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7804セイクリッド・ブルー第二部(8)istint3/3 15:15:22182cf14hEvergku2
http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-7755.html 前回までのお話

istint3/3 15:16:342182cf14hEvergku2||479
「ソロネ将軍閣下、私にはシェリフェル将軍の心中が理解できませぬ。
 いつもあのような態度を?
 セルレイス元帥も特にお咎めなさらないし…。」
ハルファスがソロネと並んで廊下を歩きながら尋ねた。

istint3/3 15:17:112182cf14hEvergku2||162
「シェリフェルか…あいつは18才でワシの隊に入隊、そのたった二年後に五聖将軍に昇格したのだ。
 今でもまだ25歳という若さだ。
 しかし、あいつがどこから来たのか、どういう素性かはワシもよく知らんのだ。
 入隊当時から人を見下したような態度は変わらんかった。
 ただ、その戦闘能力の高さは当時からずば抜けていた。
 そしてある日事件が起きたのだ。
 

istint3/3 15:17:312182cf14hEvergku2||107

 当時の守護聖であった騎士と練習試合を行ったのだが、シェリフェルは先ほどのバルガスの時のように殆ど触れずに殺してしまった。
 いつも貼り付けたような笑みを浮かべてはいるが底知れない殺気を秘めておる。
 元帥閣下はシェリフェルの強さに心底惚れこんでおるのだろう。
 それ以外に何かありそうだが…
 ワシも喋りすぎたな。
 先に部屋に戻っておるぞ。」

istint3/3 15:17:472182cf14hEvergku2||824
そこでソロネとハルファスは別れ、ソロネは自室に戻った。
ハルファスはそのまま見回りに出かけた。
長い廊下を歩き、角を曲がると突然声を掛けられた。

istint3/3 15:17:562182cf14hEvergku2||426
「やあ、僕の事が色々気になるみたいだね。」
シェリフェルが全く気配も感じさせずにハルファスの前に現れた。

istint3/3 15:18:72182cf14hEvergku2||504
「どうしたんだい?
 そんなに驚いて。
 怖がらなくてもいいよ。
 フフフ…」

istint3/3 15:18:292182cf14hEvergku2||944
(なぜ気配を殺して近づいてきたのだ…まさか…。)
「いえ、特に質問はございません、将軍閣下。」
やっとの思いでハルファスは答えた。

istint3/3 15:18:432182cf14hEvergku2||670
「隠したって無駄だよ。
 バルガスがどうして触れてもいないのにやられたのか不思議なんだろ?
 君も戦闘のプロだからね、気になってると思ったんだ。
 どう?試してみよっか?」

istint3/3 15:18:552182cf14hEvergku2||980
そう言った途端、シェリフェルの身体から不気味な殺気が漂い出した。
ハルファスはその殺気に晒されているだけで息が止まりそうになった。

istint3/3 15:19:62182cf14hEvergku2||471
だがその時、野太い男の声がした。
「シェリフェル!そこまでだ!」

istint3/3 15:19:192182cf14hEvergku2||140
たまたま通りがかったカーティス将軍が異様な殺気に気付いて止めに入ったのだ。
「シェリフェル、今すぐ止めないと私の剣の錆にしてくれるぞ!」
カーティスは剣をシェリフェルに突きつけた。

istint3/3 15:19:352182cf14hEvergku2||246
シェリフェルは突然笑い出す。

istint3/3 15:19:532182cf14hEvergku2||865
「やだなあ、カーティス将軍。
 冗談ですよ、じょ・う・だ・ん。
 じゃ、僕はそろそろ寝るよ、おやすみハルファス君。」

istint3/3 15:20:42182cf14hEvergku2||448
シェリフェルは軽い足取りで自分の部屋へ向かっていった。
ハルファスは呪縛から解き放たれ、ゼエゼエ肩で息をした。

istint3/3 15:20:482182cf14hEvergku2||314
「大丈夫か?
 あいつはああ言っていたがあのままだと確実に殺されていたろうな…。
 この私ですらシェリフェルには勝てんかも知れん。
 あいつには謎が多すぎる…軍に入った時も法皇院の推薦だったしな。」
ハルファスはカーティス将軍に一礼すると、ソロネの元へ帰っていった。

istint3/3 15:21:12182cf14hEvergku2||912
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エラドはバルガスが捕らえられている牢に向かっていた。
牢番がエラドの姿に気付き、挨拶する。

istint3/3 15:21:402182cf14hEvergku2||167
「これはこれは大臣殿。
 このような陰気な場所に何か御用ですか?」
エラドはゆっくり牢番の姿を見ると「鍵はどこだ?」と尋ねた。

istint3/3 15:21:552182cf14hEvergku2||495
牢番は少しエラドの様子がおかしいのに気付き、鍵をそっと引き出しにしまった。
「大臣といえど、鍵を渡す事は出来ません。」

