8076 | オリジナル小説第2弾(コナン) | 工藤新一 | 4/8 7:17:40 | 2213cfGVH8PQKj10E |
「ねぇ、蘭、ヤツは何処よ。」 1時間目も終って、園子の第一声。 決まって、やつと名指しさされるのは一人しかいないことを蘭は知っている。 「……、事件じゃない?」 私は、教科書をそろえながら、答える。 冷やかされるのは承知だから。 「ほぉ。」 園子は、にんまりとした顔で私を見る。 「なによぉ。」 私は、耐えきれなくなって、声を荒げるように言った。 「いや、亭主のことは、よくしってるなと思って。」 園子は、軽く言って笑う。 「亭主も何も、彼氏でもなんでもなくて、ただの幼馴染。」 |
工藤新一 | 4/8 7:18:28 | 2213cfGVH8PQKj10E||713 | ||
私は、そう言いながら教科書を机の中にいれるが、内心、自分の言った言葉に、自分で傷 ついていた。 「もう聞き飽きたわよ、そのセリフ。」 はいはいそうですかと、園子は、笑って答えた。 まったく、人の気も知らないで。 桜の花も散り、うっとおしい五月雨もすぎ、そして、来ようとしているのは夏。 衣替えもすんで、私の腕からは、はだがみえる。 そんなこと、新一なんて、五万ミリとも、気にしてはいないだろうけど |
工藤新一 | 4/8 7:18:52 | 2213cfGVH8PQKj10E||847 | ||
「しっかし、暑いわよね〜。蘭。」 2時間目移動教室のときに、窓から空を仰ぎながら、園子は言った。 新一は、来ない。 知ってる。 事件が最近立てこんでいて、大変だって言ってたコト。 それが難しい事件だってコト。 「だよねぇ。」 私は、いってんぽ送れて相槌を打つ。 「また新一君のこと考えてたんでしょ、蘭。」 にたぁ、と笑って、園子は、私のほうを向く。 「そんなんじゃないってッ!」 そう言い終わらないがうちに、園子は、廊下をかけていく。 「園子ぉ?」 私も慌てて後を追う。 振り向きざまに、彼女は、笑っていった。 「図星でしょッ!」 |
工藤新一 | 4/8 7:19:25 | 2213cfGVH8PQKj10E||553 | ||
3時間目。 新一は来ない。 4時間目。 新一は来ない。 5時間目。 新一は来ない。 6時間目。 新一は来ない。 「今日も来なかったわね、新一君。」 園子は、清掃が終って、私のそばに駆け寄ってくる。 「いそがしんじゃない?」 私は笑顔でそう返す。 「ねぇ、蘭、一緒に帰らない?」 |
工藤新一 | 4/8 7:19:49 | 2213cfGVH8PQKj10E||903 | ||
園子は、このことを言うために蘭のそばに来た。 でも、蘭は、そんなことには気がつかず、いつものように行った。 「ごめん、部活あるから、また明日ッ!」 教室の戸にむけて、一目散に走る。 「うん、じゃぁ………、がんばってね。」 園子は、軽くてを振って私を見送ってくれる。 それに答えて、私も手を振っていった。 「ばいばい!」 |
工藤新一 | 4/8 7:20:46 | 2213cfGVH8PQKj10E||265 | ||
「なんで誰もこないの?」 蘭が来て、1時間。 誰も、練習場にはこようとはしなかった。 「最悪。」 一人、うずくまってすわって、蘭は言う。 それでもさっきまでは、技の練習をしていたのだ。 「らーん。」 ひょこっと、入り口から見えたのは、いつもの彼の姿。 「新一?」 私は、すぐにたって、入り口のほうに駆け寄る。 「蘭、おまえ、バカか?」 開いた口から出たのはこの言葉。 「何よ!いきなり。」 私は安心感と共に駆け出してしまったことと、この失礼な口にかっとなって声を上げた。 「今日は、職員会議で、何もできないから、部活ナシって前から先生言ってただろ?」 |
工藤新一 | 4/8 7:21:13 | 2213cfGVH8PQKj10E||762 | ||
新一の口から飛び出した言葉。 そう言えば……。 「そうだったけ?」 蘭はきょとんとした瞳で、新一を覗く。 「そーなの。」 新一は妙になっとくした言葉を蘭に降り注ぐ。 疲れているはずなのに。 ……。 間があって、蘭はすこし自分で考え込んだ、疑問を新一に投げかけた。 「なんで、新一、ココにいるの?」 きょとんとした顔で尋ねられ、一瞬新一はその表情と答えに途惑う。 でも、すぐにいつもの調子に戻って、蘭に言葉を投げかける。 「ノート借りようと思ってサ。」 |
工藤新一 | 4/8 7:21:45 | 2213cfGVH8PQKj10E||791 | ||
残念。 心の中で、自分で言って、その後に蘭は言う。 「ふ〜ん、分かった。」 そう言って、蘭は、部室のほうへと歩いていく。 それを後ろから、新一が呼びとめ、言った。 「せっかくだから、一緒に帰ろうぜ。」 くるっと振り向いて、蘭は、普通に言った。 「いいわよ。」 と。 そして、口の端が緩んでいくことに気づく。 その姿は、新一には見えない。 けして見せない。 部室へ行く足取りは、教室移動の時より軽かった。 そして、手早く、着替えを済ませて、新一の元に高鳴る胸を押さえて歩き出す。 余談ではあるが、新一の頬が少し赤く染まったこと、そして、その一瞬の途惑いに、 蘭は気づいていない。 |
工藤新一 | 4/8 7:22:34 | 2213cfGVH8PQKj10E||401 | ||
このときの彼らは、お互いに離れる日が来るなど知る由もなかったけれど…………。 END |
工藤新一 | 4/8 7:23:40 | 2213cfGVH8PQKj10E||600 | ||
では感想どうぞ くるといいなあワクワク |
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