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8123セイクリッド・ブルー第二部(15)istint4/13 19:46:125870cftw2Jp/CADH.
http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-8046.html  前回までのお話

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ルヴィンが隔離空間から飛ばされてくると、既にムスティンとニナが待っていた。
そこは最初の部屋とは違う部屋で、お城の大広間のような部屋だった。

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「二人とも無事だったんだな!
 心配したぞ。」

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ルヴィンが明るく二人に話しかける。
ムスティンはいきなりルヴィンの右手を掴んだ。

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「お前、全然無事じゃないじゃないか。
 感覚はあるのか?
 これ以上その力を使えば青龍に腕を持っていかれるぞ!」

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ルヴィンは触れられただけで激痛を感じ、うめき声を上げた。
「痛い!離せよ、バカ!
 感覚はあるよ。
 俺だってそれぐらい分かってる!
 誰かさんのせいで無駄に力を使ってなければもっと楽勝だったんだ!」

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ムスティンはヤレヤレ、という風に首を振った。
「俺のせいだっていうのか?
 お前は単純だからどっちにしてもイェンとの戦いで使ってたろ!
 後先考えずに戦うなよ。
 ペース配分考えないと…戦いはいつも一対一とは限らないんだ。
 戦争だったら真っ先に死ぬタイプだよ、お前は。」
ルヴィンが顔を紅潮させて怒る。

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そこでニナが仲裁を買って出た。
「はいはい、そこまでよ。
 でもムスティンはそんなルヴィンがお気に入りなんでしょ?
 二人とも仲がいいんだから。」

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二人は声をあわせてニナに抗議する。
「誰がこんな奴と!」
「姫、口を謹んで頂きたい。」

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それを聞いてニナはこらえきれずに笑い出す。
「ほら、私のいった通りじゃない。
 台詞のタイミングまでピッタリ。
 まあ、何にせよみんな無事でよかったわ。」

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三人が和やかなムードで話していると、近くでガシャ、ガシャと音がした。
それも一つの方向からでは無く、三人を囲むかのように聞こえてくる。
ムスティンの脳裏にあの機械の事がよぎった。
「姫、私の後ろにお下がりください。」

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ルヴィンとニナも何かを察知して構える。
気が付くと周囲はすっかり赤い目に囲まれていた。
ムスティンが戦ったあの機械が2〜30体ほど三人を取り囲んでいる。
ルヴィンがムスティンに尋ねた。

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「おい、アレはなんだ?
 まさか友達になろうって雰囲気じゃないよな?」
ムスティンがクスッと笑った。

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「まさか。
 ま、大ピンチってとこじゃないか?」
ムスティンはそういうとバリアントダガーを握り締めた。
(開放せざるを得んか…?
 だが今の状態で開放を使うとルヴィンの二の舞だぞ。
 さて、どうする?)

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そうこうしてる間にも機械たちはジリジリ三人に迫ってきていた。
ムスティンが叫ぶ。
「くそ!
 ルヴィン、俺がバリアントダガーを開放する間、姫をお守りしろ!」

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ムスティンはバリアントダガーを浮かせると両手を広げてそれにかざし、開放の呪文を詠唱し始めた。
ダガーは強く光り始める。
機械が飛び掛ってきた。
ルヴィンが左手で剣を持って必死に応戦する。
ニナは攻撃をかわすので精一杯だ。
ムスティンも魔力をかなり消耗していたのでチャージに時間が掛かっていた。

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ルヴィンが堪らず叫ぶ。
「おい!ムスティン!
 もう持ちこたえられないぞ!」

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バリアントダガーは長剣に変化してムスティンの手に握られた。
「よし!
 後はまかせろ!」
生体金属はバリアントブレードへと変貌を遂げ、その鋭さが極限まで高まった。
刀身は美しく、黄金色に輝いていた。
まさしくエルフの至宝と呼ぶにふさわしい姿。

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ムスティンは一人で機械の胴と首を切り離していく。
豆腐でも斬るかのように音も無く刀身は機械の体をスウっとすり抜けていく。
そして次の瞬間には真っ二つになっていた。
ムスティンはレンティーニの洗練された流れるような剣技とは対照的な、攻撃的で荒々しい動きで機械たちを薙ぎ払っていった。

