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7834セイクリッド・ブルー第二部(9)istint3/5 21:16:102182cfPu00xhUqrrM
http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-7804.html 前回までの話

istint3/5 21:16:572182cfPu00xhUqrrM||4
ルヴィンたち三人と一匹はやがて広い荒野を抜け、森に差しかかろうとしていた。
森は殺風景な荒野と違って綺麗な花達やたくさんの種類の木が迎えてくれた。
ニナは歩きながら薬草になる葉を摘んだり、木の実を取ったり楽しそうにしていた。

istint3/5 21:17:82182cfPu00xhUqrrM||427
ルヴィンも時折謎の夢を見るものの、体内で青龍の力が悪い気を押さえ込んでいる為、それが目覚める事はなかった。
レンティーニは相変わらずルヴィンを鍛えたりティアを訓練したりしていた。
しばらくルヴィンの精神状態も落ち着いているのでレンティーニも安心していた。
ただ、ふとした拍子に不安に駆られ、物思いにふけるのだった。

istint3/5 21:17:252182cfPu00xhUqrrM||62
レンティーニは過去に一度スタインの血を持つ者と対峙した事があった。
スタインの力の暴走は四聖の一角を担う青龍の力を遥かに凌駕しており、闇ソーサラーといえどその力の前になす術が無かったのだ。
レンティーニも世界最高の剣士と言われていたがやはりなす術が無かった。
今、ルヴィンが暴走すれば世界はどうなるだろう…。

istint3/5 21:17:422182cfPu00xhUqrrM||513
闇ソーサラーたちは確実にその力を欲している。
その力が闇に渡れば世界は終末に向かって動く事は間違いなかった。
今は青龍の力で抑えられているが覚醒すれば青龍などルヴィンの力の前には何の枷にもならないだろう。
スタインの血は戦いを求めている。
ルヴィンもいずれより強い力を求めて覚醒するのだろうか…?
それをさせない為には今のままで強くなるしかない。

istint3/5 21:17:562182cfPu00xhUqrrM||3
青龍の力を少しずつ自分のものにしていく訓練に入らなければならない。
実際ルヴィンは無意識に体外に漏れ出した青龍の力を使い始めていた。
魔力はさほどではなかったが、身体能力、反応力は格段に上昇していた。
しかし剣の振りが音速の壁を越えるまでには至らなかった為、剣の勝負ではレンティーニには敵わなかった。
魔力の訓練ではニナの丁寧な指導のお陰でやっと魔力の糸を二本まで使い、より複雑な織り方を扱えるようになっていた。

istint3/5 21:18:172182cfPu00xhUqrrM||617
ニナの話では普通の人間の魔導師なら4〜5本、エルフなら5〜8本操れるらしい。
ニナはエルフの、しかも王家の人間、まさに魔導のサラブレッドだ。
彼女は悠に10本もの糸を繰り出すことが出来る。
しかし、その十本を複雑に織り成すのは困難でニナも実際使うのは7本程度らしい。
レンティーニは魔法はからっきしだと言っていた。
戦闘中は魔法探知、ティアの能力上昇に使う二本だけだといっていた。

istint3/5 21:18:392182cfPu00xhUqrrM||451
かつて戦った事のある闇ソーサラーは十数本の糸を自在に操り、レンティーニたちを苦しめたらしい。
ルヴィンはレンティーニたちの話を聞きながら少しずつ自分の中の青龍を自覚し始めていた。

istint3/5 21:18:562182cfPu00xhUqrrM||628
ある日、レンティーニとニナには内緒で夜中に起き出し、自ら青龍に語りかけてみた。
瀕死の状況で見た夢の中に出てきたあの龍を思い浮かべて。
「いるんだろ?
 返事してくれ、龍。」

istint3/5 21:19:122182cfPu00xhUqrrM||233
何度も何度も呼びかけたが龍は現れなかったが、ある晩ようやく夢の中の龍がルヴィンの呼びかけに応えた。
ルヴィンの頭の中に低い、威厳に満ちた声が響く。

istint3/5 21:19:232182cfPu00xhUqrrM||713
(なんだ…小僧。
 私はレンティーニとの約束でお前の身体の中にいるに過ぎん。
 うるさく話しかけられてはたまらん。)

istint3/5 21:19:382182cfPu00xhUqrrM||871
「やっぱり俺の身体の中にいるんだな!
 もっとあんたの力を貸してくれ!
 レンティーニみたいになれるんだろ?」

istint3/5 21:19:552182cfPu00xhUqrrM||890
龍は怒ったように吼えた。
(勘違いするな、小僧!
 貴様ごときが私の力を使いこなせると思うか!
 また意識を失い、肉体に致命的なダメージを受けるのがオチだ。
 そんな甘い考えではレンティーニにはこの先永遠に追いつけぬわ!)

