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7623小説「あすなろ」沙布2/6 16:55:345985cf4ubcxFVJTl6
今度は後編です♪
前編はこちらです。
  http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-7594.html
ではでは始めます。

沙布2/6 16:56:305985cf4ubcxFVJTl6||631
 起きてみるとまだ午後5時だった。両親はまだ帰ってきていなかった。
 僕は頭がボーっとしている。薫と会ってからしばらく僕はボーっとしているのだ。
「写真が欲しいの」
 あの時薫はそう言った。その時の薫の瞳…。涙に濡れていた薫の瞳・・・。
 僕はおもむろに本棚をのぞいてみた。しかしアルバムは無い。他の所も見てみたが見当たらない。
 僕は写真探しを諦めていた。薫には申し訳ないけれど。別に薫は夢の中の人だから、今写真が無くても関係ないか。
 僕はそう思い、久しぶりに本でも読もうかと本棚から本を一冊取り出した。
すると奥に何か本のような物が見える。
「?」
 僕はそれを取り出した。

沙布2/6 16:57:335985cf4ubcxFVJTl6||937
 それはアルバムだった。アルバムを開いてみると、そこには「僕」が写っていた。
 一枚の写真を見て、僕の手が止まった。
 それは大きな木の前で2人の少年が写っている写真だった。
 僕の体に衝撃が走った。
 なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ・・・。
 だってその写真には・・・、僕が、二人写っていたから…。

 ・・・・・・。僕は思い出してしまった。

 僕は、そう、僕 は ふ た ご だ っ た の だ ・・・ 。

沙布2/6 16:58:595985cf4ubcxFVJTl6||100
 僕は双子だったのだ。それも一卵性双生児の…。
 僕たちは双子として誕生した。兄は圭祐、弟は恭祐と名づけられた。
 「僕」ともうひとりの「僕」には障害があった・・・一卵性だったこともあってか、二人で心臓が1つしかなかったのだ・・・。
 これは大変危険な事でどちらかの子供に心臓をつける必要があった。でもそうするともう片方の子供は・・・。
 恭祐には心臓をつける手術がされた。圭祐には機械でできた心臓を・・・。
 2人は元気に成長した。しかし圭祐はもともと体が弱く、ほとんど病院で暮らしていた。そのためか恥ずかしがりやの性格に育った。
 一方、恭祐は元気で明るい性格だった。そんな双子はとても仲良しだった。

沙布2/6 16:59:235985cf4ubcxFVJTl6||525
 2人はそのまま中学生を迎えた。
 圭祐はまだ弱々しいが退院できる事になった。

沙布2/6 16:59:495985cf4ubcxFVJTl6||375
 そこで僕の記憶は止まった。
 僕はただ呆然と座っていた。

沙布2/6 17:0:505985cf4ubcxFVJTl6||59
「恭祐くん」
はっと顔を上げると、そこには薫が立っていた。
夢の中の丘ではなく、僕の部屋、僕の目の前に薫はいた。
「目を閉じて・・・」
薫が言う。僕は目を閉じた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

退院してから、圭祐と恭祐は毎日のように遊びまわった。
ある日、いつものように遊びに行こうと公園へ…。
その時、2人は車にひかれた。
2人は重傷を負い、病院に運ばれた。

沙布2/6 17:1:305985cf4ubcxFVJTl6||174
 圭祐は全身を骨折し、亡くなった。
 恭祐は頭を強く打ち、意識不明だ。
 なので1人を助けるために手術を開始した。
 圭祐の脳の1部を恭祐の脳の1部と体に移植する手術を…。
 手術は成功した。
 しかし脳を組み合わせた事により、感情に異変が起こった。
 2人の感情がまざっているのだ。
 退院した新しい恭祐はもう前の恭祐ではなくなっていた…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

沙布2/6 17:2:255985cf4ubcxFVJTl6||691
 「…」
 「どう?分かった?これが今のあなた」
 「…。薫、これは一体何なんだ?君は誰だ?」
 「私は圭祐の友達。佐崎薫」
 その言葉で「僕」は思い出した。

沙布2/6 17:3:75985cf4ubcxFVJTl6||135
 僕はよく圭祐の病院に遊びに行った。
 その時薫に会った。
 彼女は圭祐の病室の隣の部屋の患者だ。そのせいか圭祐と仲が良かった。
 薫と圭祐はいつも一緒だった。
 そんな圭祐が僕は羨ましかった。
 でもある日…、薫は亡くなった。
 その日から圭祐の笑顔が消えた。圭祐は前よりひどく恥ずかしがる性格になった。

沙布2/6 17:3:235985cf4ubcxFVJTl6||268
 「……」
 「圭祐くん、夢を諦めないで」
 ……。その言葉は…。「僕」が入院していた時…。病院にたった一本だけの木の…あすなろの木の前で…いつも「僕」に話していた言葉だった。僕?僕は恭祐…?いや、僕は圭祐…?違う…。僕は…か わ っ て し ま っ た ん だ 。僕はもう恭祐でも圭祐でもない。

沙布2/6 17:4:05985cf4ubcxFVJTl6||270
 「……」
 僕は黙りこんでしまった。僕のほおに涙が伝った。
 「僕このあとどうすればいいんだろう。僕はもう恭祐じゃない」
 「関係ないじゃない」
 「え?」
 「自分が誰だかなんて。恭祐くんは何が分かりたいの?恭祐くんは生きてる。沢山の人の力を借りて。圭祐くんと一緒に生きてる。ただそれだけ。自分が誰かなんてどうでもいいんだよ。夢を持って生きてればいいんだよ」
 「薫…」

沙布2/6 17:4:255985cf4ubcxFVJTl6||62
 「私、あなたに生きていて欲しいの。だからあなたの夢に出てきたの。あなたにすべてを分かってもらいたくて…。分かってもらって、これから新しいあなたが自分の夢を持って、生きて欲しいの。あすなろのように…」
 薫の体が透けていく。最後に薫の声が聞こえた。
 「今までありがとう」

沙布2/6 17:4:595985cf4ubcxFVJTl6||603
 僕は部屋に呆然と座っていた。
 朝になっていた。
 僕は立ち上がった。

 学校にはいつものようにクラスメイトたちが騒いでいた。
 「おはよう」
 俺は大きな声でそう言った。

沙布2/6 17:5:245985cf4ubcxFVJTl6||430


 僕の夢
 それは沢山の人と関わり合う事。


沙布2/6 17:5:525985cf4ubcxFVJTl6||474
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沙布2/6 17:10:445985cf4ubcxFVJTl6||618
 とりあえずこれで終了です♪
 楽しんで頂けたでしょうか…。
 心臓が1つとか脳の移植とかは想像ですから…^^;
 そんなに気になさらずに…。
 なんでもいいので感想お願いします。

炎髪灼眼の討ち手2/12 17:7:256062cf2Mp.ZYODUNA||138
初めまして。炎髪灼眼の討ち手と申します。
すごいですねぇ。前編から読みました。
忘れてしまった過去の記憶。混ざり合ったころから忘れてしまったんですね。
そして薫。薫はすごいなぁ。ちょっと感動しすぎてあまり言葉にならないけどすごいと思います。
あ。長々とすみませんでした。

沙布2/17 22:18:395985cfYMRMpRZsakE||507
感想ありがとうございます!!
こんな嬉しい感想もらうのは久しぶりです♪
やっぱ感動してくれると書いてる方も幸せです^^
炎髪灼眼の討ち手さんのボク的学園ライフは私毎回陰で楽しく読ませて頂いてます☆
お互い書き手として頑張りましょうね〜


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