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しかしムスティンもレンティーニ同様、後ろにも目がついているのかと疑うほど正確に剣を振るい、全く敵を寄せ付けない。
ルヴィンも魔力の針を作り出し、機械の目を狙い撃ちにして援護した。
ものの五分ほどで機械たちは大人しくなった。

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ムスティンは肩で息をしながら剣を地面に落とした。
すると剣は光を失い、やがて元のクナイに姿を変えた。
三人が暫らくバラバラの機械を見つめて呆然としていると、突然部屋中に何者かの声が鳴り響いた。
(見事だ、地上の者よ。
 この塔の守護者、『零式』をいとも容易く葬り去るとは。)

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三人が声のするほうを振り返ると、そこには一人の男が立っていた。
「まさか…」
男は優しく微笑むと頷いた。
「左様、私がこの塔の主だ。」

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*************************************

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男は三人が想像していたよりも若々しかった。
見た目は30代くらいのちょっと痩せ気味の人のよさそうなおじさんだ。
しかし見た目とは裏腹にその雰囲気は長い年月を感じさせる落ち着きを持っていた。

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「まず先ほどの非礼を許してもらいたい。
 少し君達を試したかったのだよ。
 お陰で分析は終わった。」

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ルヴィンが問いかける。
「あの、あなたがこの塔の賢者ですか?
 もっとおじいさんかと思ってました。」

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男はクスッと笑った。
「賢者か…。
 私は自分をそのように呼んだ覚えはないがな。
 フフ…じいさんでなくてがっかりかな?
 真実は常に目に見えるものとは限らない、そうは思わんかね。」

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突然ムスティンがクナイを持って男に迫った。
「貴様の分析とやらの為に姫を危険な目に合わせたのか?
 返答しだいではタダでは済まさんぞ。」

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男はホッホと笑いながら答える。
「ただでは済まさんか…。
 どうなるというのかね。」

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ムスティンはその言葉を聞くや否や神脚で間合いを詰め、斬りかかった。
ニナとルヴィンが止めようとしたが神脚のスピードには敵わない。
しかし男はムスティンのクナイが身体に食い込む前に霧のように姿を消し、数メートル先に再び現れた。
「なるほど、神脚をその若さでマスターするとはすばらしい。
 ムスティン君、姫への非礼は詫びる。
 だが私には確かめる必要があったのだよ。」

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ムスティンはニナに諌められてクナイをしまった。
男は三人に椅子を勧め、自分も椅子に腰掛けた。

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「少し、話をしようか。
 まず、結論から言おう。
 ここにはセイクリッド・ブルーは無い。
 それどころか手がかりすらない。
 残念だがね。
 セイクリッド・ブルーがどんな物なのか、ここの記録にも残されておらん。
 だが気を落とすな。
 お前達には大切な事を伝えよう。
 もうムスティン君は気付いてると思うが、この白の塔は3万年過去の文明の遺跡。
 先ほどの零式はその文明が生んだ兵器だ。
 私は最期の古代人だろうな。

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 私の文明は魔法と科学、その両方が非常に発展した文明で栄華を極めていた。
 しかし、人間の犯した過ちのせいで滅んでしまったのだよ。
 発達した魔法の力でさらに文明を発展させようと、当時の魔導師たちが闇へのゲートを開いてしまった。
 そして千年にも渡る長き戦いの末、闇を封じる事が出来たものの我々の文明も壊滅的な打撃を受けた。 
 その時の戦争で闇に対抗する為、開発されたのが科学と魔法の究極である生体金属と禁呪だ。
 其方のお嬢さんが塔の外で放ったアンシェントソーサリング、そしてムスティン君、ルヴィン君が持つ剣がそうだ。



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 禁呪はアンシェントソーサリングの中でもあまりに強力すぎる為、封印された魔法の力だ。
 禁呪や生体金属の武具の中でも強力すぎるものは四聖によって守られておる。
 その四聖も我々の文明が生んだ擬似生命体だ。
 闇王を封印した後、用済みになったものは四聖やエルフの手によって世の中から隠されておる。
 ルヴィン君が持っている剣はレリクスソードと言ってな、恐ろしい破壊力を秘めた剣だ。
 今は自らの意思によって封印されておるが。
 さて、そんな武具や禁呪は生物学的に人間と変わらない古代人達が使えるわけが無い。

