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8076オリジナル小説第2弾(コナン)工藤新一4/8 7:17:402213cfGVH8PQKj10E
「ねぇ、蘭、ヤツは何処よ。」
1時間目も終って、園子の第一声。
決まって、やつと名指しさされるのは一人しかいないことを蘭は知っている。
「……、事件じゃない?」
私は、教科書をそろえながら、答える。
冷やかされるのは承知だから。
「ほぉ。」
園子は、にんまりとした顔で私を見る。
「なによぉ。」
私は、耐えきれなくなって、声を荒げるように言った。
「いや、亭主のことは、よくしってるなと思って。」
園子は、軽く言って笑う。
「亭主も何も、彼氏でもなんでもなくて、ただの幼馴染。」

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私は、そう言いながら教科書を机の中にいれるが、内心、自分の言った言葉に、自分で傷
ついていた。
「もう聞き飽きたわよ、そのセリフ。」
はいはいそうですかと、園子は、笑って答えた。
まったく、人の気も知らないで。

桜の花も散り、うっとおしい五月雨もすぎ、そして、来ようとしているのは夏。
衣替えもすんで、私の腕からは、はだがみえる。
そんなこと、新一なんて、五万ミリとも、気にしてはいないだろうけど

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「しっかし、暑いわよね〜。蘭。」
2時間目移動教室のときに、窓から空を仰ぎながら、園子は言った。
新一は、来ない。
知ってる。
事件が最近立てこんでいて、大変だって言ってたコト。
それが難しい事件だってコト。
「だよねぇ。」
私は、いってんぽ送れて相槌を打つ。
「また新一君のこと考えてたんでしょ、蘭。」
にたぁ、と笑って、園子は、私のほうを向く。
「そんなんじゃないってッ!」
そう言い終わらないがうちに、園子は、廊下をかけていく。
「園子ぉ?」
私も慌てて後を追う。
振り向きざまに、彼女は、笑っていった。
「図星でしょッ!」

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3時間目。
新一は来ない。
4時間目。
新一は来ない。
5時間目。
新一は来ない。
6時間目。
新一は来ない。


「今日も来なかったわね、新一君。」
園子は、清掃が終って、私のそばに駆け寄ってくる。
「いそがしんじゃない?」
私は笑顔でそう返す。
「ねぇ、蘭、一緒に帰らない?」

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園子は、このことを言うために蘭のそばに来た。
でも、蘭は、そんなことには気がつかず、いつものように行った。
「ごめん、部活あるから、また明日ッ!」
教室の戸にむけて、一目散に走る。
「うん、じゃぁ………、がんばってね。」
園子は、軽くてを振って私を見送ってくれる。
それに答えて、私も手を振っていった。
「ばいばい!」

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「なんで誰もこないの?」
蘭が来て、1時間。
誰も、練習場にはこようとはしなかった。
「最悪。」
一人、うずくまってすわって、蘭は言う。
それでもさっきまでは、技の練習をしていたのだ。

「らーん。」

ひょこっと、入り口から見えたのは、いつもの彼の姿。
「新一?」
私は、すぐにたって、入り口のほうに駆け寄る。
「蘭、おまえ、バカか?」
開いた口から出たのはこの言葉。
「何よ!いきなり。」
私は安心感と共に駆け出してしまったことと、この失礼な口にかっとなって声を上げた。
「今日は、職員会議で、何もできないから、部活ナシって前から先生言ってただろ?」

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新一の口から飛び出した言葉。
そう言えば……。
「そうだったけ?」
蘭はきょとんとした瞳で、新一を覗く。
「そーなの。」
新一は妙になっとくした言葉を蘭に降り注ぐ。
疲れているはずなのに。
……。
間があって、蘭はすこし自分で考え込んだ、疑問を新一に投げかけた。
「なんで、新一、ココにいるの?」
きょとんとした顔で尋ねられ、一瞬新一はその表情と答えに途惑う。
でも、すぐにいつもの調子に戻って、蘭に言葉を投げかける。
「ノート借りようと思ってサ。」

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残念。
心の中で、自分で言って、その後に蘭は言う。
「ふ〜ん、分かった。」
そう言って、蘭は、部室のほうへと歩いていく。
それを後ろから、新一が呼びとめ、言った。
「せっかくだから、一緒に帰ろうぜ。」
くるっと振り向いて、蘭は、普通に言った。
「いいわよ。」
と。
そして、口の端が緩んでいくことに気づく。
その姿は、新一には見えない。
けして見せない。
部室へ行く足取りは、教室移動の時より軽かった。
そして、手早く、着替えを済ませて、新一の元に高鳴る胸を押さえて歩き出す。

余談ではあるが、新一の頬が少し赤く染まったこと、そして、その一瞬の途惑いに、
蘭は気づいていない。

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このときの彼らは、お互いに離れる日が来るなど知る由もなかったけれど…………。


  END

工藤新一4/8 7:23:402213cfGVH8PQKj10E||600
では感想どうぞ
くるといいなあワクワク


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