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8001壬生狼3/27 17:55:342182cfHbZHByIoMb.
特になし

壬生狼3/27 18:6:262182cfHbZHByIoMb.||179
「幽霊はいると思う?」

とても、とてもとても昔にそう聞かれた事を覚えているのだろうか。

何か深く考える時、自然とこの質問が浮かんでは消えていく。

そんな質問を思い出したのは、あんな夢を見たからだろう。

世界が自分がいる地面だけになってしまったと思ってしまうような、深く白く。

そしてなにより、暗い水の気体の中でひたすら誰か待っている。

自慢じゃないが、私の友好範囲はそれほど広くない。

壬生狼3/27 18:16:152182cfHbZHByIoMb.||532
むしろ狭い、と言ってしまっても反論も無いだろう。

そんな私が、あの空間の中で夢が太陽の光に飲まれるまでの長い時間に誰を待って

いたのかと考えたのが起爆剤。

友好範囲の狭い私に、そこまで長い時間待たせられる人間は・・・・・

そこまで思い出したが

ボッ

鈍い音と共に後頭部に衝撃が走り抜けた。

壬生狼3/27 18:41:432182cfHbZHByIoMb.||368
その音と衝撃のせいで精密かつ繊細な過去への思考は吹き飛ばされた。

「いつまで寝てんだぁ?」

タバコの煙を吐きながら私に語りかけた。

「寝てないっ。考えごとをしていただけだっ。それに私はタバコの匂いが嫌いだと何

 度言えばわかるんだ?」

「匂い?香りと言えよ。それにここ、オレん家なんすけどねぇ」

こいつの名前は風崎大吾という。私の少ない友人の一人だ。

「いつの間にか寝てしまったか」

壬生狼3/28 11:59:452182cfA02YnllN0Wk||583
「ほら、やっぱ寝てたんじゃねぇか」

「知らん、ところで妙な事をしてないだろうな」

「してねぇし、する気もねぇよ」

散らかった部屋、私がベッドを占領してしまったため大吾は床で寝たようだ。

「今、何時だ?」

「あぁ?」

「この部屋には時計が無いのか?」

壬生狼3/28 12:4:232182cfA02YnllN0Wk||139
「はっはっ、時計が逃げ出しちまってな」

「女にも永遠に逃げられるだろうな」

「・・・・・今は11時59分だ」

「もうそんな時間か」

こいつ、昼食をどうするつもりだ?

「昼食をどうするつもりだ?」

「これだ、これ」

壬生狼3/28 12:10:262182cfA02YnllN0Wk||734
インスタントラーメン、カレー味。

「なんか作ってやろう。買い物してくる、サイフを貸せ」

「おう?めずらしぃねぇ」

「寝床の礼だ」

「サイフ・・・サイフはどこに逃げたかな?」

この男、近いうちに餓死するだろう。

「おっ!冷凍庫ん中だ、持ってってくれ」

壬生狼3/28 12:16:162182cfA02YnllN0Wk||157
「なんで、こんなとこに」

時計まで中に。この時計は正確な時間を刻むことをあきらめたようだ。

「この部屋の状況を見てみろ、確実に物が無くならない場所はそこだけだ」

「・・・・頭が良いんだな」

「だろっ?」

真実の視線でこっちを見てくる。これは、本気だな。

「無駄なもん買うなよ?金を逃がすと、ちっと苦しいからな」

壬生狼3/28 12:33:22182cfA02YnllN0Wk||42
「見ればわかる。行って来るぞ」

「おう、いってらっさい」

ドアを開けると、オレンジを爆発させたような太陽が視覚を貫いた。かなりまぶしい

「日の当たり方のおかしいアパートだな」

歩きながらそう思った。

じりじりと足元から熱気が吹き上がって、かなり暑い

デパートが見えると、心なしか歩の運びが速くなる。

壬生狼3/28 12:53:452182cfA02YnllN0Wk||41
着いたっ

卵、ニンジン、その他諸々、あと米っ!

「さてっと、これだけあれば大丈夫だろう」

「あ、森〜、天沙都〜」

頭(中味含む)が軽そうな彼は、加藤 尚。 頭が軽い。

「やっほ、なにやってるん?」

「買い物だ。」

「ほうほう、誰のために?」

壬生狼3/28 13:1:02182cfA02YnllN0Wk||273
・・・鋭いな・・・

「自分のためだが?」

「じゃぁ僕もついてくよ」

「・・・っ・・・・邪魔になるだけだぞ?」

「すぐ邪魔にならなくなると思うから安心してよ」

・・・・・・?

