7845 | リキと桜(ちょっと長い読切小説) | sIs | 3/7 22:56:54 | 2191cfJbjQbv/Fe3k |
※話が途中で遮られたら困るので、『* 後書き *』が載るまでレスはご遠慮願います。 ※作品に関する批判は構いませんが、それ以外での批判や冷やかしは帰って下さい。 ※勿論、荒らしも帰って下さい。 |
sIs | 3/7 22:57:5 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||132 | ||
ここは 地球から遠く離れた 人のいない とある星の話 地球によく似ているけれど 地球とは違うところがある そんな ちょっと変わった星だけど この星にも今日 春が来ました |
sIs | 3/7 22:57:14 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||498 | ||
- リキと桜 - |
sIs | 3/7 22:57:34 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||942 | ||
リキは今年で三歳になる仔犬だ。 いや、ここは地球とは違うので、正確には仔犬とは言わない。 額に生えている角を見れば伝説の生物『一角獣』と見ることが出来るかもしれないし、四つある耳を見れば最早どう言えばいいか分からなくなる。 それでも、何か生物であることは間違いない。 |
sIs | 3/7 22:57:43 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||733 | ||
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sIs | 3/7 22:58:5 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||985 | ||
リキが桜の季節を迎えるのは、これが三回目。 ところが、リキは今まで『桜』というものを見たことがない。 一昨年は、まだ一歳で小さかったので、家から出してもらえなかった。 去年は、リキが花粉症であることが判明したので、親に家中の窓を全部閉められてしまった。 |
sIs | 3/7 22:58:16 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||212 | ||
今年は花粉が少ないらしいと新聞が言ってたから大丈夫だろうと、リキはしつこく粘って親を説得した。 リキの母親は半ば諦めたような感じではあったが、許可を出してくれた。 「桜は見てもいいけど、あまり遠くまで行ったらダメよ?」 「分かってるよ、それぐらい」 本当は少し遠くの河原の桜並木まで行きたかったが、そんなことを言ったりしたら出してもらえなくなるので、夏や秋の間遊びに行っている公園の桜で我慢することにした。 |
sIs | 3/7 22:58:25 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||485 | ||
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sIs | 3/7 22:58:42 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||681 | ||
桜を見に行く日の朝。 早朝に母親が作ってくれた弁当と、温かいお茶を入れた水筒を手に、リキは元気よく家を飛び出した。 慣れない早起きをしたせいか、母親は弁当を作るだけで布団に戻っていった。 |
sIs | 3/7 22:59:1 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||681 | ||
春の暖かい風が、リキの鼻先をくすぐる。 こんな体験も、初めて春に外出したリキにとって初めて。 気持ちよかったので深呼吸したら、何故かくしゃみが出てきた。 「・・・今年は花粉が少ないって言ってたのに〜」 鼻を啜りながら、リキはぶつぶつ言った。 こんなことを言うぐらいだから、当然リキは『少ない』と『ない』の違いには気付いていない。 |
sIs | 3/7 23:0:11 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||282 | ||
家から五分ほど歩けば、秋の間よく来る商店街に着く。 ここを通り抜ければ公園は目の前。 春は山菜が美味しいらしいので、ほとんどの店先に山菜が置いてあった。ワラビやゼンマイは特に良いんだとか。 だがリキは食べたことがないから、そんなことは知らない。 |
sIs | 3/7 23:0:28 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||875 | ||
「よぉ、おめぇリキじゃねぇのか」 活気付いた春の商店街をしばらく歩くと、威勢の良い声に呼び止められた。 振り向けば、まだまだ元気の良さそうな初老の馬。 馬とは言っても、二本足で立っている上、体の構造が人間と非常に似ているのだが。 |
sIs | 3/7 23:0:46 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||802 | ||
「あっ、ゲンさん」 「春に一人でお使いか?おめぇ花粉症じゃなかったのか」 ゲンさんは花粉症ではないので、毎年毎日こうやって商店街を歩いているのだが、春の間にリキが商店街を歩くことなど一度もなかったので、不思議そうに尋ねた。 リキは少し大げさに首を振って、 「違うよ、これから桜見に行くの」 と言った。 ゲンさんはますます不思議そうに首をかしげた。 |