istint4/13 19:54:585870cftw2Jp/CADH.||51
 そこで生み出されたのが戦闘生命体ラロッシュたちだ。
 まさに戦闘に特化した能力を持つ生命を遺伝子操作によってコランダム因子を植えつける事のより開発したのだ。
 人は恐ろしい事をしてしまった。
 ラロッシュたちは確かに戦闘に於いてすばらしい成果を上げたが、どれも不完全で感情が不安定だった。
 闇との戦いが終わり、戦いの為だけに生み出されたラロッシュ達の役目は済んだ。
 そして眠りにつくはずだったが一体のラロッシュが逃走し、行方をくらませたのだ。
 それはラロッシュ達の中でも完成度が高く、人間達の中に混じってもわからない。

istint4/13 19:55:95870cftw2Jp/CADH.||571
 当時の学者達も捜索したが結局発見できずだった。
 古代人達は戦いを終えると世界を次の世界に渡す為、皆眠りについた。
 私だけが監視者としてこの世界に残ったのだ。
 再び闇が目覚めた時の為に。
 だが闇の勢力は3万年前より遥かに強く、私一人ではもうどうしようもなかった。
 それに古代人が今の歴史に深く関わる事はしたくなかった。
 さて、本題に戻るが、私はセイクリッド・ブルーはこの世の光そのものだと思うのだ。

istint4/13 19:55:235870cftw2Jp/CADH.||536
 光と闇が創造主によって同時に生み出されたようにセイクリッド・ブルーは必ずこの世界に存在していると、私は思う。
 ムスティン、君はエルフの血を色濃く受け継ぎその能力はラロッシュと比べてもひけを取らないだろう。
 しかしまだバリアントダガーは君に合わせて能力をセーブしているようだ。
 ニナ、君はエルフの王家の長い歴史の中でも1、2を争う程の魔力を秘めている。
 いずれ禁呪『メギド』を使いこなすだろう。
 最期にルヴィン、君がここに来たのはまさしく運命だ。
 君は逃げ出した最期のラロッシュの子孫だ。

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 3万年の時を越え、再び闇に戦いを挑もうとは運命といわずして何と言おう!
 君はこの世界に残された希望だ。
 だがラロッシュの力は限りなく闇に近い力。
 暴走すればたちまち破壊と闇の虜になろうぞ。」

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そこまで話すと男は一息ついた。
ルヴィンは自分の正体を聞かされてショックを隠せない。
動揺していた。
(俺が古代の戦闘兵器の末裔だって…?)

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だが冷静に考えれば今までの自分の夢や行動、記憶の不可解な点もうまく説明がつく。
ムスティンが重い空気を振り払うかのように質問した。
「話はわかった。
 だがルヴィンはお前達が作った化物とは違う。
 こいつはちょっとバカな気のいい…友達だ。」

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ルヴィンはムスティンが真実を知ってなお、友と呼んでくれた事に胸が熱くなった。
ニナもルヴィンの肩にそっと手を置いた。

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男は優しく微笑んだ。
「良い仲間を得たな、ルヴィン君。
 そのとおりだ。
 今は昔とは違う。
 君は君の正しいと思うものを信じて大切なものの為に戦うがいい。
 それが世界じゃなくてもいい。
 私の選択は間違っていなかったようだ。
 若者達よ、滅び行く運命に逆らい決められた未来を切り裂くいてみよ。
 まずは四聖に会って闇に対抗する戦力を集めるがいい。
 これは私からの贈り物だ。」

istint4/13 19:56:305870cftw2Jp/CADH.||747
男は三人にそれぞれひとつずつ箱を差し出した。
ルヴィンの箱には龍のレリーフが刻まれた腕輪。
ムスティンの箱にはバリアントダガーと同じ模様の指輪。
ニナの箱には杖が入っていた。

istint4/13 19:56:425870cftw2Jp/CADH.||960
「ルヴィン君の腕輪は青龍とのシンクロ率を上げ、より力を多く引き出すもの。
 ムスティン君のもバリアントダガーとのシンクロ率を上げるものだ。
 しかし、濫用はしないように。
 自分の限界を超えて力を引き出せるから後でどんな恐ろしい副作用があるかわからない。
 うまく使えば楽に開放状態を保てるだろう。
 ニナ殿の杖はアンソロジーと言って生体金属で出来ている。
 開放の為の呪文は杖に刻まれている。
 君の魔力をさらにスムーズに引き出してくれるだろう。」