istint3/3 15:22:522182cf14hEvergku2||112
牢番の言葉を聞いてエラドはうろたえる様子も無く牢番に迫った。
その時エラドの瞳がまるで爬虫類の目のように黄色く光り、牢番は後ずさりする。
その目を見ているうちに牢番の意識は遠のいていき、トロンとした表情に変わった。
口からはだらしなく涎が垂れている。

istint3/3 15:23:62182cf14hEvergku2||669
エラドはその様子を見ると満足げな笑みを浮かべ、もう一度「鍵を出すのだ」と言った。
今度は何の抵抗も無く牢番から鍵を受け取り、暗い牢獄の奥へと向かい足を進める。

istint3/3 15:23:222182cf14hEvergku2||229
エラドの目的は自分が利用し、棄てた部下、バルガスに会うことだった。
バルガスは一級囚人獄舎に捕らえられていた。

istint3/3 15:23:412182cf14hEvergku2||641
巨体は鎖で壁につながれ、体中に拷問の傷跡が残っている。
彼はずっとうつむいたままで僅かに呼吸をしているだけだったが、誰かの気配に気付き顔を上げた。
訪問者の顔を見た瞬間バルガスは怒り狂い、よだれを垂れ流しながら獣のような雄たけびを上げて鎖を引きちぎらんばかりに暴れ出した。

istint3/3 15:23:512182cf14hEvergku2||149
エラドは何も言わずに牢の鍵を開けるとバルガスに近づいていった。
暴れるバルガスを見て「ククク」と笑った。

istint3/3 15:24:32182cf14hEvergku2||480
「何がおかしい!
 貴様の為に働いた俺を簡単に棄てやがって!
 殺してやる!殺してやる!」

istint3/3 15:24:172182cf14hEvergku2||459
バルガスは必死に歯を剥き出してエラドを罵った。
その時によだれが飛び散り、エラドの顔にも飛散したよだれがかかった。

istint3/3 15:24:312182cf14hEvergku2||68
エラドはその瞬間また爬虫類のような目つきに変わり、暴れるバルガスの首を片手で締め上げ壁に押し付けた。
「どうやって殺すと言うのかね?
 こんなに簡単に押さえつけられてしまって…。」

istint3/3 15:24:532182cf14hEvergku2||701
バルガスは驚きと憎しみの表情をエラドに向けた。

istint3/3 15:25:112182cf14hEvergku2||976
「私はお前をここから出してやろうと言うのにそんなに暴れるな。」
そういうとエラドはスッと鎖を撫でた。

istint3/3 15:25:272182cf14hEvergku2||835
鎖はまるで砂のように粉々になり、バルガスの巨体がその場に崩れ落ちた。
エラドがバルガスを起こそうと手を差し伸べた瞬間、バルガスが急に起き上がりエラドを殴りつけた。
しかしバルガスの拳は空を切っただけでエラドの姿はそこにはもう無かった。

istint3/3 15:25:482182cf14hEvergku2||224
バルガスが不意に背筋に悪寒を感じて振り返ると後ろにエラドが立っていた。
エラドはあの爬虫類のような無慈悲な目をバルガスに向けると指から魔力の糸を紡ぎだした。
バルガスはその糸に完全に拘束されてしまった。
全身の筋肉が支配されてもがく事すらままならない。

istint3/3 15:26:02182cf14hEvergku2||87
「バルガス…お前は力が欲しいのだろう?
 望むままの力を与えてやろう…新しい肉体とともにな…
 超越した存在へと転生するがよい…ククク…」

istint3/3 15:26:322182cf14hEvergku2||597
その時、バタバタと牢の中に三人の騎士が飛び込んできた。

istint3/3 15:26:442182cf14hEvergku2||774
「何してる!
 …エラド!?
 まさか…」
騎士達は驚きを隠せない。

istint3/3 15:26:572182cf14hEvergku2||303
「これはこれは。
 我が教団騎士団の団長達ではないか。」
エラドは余裕の態度を崩さない。

istint3/3 15:27:122182cf14hEvergku2||424
騎士の一人が剣をエラドに向けた。
「明らかにこれは違法行為だ!
 エラド…もう言い逃れはできんぞ…。
 まさかあなたが闇の使途だったとはな。」

istint3/3 15:27:242182cf14hEvergku2||196
騎士達は一斉にエラドに斬りかかった。
だが途中で見えない壁のようなものに阻まれて進む事が出来ない。

istint3/3 15:27:362182cf14hEvergku2||167
「ご苦労だった、諸君。
 私はこれで失礼させてもらうよ。
 諸君たちの始末はそこの男がつけてくれるだろう。」

istint3/3 15:27:522182cf14hEvergku2||788
そういい残すとエラドはバルガスとともに壁の中に吸い込まれていった。
その瞬間全身黒いローブにすっぽり包まれた男が天井から降りてきた。

istint3/3 15:28:252182cf14hEvergku2||184
一人が反射的に黒い男に斬りかかった。
他の二人もすぐさまそれに続く。
団長クラスの剣を同時に三方向から受けているというのに黒い男はその剣をかすらせもしない。

