恐ろしい唸り声を上げながらルヴィンに向かっていった。
ルヴィンはジスティの剣を青白い光で覆われた手で受け止めると、剣を粉々に握りつぶしてしまった。
そして驚くジスティの顔を片手で掴み、持ち上げるとニヤッと笑った。

istint2/3 15:57:06056cf.p9QkBCUvaI||352
振りほどこうとジスティは必死にもがいたがルヴィンは離さなかった。
ルヴィンが少し力を込めるとジスティの着ているローブはボロボロになり、顔の皮が剥がれ落ちた。
ドサッと地面に落とされたジスティは顔を両手で覆い狂ったように憎しみのこもった雄たけびを上げる。

istint2/3 15:57:186056cf.p9QkBCUvaI||197
ルヴィンはジスティの顔面を蹴り上げると大上段に構えた剣を振り下ろした。
切っ先は音速を超え、衝撃波を生み出す。
龍を象った衝撃波はジスティを真っ二つにし、周囲の空間を一瞬にして凍て付かせた。
すかさずルヴィンは二撃目を繰り出し、凍りついた地面を叩き割った。
その破壊力はすさまじく、氷片の混じった土砂を数十メートルも巻き上げ、辺りは嵐に遭ったようだった。
ルヴィンは次々龍の衝撃波を繰り出し、大地に亀裂を走らせ、岩を砕き、空気を凍りつかせた。

istint2/3 15:57:296056cf.p9QkBCUvaI||169
まるで怒り狂った龍そのもの…!
ルヴィンの破壊行為は止むことは無く、続いた。
ニナは結界の中にいたがどうすることも出来ず、呆然としていた。

istint2/3 15:58:406056cf.p9QkBCUvaI||189
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istint2/3 15:58:556056cf.p9QkBCUvaI||97
そこに疾風のように走るティアの背に乗ったレンティーニが到着した。
ニナが事情を説明しようとしたが、レンティーニはそれを制した。
「わかってる、ニナ。
 しばらくティアの影に隠れてろ。」

istint2/3 15:59:66056cf.p9QkBCUvaI||975
ニナは言われたとおりティアの大きな身体の影に隠れた。
レンティーニは大きく息を吸い込むとルヴィンに向かって怒鳴った。
「おい!青龍!ルヴィンの意識を返せ!」

istint2/3 16:0:436056cf.p9QkBCUvaI||794
「ほう、あの時のダークエルフか、久しいな。
 小癪にもこの私を人間の身体に封印した恨み、忘れてはおらぬぞ…。
 お前はスタインの血が暴走するのを恐れてこのガキの父親の身体に私を封じたのだったな。
 毒を以って毒を制す、といったところだったのだろうがスタインの血は想像以上だった。
 この私の力すら凌駕するほどに…。

istint2/3 16:0:586056cf.p9QkBCUvaI||446
それが貴様等三騎士の誤算だったのだ。
 このガキの身体にも確実に脈打っておるぞ、その呪われた血は。
 ガキの父が闇に堕ちた時に開放されるかと思うたが今度はそのガキの体の中だった。
 お前の智謀には流石の私も舌を巻いたわ!
 父を使い棄ててガキに乗り換えるとはな、恐れ入ったぞ。
 やっと外に出られたのにみすみすこの身体を返すと思うか!」

istint2/3 16:1:176056cf.p9QkBCUvaI||743
レンティーニは静かに剣を抜き、ルヴィン(青龍)に向けた。
「相変わらずおしゃべりだな、青龍。
 確かに俺はアイシスの血の暴走を恐れ、アイシスの身体からお前をルヴィンへ移した。
 アイシスはあの闇ソーサラーとの戦いの前から少し様子がおかしかったからな。
 出来れば…信じてやりたかった…。
 ルヴィンも巻き込みたくは無かった。
 だがあの時はそうするしかなかったんだ…!」

