8108 | コナンオリジナル読みきり第3弾 | 工藤新一 | 4/12 18:22:23 | 2213cfGVH8PQKj10E |
この気持ちを、なんて呼ぼう。 「コナン君、友達来てるよ〜!」 私は大きな声で言った。 コナン君は、まだ目垢が残っている顔でこっちを向いた。 「分かった、今行くー」 眼鏡をしっかりつけて、友達の中に飛び込んでいった。 「いってらっしゃい、気をつけるのよ?」 私はできるだけ優しい顔をして、母親みたいなセリフを吐いた。 「は〜い、蘭姉ちゃん」 ゛蘭姉ちゃん゛ どき。 名前を呼ばれるたびに、いちいち反応する体。 鼓動が早くなる心臓。 全てが鬱陶しくて、煩わしくて、愛しくて。 十歳も年下の男の子なんかに、こんな気持ちを抱くなんてどうかしてる。 |
工藤新一 | 4/12 18:23:12 | 2213cfGVH8PQKj10E||724 | ||
バカみたい、わたし。 消し去りたいって気持ちと、どうしようもないって気持ちの真向勝負。 だから、最近ずっと機嫌が悪い。 考え事ばかりしながら、火事なんてやるものだから。 それと。 新一の事も―――――――――・・・・・・。 時々本当にダブルことがある。 新一と、コナン君。 同じ匂いがして、同じ仕草をして、同じ口調で。同じ、優しさを持っていて・・・。 この気持ちを、なんて呼ぼう。 『RRRRRRRR・・・・・』 電話の呼び出し音に、私の回想は打ち切られた。 お父さんを起こしちゃいけないから、早く取らなくちゃ。 「もしもし。毛利ですけど」 「あー、もしもしー? 蘭?」 |
工藤新一 | 4/12 18:23:56 | 2213cfGVH8PQKj10E||981 | ||
電話から返ってきた声は、聞きなれた、けれど懐かしい声だった。 「し・・・、んいち・・・?」 声が、不覚と感じるほど震えた。 『おー! どーした? なんか、コナンが元気ねぇって心配してたぞ?』 新一の声は、私のとは段違いに明るい声だった。 喉が詰まって、声が出ない。 私は、その声を待っていた。 ずっと待っていた。 なのに、どうしてこんなに声が出ないんだろう。 憎まれ口すらも、口に出来ないなんて。 声のかわりに、嗚咽が漏れた。 止まらなかった。止めたく、なかった。 |
工藤新一 | 4/12 18:24:20 | 2213cfGVH8PQKj10E||317 | ||
・・・んいち、・・・・ちッ・・・ん・・・ッ」 『蘭、ないてんのか?』 新一に、泣いてる事を悟られた。 けれど、もうよかった。 もう泣いてもいい。 「・・・ッたし、私・・・。わたし」 言いたい事、あったよね。文句、あったでしょう? どうしてでないの。 いっぱい、いっぱい、考えてたのに! 『蘭・・・』 「うッ・・・」 でてくるのは、嗚咽だけ。 『蘭、大丈夫か? 落ち着くまで切るんじゃねーぞ』 ・・・・・・・・・・・・・ああ。新一、だなぁ・・・・・・。 そう思ったら、何だか急に伝えたい言葉が浮かんできた。 伝えたい言葉。 それは、たった一つだけでいい。 深呼吸して、息整えて、伝えた。 |
工藤新一 | 4/12 18:26:52 | 2213cfGVH8PQKj10E||50 | ||
「新一に逢いたい」 向こうは少し動揺したみたいだった。 二年後。青く、蒼い、空の、下。 新一と私は無事、再会を果たしたのだった。 そして優しく、優しく、ささやいてくれた。 「もう、離れない」 私は何も言葉にせずに、ただ、うなずいた。 もう、離さないで―――――――・・・・・・・ ☆END☆ |
工藤新一 | 4/12 18:27:32 | 2213cfGVH8PQKj10E||837 | ||
感想どうぞ 来てくれることを願います |
究龍 | 5/14 16:11:39 | 2199cf8Ky3xtX9YYw||982 | ||
最高 |
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