istint3/3 15:28:402182cf14hEvergku2||340
黒い男が手を強く前に押し出すと触れてもいないのに騎士達は吹き飛ばされて壁に激突した。
一人はその見えない衝撃を防ぎきれずに血を吐いてそのまま倒れてしまった。
残りの二人はすぐに起き上がり、体勢を立て直そうとする。

istint3/3 15:28:572182cf14hEvergku2||552
その時、一瞬黒の男の姿を見失ったかと思うと信じられないスピードで目の前に現れた。
剣を振り下ろす間もなく、黒い男に首をスッと撫で付けられた。
すると撫でられた部分の頚動脈が切り開かれ、大量の血が流れ出てきた。
騎士はパニック状態になり必死に傷口を押さえていたがやがて失血死した。

istint3/3 15:29:142182cf14hEvergku2||174
最後の一人もそれとほぼ同時に首を指で突かれてその部分に風穴が空き、死んでしまった。
黒い男が仕事が終わったのを確認しようとしたら最初の衝撃波で気絶していた男が息を吹き返した。

istint3/3 15:29:382182cf14hEvergku2||391
黒い男は音も無くスッとその騎士の頭を押さえつけると、首を掻き切ろうとした。
飛び移った拍子にローブのフードがパサッと脱げてしまい、騎士と目が合った。
騎士は驚きの表情を浮かべる。
「あ…あなたは…!!」

istint3/3 15:29:492182cf14hEvergku2||467
黒の男は最後まで言葉を聞くこともなく、騎士の口を左手で押さえ、顎の骨を砕くと首を掻き切り止めを刺した。
そして三人の死体を抱えると死臭の漂う部屋を後にした。

istint3/3 15:30:12182cf14hEvergku2||832
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istint3/3 15:30:362182cf14hEvergku2||750
エラドは自分の部屋でバルガスを魔力によって完全に拘束し、転生の儀式を執り行おうとしていた。
すると間もなくそこに黒い男が現れた。
エラドは男の気配に気付くとニヤリと悪意のこもった笑みを浮かべた。

istint3/3 15:30:462182cf14hEvergku2||482
「ご苦労だったな。
 お前はザファの作った失敗作とは違って仕事が早い。
 それに正確だ。」

istint3/3 15:30:552182cf14hEvergku2||922
黒い男は何も言わなかった。

istint3/3 15:31:42182cf14hEvergku2||560
「それからその無口な所も気に入っておる。
 この私自らお前に転生をさせてやりたいぐらいだ。」

istint3/3 15:31:122182cf14hEvergku2||981
黒い男はピクッと身体をこわばらせた。

istint3/3 15:31:292182cf14hEvergku2||212
エラドはゲラゲラ笑いながら黒い男からバルガスの方に視線を移した。
「そう警戒するな。
 お前を転生などさせるはずなかろう。
 私は誰よりもお前を信頼しておるのだ。」

istint3/3 15:31:432182cf14hEvergku2||782
黒い男は黙ってその場を立ち去ろうとした。
しかしエラドが呼び止める。
「もう闇の神殿へ戻るのか?
 ではその三体の団長の死体をザファに届けてくれ。
 それからもっとマシなモノを作れと伝えておけ。」

istint3/3 15:31:562182cf14hEvergku2||781
黒い男は黙って死体と共に部屋から消えた。
エラドは男が消えた後もしばらく男が立っていた場所を見つめっていた。

istint3/3 15:34:252182cf14hEvergku2||863
「…相変わらず何を考えておるか判らん奴だ…。
 今は私に仕えておるがいつ他の闇ソーサラーに寝返りおるか。
 そうなれば少々勿体無いがこの手で直々に処刑してくれる。
 特にザファの手に渡れば益々奴が闇の地位を増大させるに違いないからな…それほどにあの男の存在はすばらしい闇に満ちておるわ…ククク…。
 あの男と我が魔力、そして聖蒼教団の兵力を以ってすれば闇王サ・レギュオンの復活を待たずして世界はワシのモノだ…フフフ…ハッハハハハ!」

istint3/3 15:34:592182cf14hEvergku2||433
目の前にはバルガスがすっかり大人しくなって横たわっていた。
これから闇ソーサラーの手によってバルガスは闇の鎖に魂を繋がれ、転生させられるのだった。

istint3/3 15:36:352182cf14hEvergku2||501
今日はここまでです。
前回は完了押しちゃったのにも関わらず読んでいただきありがとうございました。
第二部は重要の新キャラがたくさん登場するのでお楽しみに☆

シェイラ3/3 21:42:112184cfHHjJ7DKpZAg||931
おお、すごい事になってますね。ますますルヴィン達にとって危ない敵が目白押しそうですね。特に、バルガスがどうなってしまうのか、怖くて仕方がありません。これから、先も頑張って下さい!


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