istint2/3 16:1:306056cf.p9QkBCUvaI||144
青龍は大きく鼻を鳴らすと剣を地面に突き立てた。
「お前は友人を信じられずに保険を掛けたわけだな。
 このガキという保険を。
 成る程、天才軍師と呼ばれるだけはあるではないか。
 確かにあの頃は既にあの男の中の闇の意識は異常な速さで高まっていたからな。
 お前の読みは当たったわけだ。
 ん?そういえばもう一人の男の姿が見えぬがまさか貴様一人でこの私を止めるつもりなのか?」

istint2/3 16:1:506056cf.p9QkBCUvaI||969
レンティーニは全身に気流を纏い、青龍に向かって突進した。
二つの力のぶつかり合いは凄まじく、一撃ぶつかるごとに大気が震え、地面が割れる。
青龍の剣を受け止めるたびレンティーニの鎧が凍りつく。
レンティーニの剣を受け止めるたびに青龍(ルヴィン)の身体が気流に巻き込まれ引き裂かれる。
レンティーニは青龍目掛けて気合を込めた一閃を放った。

istint2/3 16:2:26056cf.p9QkBCUvaI||881
が、青龍は素手でレンティーニの剣を受け止めた。
その力は凄まじく、レンティーニが引いてもビクともしない。
だが青龍は剣を放した。

istint2/3 16:2:156056cf.p9QkBCUvaI||7
「手を抜いておるな、レンティーニ。
 この身体を傷つけたくないからか?
あの時ワシと戦ったときはもっと殺気に満ちた剣を振るっておったではないか。」

istint2/3 16:2:256056cf.p9QkBCUvaI||619
レンティーニは苦悩していた。
ここで全力で戦っても青龍を止められないかもしれない。
止められたとしてもルヴィンの身体は大きく傷付き、死んでしまうかもしれない。
だが全力で戦わなければニナも自分も命を落とす事になる。

istint2/3 16:2:366056cf.p9QkBCUvaI||840
「青龍、アイシスとの約束を果たさねばならん。
 大人しくルヴィンの身体に戻るんだ。
 このままでは世界は闇に覆われ、お前達四聖もいずれサ・レギュオンに支配されるだろう。
 今、ルヴィンはこの世界に必要なんだ。
 俺を殺したければ殺すがいい。
 だがルヴィンだけは闇の手に渡すわけにはいかんのだ。
 約束しろ、青龍。
 俺をここで殺してもルヴィンを守ると…。」

istint2/3 16:2:496056cf.p9QkBCUvaI||822
青龍は剣を地面に突き立てた。
「お前ほどの男をここまで…
 このルヴィンという男、確かにかつてのアイシス以上の力を感じる…。
 では見届けてやろう、お前達の戦いを。
 大いなる闇にどこまで喰らいつくことが出来るかな…」

istint2/3 16:2:586056cf.p9QkBCUvaI||881
そういうとルヴィンのからだを纏っていた青いオーラが消え去った。
同時にルヴィンは人形のようにその場に崩れ落ちた。

istint2/3 16:8:36056cf.p9QkBCUvaI||25
今回のお話はここまで。
前回のシェイラさんからの質問の答えですが、レンティーニはぶっきらぼうでクールなキャラなんですが、あの時は少し小さい時の悪戯を思い出して大笑いしてましたね。
なので幼少時代はかなり暴れん坊だったようです^^;
いつも更新など遅れて申し訳ないです…

シェイラ2/4 20:41:282184cfzAVOcucQ4e6||825
ええ、レンティーニが暴れん坊!そんな、エピソードまで考えてらっしゃるのはすごいと思います。いえいえ、遅いなんて、いつもどきどきしながら待たせていただいています!もう、それこそ時間なんか飛び越えちゃう位です♪

istint2/4 21:31:172191cf6y96Wd2zisE||573
いつもありがとうございます(つ∀`)
機会があればレンティーニやルヴィンの父親達の時代のエピソードもアップしていこうと思ってます。


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