istint3/5 21:20:162182cfPu00xhUqrrM||761
ルヴィンは龍に叱責され、急に自分が恥ずかしくなった。
レンティーニも、ニナも、マサムネ、バルガス、ソロネ、スネイクだって…敵味方問わずルヴィンの知ってる強い男は皆ルヴィンが考えもつかないような厳しい訓練をしてきたに違いないんだ。
ルヴィンがしょげていると龍が話し始めた。

istint3/5 21:20:352182cfPu00xhUqrrM||980
(急がなくてもいずれお前には強い力が備わるだろう。
 お前が私を受け入れられるほど強くなったら全ての力を貸してやる。
 今は少しずつ漏れ出した力を使うがいい。)

istint3/5 21:20:452182cfPu00xhUqrrM||124
龍はそういうと消えようとした。
ルヴィンがそれを引き止める。

istint3/5 21:20:572182cfPu00xhUqrrM||723
「ちょっと待てよ!
 俺、レンティーニにも話してないけどアレできるようになったんだぜ!
 まあ、十回に一回くらいだけど…
 見てろ。」

istint3/5 21:21:122182cfPu00xhUqrrM||393
そういうとルヴィンは森の川の中にザブザブ入っていった。
剣を抜くとゆっくり深呼吸する。
思い切り剣を振りかぶると水面に向かって剣を叩きつけた。
水は数メートルほど巻き上げられ、水面を走り向こう岸まで突き抜けた衝撃は僅かだが地面に亀裂を生じた。

istint3/5 21:21:222182cfPu00xhUqrrM||118
「はあ、はあ…見たか!
 えっと、音速を超える切っ先は衝撃波を生じる…だったか?」

istint3/5 21:21:402182cfPu00xhUqrrM||35
青龍は消え去りそうになりながらもルヴィンのことをやっと認めつつあった。
(こいつは驚いた…。
 スタインの血は伊達じゃないということか。
 お前は強くその血を受け継いで生まれてきたようだ。
 よかろう…この青龍の力、父の様に使いこなせ。
 とりあえず右手だけ貸してやる。
 だがお前の身体はまだこの力に耐えられん。
 右手が大事なら使用を控えるんだな。)

istint3/5 21:21:492182cfPu00xhUqrrM||182
ルヴィンが目を開くと右手が青く光っていた。

istint3/5 21:22:52182cfPu00xhUqrrM||530
翌朝になると青い光はすっかり消えていて、夢でもみていたような気分だった。
森の中は本当に世界が闇に閉ざされようとしているとは思えないほど平和な景色が広がっていた。

istint3/5 21:22:232182cfPu00xhUqrrM||255
のんびり歩いているとティアが突然鼻をスンスン鳴らしだした。
レンティーニはそれに気付き、手を剣に掛ける。
その時ニナが「あ!」と声を上げ、前方を指差した。
ニナの視線の先には背の低いウサギがいた。
しかしそれはただのウサギではなく、人と同じように二足歩行していた。
ウサギは三人に気付くと耳をピンっと立てて走り去ってしまった。
ニナはその愛らしさに大はしゃぎしている。
三人は半獣の村に到着したのだった。

istint3/5 21:22:392182cfPu00xhUqrrM||35
一見、普通の人間の村と変わらない様子だったがそこにいる人々は身体は人間、頭は動物という半獣たちだ。
彼等はルヴィンたちを警戒していたが、ティアとレンティーニの姿を見ると口々に声を掛けてきた。
村の子供達は怖がる様子も無くティアの背中に乗ったり抱きついたりしている。
ティアも大人しく子供達の顔をペロペロなめたりしていた。
しばらくすると村の奥のほうから熊の半獣が出てきて、レンティーニに歩み寄ってきた。

istint3/5 21:22:502182cfPu00xhUqrrM||630
「久し振りだな、黒騎士。
 王国三騎士を解散して以来じゃないか?
 ジェイドとアイシスはどうした?」

istint3/5 21:23:02182cfPu00xhUqrrM||912
アイシスの名前が出た瞬間レンティーニは熊の半獣の口をふさいだ。
小声で耳打ちする。

istint3/5 21:23:82182cfPu00xhUqrrM||982
「その話は今夜ゆっくりしよう。
 わけは後で話す。」
熊の半獣は何かを察したかのように頷くと三人を自分の家に案内した。

istint3/5 21:23:462182cfPu00xhUqrrM||475
熊の半獣の名前はポトフといい、以前レンティーニたちと少しだけ旅をしたことがある。
彼の家では久しぶりに暖かい食事と寝床が用意され、ニナとルヴィンはゆっくり休む事が出来た。
レンティーニとポトフは二人が寝静まったのを確認するとどちらからともなく酒を飲みながら話し出した。
ポトフはルヴィンがアイシスの息子だと聞いて驚きの色を隠せなかった。
アイシスがスタインの血に蝕まれて行く様子を見ていた数少ない人物の一人だ。
そしてレンティーニとともにまだヘレナ(ルヴィンの母)の胎内にいたルヴィンに青龍の封印を施した人物でもある。