なるほど、確かにな。今回は私の負けだ。

壬生狼3/28 13:11:562182cfA02YnllN0Wk||420
レジに着き預かった財布を開けた瞬間、目まで大きく見開いてしまった。

なんで、こんなに大金が、と思ったが深く考えないようにした。

そこに軽い頭が口を開く

「こんなに一人で食べられるわけ無いでしょ?」

半笑いの顔に殺意を抱く

「そうだな、荷物を持ってくれたことにも感謝しよう。ありがと」

「ははっ」

壬生狼3/28 13:20:102182cfA02YnllN0Wk||451
しばらく歩くと、「作ったときからボロかったんじゃないか」という感じのアパート

に着いた。

ドアを開けると

「餓死、餓死するぞぉ」

野太い男の声音が聞こえる。

「あぁ、速めに作ってやるから安心しろ」

「・・・・なんか、いらんもん拾ってきたな?」

「いらんもんとは失礼だねぇ」

壬生狼3/28 13:26:512182cfA02YnllN0Wk||599
「食うヤツが増えたら俺の分が減るだろうがっ」

「みんなで食べた方がご飯はおいしいでしょっ」

「人種によるだろっ」

「みんな日本人だから問題ないじゃんっ」

「一人宇宙人が混ざってんだよっ」

背後がうるさい。

さて、材料は切ったし米も炊けた。

「大吾、フライパンはどこだ?」

壬生狼3/28 13:33:412182cfA02YnllN0Wk||45
「足元の棚、右側だ」

これは・・・・1度洗わないとダメだな。

「私は水道が付いていて、皿があることに感謝するよ」

フライパンを火にかけ、しばらくして材料を入れる。

「おっ、いい匂いだな」

「ホントに、いい匂いですねぇ」

「お前ら、香りと言え、香りと」

壬生狼3/28 13:39:122182cfA02YnllN0Wk||877
チャーハンの完成

「おおっウマそー」

「いただきます」

「コショウの風味が良いですね〜」

「肉がいいゾ」

「おっ森が赤くなってんぞ?」

「誰に対して?」

「自分の料理の腕にな」

壬生狼3/28 13:45:32182cfA02YnllN0Wk||495
「ははははは」

「かっかっかっ」

「で、聞きたいんだがな?尚は何で俺ん家に来たんだ?」

「今日一日暇だからね〜」

「暇つぶしで俺の飯を。」

暇人だな。3人とも。

「今日は泊まって行こうかな」

「!!!!!!」

壬生狼3/28 13:53:192182cfA02YnllN0Wk||813
尚がそう言って、1番驚いたのが風崎、私は黙々とチャーハンを食べる。

「どこに寝る気だ?」

「そこに掛け布団にちょうど良い物があるじゃないか」

朝、風崎が使っていた布団。

「待て、ベッドは譲らないぞ」

思わず口を出してしまった。

「お前・・・今日も泊まって行く気か?」

「へ〜、泊まってったんだ〜」

壬生狼3/28 13:59:522182cfA02YnllN0Wk||789
「やましい事はっ」

「するわけないだろ」

「男と女が個室の中で何も無しとは、少子化も進行するわけだねぇ」

墓穴を掘った

「まぁいいや。布団無しで床で寝るよ」

「そこまで決意が固いのか。」

なんて無駄に固い決意だ

「問題が解決したところで、私から1つ質問がある」

壬生狼3/28 14:14:32182cfA02YnllN0Wk||718
「解決してねぇ」

「解決したよ」

「・・・・質問・・・・いいか?」

静かになったのでしゃべり出す

「大吾、サイフの大金は何だ?」

「あぁ、あれか」

「大金?」

「尚は黙ってな。あの金はな、昔のシゴトで稼いだ金だ。」

「シゴト?」

壬生狼3/28 14:27:362182cfA02YnllN0Wk||170
「あぁ。どんな?って聞かれると、あんま胸張って答えられた仕事じゃねぇんだが」

「どんなシゴト?」

即行で聞く尚の頭の軽さに感服する

「企業スパイってヤツだ」

「・・・・」

「ホント、胸張って言えた仕事じゃないね」

風崎はゴンッ、と尚の頭に拳をつけた。

「昔の話はここまでにしよう」

壬生狼3/28 14:54:572182cfA02YnllN0Wk||42
「待った、何でこんな稼ぎの良いシゴトをやめたんだ?」

自然と言い放たれた疑問に大吾の顔が険しくなる。

「気づいたんだよ。」

「?」

「企業スパイは殺人より性質がわりぃってな。時間をかけて、苦しませて、人を殺し

てたかもしれないってな。」

「そうか」

「辛気臭ぇ顔すんなって、昔のことだ」

「そうそう、嫌な事は忘れなきゃねぇ」

壬生狼3/28 15:11:402182cfA02YnllN0Wk||136
そう言って尚の顔が悲しそうになっていく

忘れたほうが良い事もあるだろうが、忘れてはならない過去もある。

「さて、まだ午後2時30分だ。お前らは何がしたい?」

「ゲーセンで豪遊!」

「本が読みたい」

「尚の私生活を垣間見たい」

「心が合わねぇ・・・」

「で、どうするの?」

「この年で、ゲーセンで騒ぎたくねぇ、そして本は生理的に受け付けねぇ」

「僕の家は勘弁して、そして本は苦手」

「私の意見を言う間もなく三つとも潰れたか」

壬生狼3/28 15:28:42182cfA02YnllN0Wk||393
「じゃあ、私はしばらく仮眠させてもらうよ。後は男2匹でよろしくしててくれ。」

「匹数えかよ」

「ひとまとめ・・・・」

2匹がゴチャゴチャいがみ合ってるのが聞こえるが、かまわず意識を手放す

「幽霊はいると思う?」

今日、大吾の過去の話を聞いた。

「企業スパイってヤツだ」

そう言う大吾の顔は後悔に歪んでいた。

苦しめる過去を幽霊と呼ぶなら、「いる」と答える。

壬生狼3/28 15:42:02182cfA02YnllN0Wk||980
その場合、励まし、癒す過去を天使と呼ぶのだろうか。

ばからしい

なら、自分には天使と幽霊が憑いている。

心強い限りじゃないか

天使も幽霊もいつも背後に、そして背中を押し続ける。

ならば進もうじゃないか、立ち止まる事は許されていないらしいからね。

壬生狼3/28 15:46:472182cfA02YnllN0Wk||653
1話完

感想ヨロシク〜


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