istint4/13 19:56:545870cftw2Jp/CADH.||524
それぞれが贈り物を受け取り、口々に礼を言った。
ムスティンが男に質問を投げかける。
「賢者よ、私が会った聖蒼教団の男と私ではどちらが強い?」

istint4/13 19:57:345870cftw2Jp/CADH.||906
男は悪びれも無く答えた。
「あの男には今のお前達が束になっても敵わんだろうな。
 聖蒼教団には気をつけよ。
 必ずしも闇に対抗する勢力とは限らん。
 真実は見えてるものや聞こえてるものの向こう側に隠されているものだ。」

istint4/13 19:57:505870cftw2Jp/CADH.||338
三人の表情がこわばった。
レンティーニを奪還するにはそのムスティンが出会ったという男とも対峙するだろう。
現在恐らく三人の中でズバ抜けて実力のあるムスティンが動く事も出来なかった相手。
幼い頃から戦闘教育のみ受けてきたムスティンですら畏怖するその相手と対峙する事はパーティーの全滅につながるかもしれない。

istint4/13 19:58:05870cftw2Jp/CADH.||375
三人の雰囲気を察して男が口を開いた。
「はっはっは、不安かね?
 その男がどういう者か調べてやろう。」
そういうと男は目を瞑り、瞑想をはじめた。

istint4/13 19:58:385870cftw2Jp/CADH.||110
男の額から汗が滴り落ちる。
男の意識はシェリフェルを探り、グランデュール城内に入っていった。
精神体のままなら壁も容易にすり抜けられ、勿論人間には姿を見られることも無ければ気配を感じられる事も無い。
たまに敏感な人間が小首を傾げることがあるくらいだ。
やがて男の精神体はシェリフェルの下へと辿り着いた。
シェリフェルは後姿で、男の精神体は顔を見ようと前に回り込もうとした。

istint4/13 19:58:505870cftw2Jp/CADH.||575
その矢先、シェリフェルは閉じていた目をカッと見開き、精神体の男の目を見据えた。
そして突然笑い出す。
「フフフ…何者かは知らないけど一体何をしに来たのかな。
 殺してあげようか?
 精神体のまま殺されたら大変だよね?
 フフフ…アハハ」

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男はシェリフェルの言葉に驚きを隠せなかった。
精神体の存在に気付くなど、男の長い人生では二度目の事だった。
一度目は3万年前の闇と古代文明の戦争時代に、闇の神殿に忍び込んだ時。
その時は危うく闇ソーサラーのザファに捕らえられそうになった。

istint4/13 19:59:265870cftw2Jp/CADH.||745
今まさにもう一度その危機が訪れようとしている。
男はシェリフェルの心を覗こうとしたが暗い雲に覆われ、何も見えない。
それどころか心から追い出すように黒い風に巻き込まれて弾き出された。

istint4/13 19:59:385870cftw2Jp/CADH.||535
「僕の心を読もうったってそうはいかないよ。
 そろそろ死ぬかい?」
そういうとシェリフェルは精神体に向かって手をかざし、黒い稲妻のようなものを放った。

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稲妻は精神体を貫いて壁を黒く焦がした。
「チッ…逃がしてしまったか。
 まあいいや、こっちには餌があるんだからきっとそれに釣られて獲物がやってくるよね。
 ククク…恐らくあれは白の塔の古き賢者だな。
 いずれ彼にも消えてもらわないとね。
 時代遅れの賢者にイチイチ横槍を入れられては邪魔だからね。」

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男は寸での所で稲妻をかわし、命からがら逃げ帰ってきた。
肩で息をしながら目を開く。
そしてゆっくり話し始めた。

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「待たせたな。
 あの、シェリフェルという男は底が知れぬ。
 なぜあのような所にいるのかは判らぬが、絶対に戦ってはならん。
 いまのお前達では無駄死にするだけだろう。
 他の五聖将軍とは違う。
 その実力よりもあやつの底知れぬ殺気、もはや人間のものとは思えぬ。
 魔界の生物でもそうそうお目には掛かれん。
 よいな、絶対に命を粗末にするな!」

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三人は無言だった。
沈黙の後、ニナが口を開く。
「あの、レンティーニはどこに捕らえられているのですか?
 生きてるのですか?」