sIs | 3/7 23:1:7 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||936 | ||
「桜?ほぅ、走り回るのが好きなリキも、桜が見たいのか」 「走るのが好きなのはゲンさんじゃないの」 「そりゃ昔は足も速かったし、いくら走っても疲れなかったけどよ。 今じゃこんなに歳取っちまってまともに走れやしねぇさ」 過去の栄光を思い出してしまったらしく、ゲンさんは目を閉じて腕を組んだ。 終わるのを待っていたら時間がなくなってしまうので、リキは逃げるように、 「じゃあまたね、ゲンさん」 とだけ残して、そそくさとその場を立ち去った。 一人取り残されたゲンさんは、 「懐かしいなぁ」 などと呟いていて、リキがいなくなったことにも気付いていなかったようだ。 |
sIs | 3/7 23:1:16 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||306 | ||
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sIs | 3/7 23:1:26 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||577 | ||
ゲンさんから逃げた後も何度か知り合いと鉢合わせして、その度に 「花粉症じゃなかった?」 と聞かれた。 何でそんなに珍しがるんだろう、とリキは不思議に思った。 思いながら、先程八百屋のおばさんがくれた沢山の山菜を、少しつまみ食いしていた。 |
sIs | 3/7 23:1:43 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||743 | ||
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sIs | 3/7 23:1:54 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||736 | ||
夏は緑が空を隠し、木陰がとても気持ちいい公園。 秋は樹の周りに落ちていた、実の詰まったどんぐりを沢山拾っていた公園。 冬は家の窓から、寒そうに立ち尽くす枯れ木を眺めていた。 春の公園は見たことがないが、夏より、秋より、冬より、ずっとずっと綺麗だろうと想像していた。 きっと、桜の白い花弁で一杯なんだろうと想像していた。 |
sIs | 3/7 23:2:12 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||617 | ||
商店街の終点まで来て見通しが良くなったところで、いつも遊びに行っている公園が見えてきた。 夏は緑の、秋は橙の葉を付けている木立が、リキの目の中に飛び込んできた。 |
sIs | 3/7 23:2:26 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||931 | ||
「わぁ、綺麗!」 リキが想像したとおりだった。 桜の白い花弁で一杯、というわけではなかったが、白のような、桃色のような、鮮やかな桜。 夏に見たヒマワリよりも気品があって、秋に見たコスモスよりも大きくて。 これほど綺麗な花は見たことがなかった。 |
sIs | 3/7 23:3:16 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||343 | ||
「凄ーい!」 リキは叫びながら、笑顔で公園へ向かって一直線に走っていった。 |
sIs | 3/7 23:4:5 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||953 | ||
* 後書き * 数ヶ月ぶりの小説。 話の内容を考えるのに数時間も費やさず、下書きも面倒だからせず、パパーッと書いていきました。 最初はやる気だったけど、途中から手抜きしているのがバレバレ。 取りあえずすみませんでした。 シリアスなものとか、ギャグ物も好きなことは好きだけど、一番書きやすいのはこういう童話風の物語です。 別の星を舞台にしたので哲学的な雰囲気もしますけど。 手抜きしたけど書いていて楽しかったので、もしかしたらシリーズ化するかも。 (2006.03.06 完成) * サイト * 蒼い遺跡の散歩道 http://aoiiseki.ojaru.jp/ |
ピマ | 3/8 20:15:43 | 2219cfr7vZnkxhADw||212 | ||
今晩は。またまた見てしまいました! わぁ♪リキ,桜みれて良かったですね^^全然手抜きには見えませんよ!!とっても読み応えのある作品だと私は思います★私は,sIsさんの小説みたの初めてで,詩だけでなく,小説もとっても良いなあ♪と思いました!!確かに桜って,いつもみてたら分からないけど,春が過ぎて,夏秋冬と長い期間忘れてたら,【桜ってこんなに綺麗だったかなぁ】と,よく思うことがあります。やっぱり一生懸命咲いた花は綺麗なんですよね^^(ハナシズレテル) 次のも期待してます! |
sIs | 3/8 23:13:14 | 2191cfJbjQbv/Fe3k||980 | ||
ピマさん> 感想ありがとうございます(o_ _)o や、終わりは大分手抜きしてます(笑) 分かる人にはバレバレな手抜きしてます。 タイトルと内容が合っているかどうかすら不安・・・ゲンさんとの会話が半分を占めていますので(;´▽`A`` 桜ほど謙虚な(?)花はないと思います。 皆の目によく触れるからあまり意識されないんだけど、それでも決して騒ぐことなく、しかし一生懸命に咲いている姿が私は大好きです。 今年は一体、どれだけの人がリキと同じ思いを抱くのでしょうか。 |
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