istint3/5 21:23:552182cfPu00xhUqrrM||205
「ジェイドはどうした?
 一緒じゃないのかい?」
ポトフが尋ねる。

istint3/5 21:24:62182cfPu00xhUqrrM||64
レンティーニはきまりが悪そうに答えた。
「ジェイドとはアイシスを失ってからすぐに別れたよ。
 アイシスがいなくなった時点で俺たちはもう終わったんだ…。
 今はあいつはギャンブル漬けになってるらしいよ。」

istint3/5 21:24:262182cfPu00xhUqrrM||304
ジェイドとはレンティーニたちとともに王国三騎士に選ばれた男だった。
三人の内では最年少で騎士になった才能溢れる戦士だ。
彼もまた転生の儀式を施された一人だ。
彼はアイシスを失ってからはすっかり変わってしまい、一人でギャンブルの町へと旅立ったのだ。

istint3/5 21:24:442182cfPu00xhUqrrM||81
「そうか…グランデュール最後の希望、王国三騎士はもう解散してしまったのだな。
 これで世界は終焉に向かい走り出したわけだ。
 それとも聖蒼教団がこのまま…」
そこでレンティーニがポトフの言葉をさえぎった。

istint3/5 21:24:562182cfPu00xhUqrrM||42
「それは違う。
 王国三騎士は最後の希望なんかじゃない。
 ただ時代は次の世代を向いただけさ。
 俺たちの役目はそいつらを育てる事。 
 俺たちが出来なかった事をあいつらならきっとやり遂げる。」

istint3/5 21:25:82182cfPu00xhUqrrM||375
ポトフはゆっくりカップをテーブルに置くとニコッと微笑んだ。

istint3/5 21:25:232182cfPu00xhUqrrM||556
「お前さんも変わったな。
 あんなに血の気が多かったレンティーニとは思えないぞ。
 新しい希望ってのは上で寝ているルヴィン君のことかい?
 だが彼はアイシスと同じ血を引いているのだろう?
 青龍の封印はスタインの力には完全には対抗できないことはもう実証されている。
 大丈夫なのか?」

istint3/5 21:25:392182cfPu00xhUqrrM||192
レンティーニはいつもの自信ありげな態度で答えた。

istint3/5 21:25:502182cfPu00xhUqrrM||268
「その為に俺がついてるんだ。
 まあ、白の塔の賢者に会ったら色々分かる事もあるだろう。
 もちろんセイクリッド・ブルーの手がかりも得られるかもしれないしな。」

istint3/5 21:26:92182cfPu00xhUqrrM||545
白の塔は半獣の村からはそう遠くない位置にあった。
塔は誰が何の目的のために作ったのかはもう誰にも判らなかったが、エルフと並んで古い種族である半獣たちの間には色々と伝説が残っていた。

istint3/5 21:26:242182cfPu00xhUqrrM||558
そこに賢者が住んでいるというのもこの村の伝説だ。
しかし賢者には誰も会った事が無い。
それどころか塔には入り口が見当たらないのだ。
半獣たちの先祖は塔の建設に関わったらしいという伝説がある。

istint3/5 21:26:422182cfPu00xhUqrrM||563
しかし半獣たちにも塔の入り方を知るものは今ではもういなくなってしまった。
その上、塔の管理は現在は聖蒼教団によって行われており、塔周辺は傭兵たちの駐屯地があるらしい。
ポトフはもう昔のような体力は無いので三人をそこまで案内するのは無理、ということだった。

istint3/5 21:26:562182cfPu00xhUqrrM||508
「せめてジェイドがいたら…。」
ポトフがつぶやいたが、その言葉はドアの向こうから聞こえたガタッという物音にかき消された。

istint3/5 21:27:132182cfPu00xhUqrrM||703
レンティーニが一瞬にして魔法探知でその音のするほうを捉えた。
魔法探知ははっきりと人の形を認識した。
レンティーニは一足飛びで側まで行くと、勢いよくドアを開けた。

istint3/5 21:27:242182cfPu00xhUqrrM||148
そこには一人の男が跪いていた。
「レンティーニ様、お久しゅうございます。」
男が顔を上げるとレンティーニの瞳をじっと見つめた。

istint3/5 21:27:452182cfPu00xhUqrrM||205
「レンティーニ様、お久しゅうございます。」

istint3/5 21:28:22182cfPu00xhUqrrM||179
レンティーニにはそれが誰かすぐに判った。

istint3/5 21:28:452182cfPu00xhUqrrM||433
今回はここまでにしておきます。
いつも感想ありがとうございます^^

istint3/5 21:37:102182cfPu00xhUqrrM||909
はあ、何だかチビファンの世界観がなくなっちゃってますね…^^;
ちなみに設定ではレンティーニはチビの世界で言うとレベル500の覇者くらいの強さです。

シェイラ3/8 20:38:252191cfABXm0q61bBA||469
こんにちわ!またまた、わくわくしながら読ませていただきました♪そんなことないですよ!白い塔とか、何度か行った事がある場所が出てきて逆に、親近感が持てました。特に、今半獣の村を拠点にしているんで、嬉しかったです。ええ!レンティーニ強すぎですよ!次の展開がどうなるのかどきどきしながら待ってます!


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