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男が何かのボタンのようなものを操作すると壁に大きなスクリーンが現れた。
「これを見るがいい。
 お前達の探している男が今おかれている状況だ。」

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画面には鎧を脱がされ、立ったまま両手両足を鎖で壁に繋がれ、グッタリしているレンティーニの姿が映った。
全身傷だらけでまだ新しい傷からはダラダラと血を垂れ流している。
恐らく拷問を受けたのだろうか。
三人(特にルヴィン)はレンティーニの強さを間近で見ていたのでこんなボロボロの姿にショックを隠せない。
そしてムスティンはレンティーニをこんな目にあわせたのはあの男しかいないと確信した。

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ムスティンが怒りをグッと飲み込み、いつもの冷静な口調で決意を口にした。
「ありがとう、賢者よ。
 まだレンティーニ様が生きてることは判った。
 必ず救い出す。
 そしてあの男をこの手で始末する。」
白の塔の男の事を初めて賢者と呼んだ。

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賢者は驚いてムスティンを諌める。
「戦ってはならんと言っただろう!」

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ムスティンはいつもの落ち着いた感情を押し殺した声で答えた。
「いずれ戦う運命だ。
 それに命より傷ついたプライドの方が大事なんでね。」

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ルヴィンもムスティンに賛同した。
「そうだな。
 相手がどんな奴でもレンティーニは絶対助けなきゃ。
 でもムスティン、お前だけにいいカッコはさせないからな。
 世界より大事な物だってあるんだ。」

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賢者は二人の様子を見て呆れ返った。
「お前達、どういうことかわかっとるのか!
 ばか者!
 これ以上言っても無駄なようだな。
 だがお前達は死んではならん!
 まずはフォルクの砂漠の蛇を訪ねよ。
 私からできる助言はこれだけだ。」

istint4/13 20:2:175870cftw2Jp/CADH.||943
三人は賢者に礼を述べると、白の塔を後にした。
大切な仲間を救い出す為に、自ら敵の罠にはまる事を選んだのだ。
砂漠の蛇とは恐らくスネイクの事だろう。
ルヴィンたちは助言に従って砂漠を目指すのだった。

istint4/13 20:2:335870cftw2Jp/CADH.||518
***********************************

istint4/13 20:2:495870cftw2Jp/CADH.||490
三人が去ると賢者はじっとモニターを見つめていた。
そこには過去の戦いから今までの全てのデータが載っている。
賢者は下界で起こることはたいてい何でも知っている。
シェリフェルの正体も大方予測できていた。
賢者はそれを敢えて言わなかった。
いや、言えなかったのだ。

istint4/13 20:3:35870cftw2Jp/CADH.||822
その事実はルヴィンの運命を大きく狂わせる事になる。
賢者であろうとも未来の事まではわからない。
賢者はモニターを消すと煙のように姿を消した。
彼には肉体というものが存在しないのだ。
精神体のみで3万年生き続け、やがてその長い生涯の幕を閉じようとしている。

istint4/13 20:3:205870cftw2Jp/CADH.||569
彼は古代の学者で、ルヴィンの先祖ラロッシュ達を作り出した張本人だった。
そしてラロッシュを一人逃がした事に責任を感じ、自分の精神体をデータだけの存在として残し、世界を見守る事を選んだのだ。
そのラロッシュが世界を救う最期の希望になろうとはなんと皮肉な運命か。
しかし闇もまたその存在に気付いている。

istint4/13 20:3:285870cftw2Jp/CADH.||367
急がなければ世界は崩壊するだろう。
賢者は自分が直接手を下せないのが歯がゆかった。
しかしどのみち今は闇に対抗できるだけの力はない。
またあの若者達が来る時まで眠りにつくのだった。

istint4/13 20:5:75870cftw2Jp/CADH.||635
お疲れ様でした。
長かった第二部もこれにて完結です。
次回は第三部に入る前にこれまでたくさん出てきた人物や設定のまとめをしますね。
これからも宜しくです^^

シェイラ4/17 19:15:152184cfVO0OUjOOBwc||37
おお、完結おめでとうございます!これからも、頑張って下さい!それにしても、ルヴィン君の正体が明かされたり、色々な人が出てきたりと、これはますます第三部が楽しみになってます♪応援してます!


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