8173 | 真夜中のスクールメイト―第13話― | 空華 | 4/23 14:39:19 | 2031cfugNPyUOK282 |
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空華 | 4/23 14:39:55 | 2031cfugNPyUOK282||222 | ||
「何でそんな風なのよ。結局あなた、何がしたかったの!」 気持ちが高ぶったのか、怒鳴るように言った晴陽に、わずか驚いたような視線が集まる。 揺れ動いたラドの目と、晴陽の睨むような目が合った。 「投げやりになるくらいなら、最初からやらなければ良かったのよ! そんなふうに言うの、止めてよ」 「………意味が解らない」 「私もわからない!でも、何か言わないと気がすまないんだもの!」 自分で言っていて混乱したのか、晴陽が口をつぐむ。 ぽん、と響がその背を叩いた。無言のまま、労わるかのように。 しばしの沈黙。 |
空華 | 4/23 14:40:25 | 2031cfugNPyUOK282||24 | ||
重い静寂を破る、軽い靴音をさせながら、ジーンがラドに近づいた。 晴陽や響、エリスやティフもつられたように、その後に続く。 なに、とラドが無気力に彼らを見上げる。 ジーンは困ったように首を傾けながら、言葉を選ぶようにぽつぽつと言い始めた。 「えーと、……まあほら、結果的にはさ、特に怪我らしい怪我も、しなかったし……。 あと、報告するのも面倒だし……」 訝しげな表情を浮かべるラド。 続かないジーンの言葉を、エリスが継ぐ。 打ち合わせでもしていそうだが、実際にそんなことは無い。 「お兄ちゃんだって、いろいろあったんだよね?」 |
空華 | 4/23 14:40:48 | 2031cfugNPyUOK282||755 | ||
ラドは目を逸らす。 視界に入れたくない、とでも言うように、そっぽを向いていた。 そのまま、ぼそりと呟く。 「結局、何?」 「この出来事は隠されます、貴方は罰を受けません……そういうことでしょう?」 穏やかな声で、ティフ。 その表情はどこか和らいで、問いかけをジーンへと向ける。 ジーンが、困ったような表情のまま頷いた。 それを見ていた晴陽は、軽く眉根を寄せる。 「それ、いいの?」 「本当は良くないかもしれない、けど」 「というよりは、良くないですよ。けれども……」 |
空華 | 4/23 14:43:40 | 2031cfugNPyUOK282||736 | ||
ティフが一度、言葉を切る。 目を逸らしたままのラドを見、静かな口調で続けた。 その魔界の言葉を、エリスが晴陽や響に通訳する。 『王位継承権を失ったとはいえ、王子である立場を考慮。 また、王位継承者、並びに宮廷魔術師双方、減刑を望む』 「表面上はそうで。んでその……提案してもいいか?」 やや遠慮がちに、ジーンはラドに尋ねる。 ようやく、彼はジーンを見た。 投げやりな眼差しだが、ジーンはそれに軽く笑む。 「『減刑の結果、4年の刑に処す』ってことにして。 オレやエリスが魔界の王になるまで、授業してくれないか? それが刑の代わり。あと、晴陽や響に謝ってもらえるとさらにいいと思う」 |
空華 | 4/23 14:44:4 | 2031cfugNPyUOK282||780 | ||
「……は?」 ラドが、どこか驚いたような表情を見せる。 晴陽と響は、どこかきょとんとした目でエリスを見た。 「ほら、僕たちあの学校で勉強してるでしょ? それで、お兄ちゃんに先生になってほしいなって。 確かに魔力は足りないかもしれないけど、知識だったらずっとたくさん持ってるもの」 にこやかなエリス。 その解説が終われば、自然と目はラドに集まる。 けれども…… 「………」 彼は無言だった。 そして不意に立ち上がると、その背に翼を広げた。ジーンやエリスも持っていた、漆黒の翼。 皆が呆気に取られている前で、その姿は一瞬の後に空へ消えた。 誰も追わない。 |
空華 | 4/23 14:44:17 | 2031cfugNPyUOK282||123 | ||
そんな中で、下草を踏む音はやけに大きく響いた。 晴陽と響が初めに振り向き、次いで皆がそちらを見る。 暗がりにぼんやりと浮かぶ少女、そして彼女の連れる、一頭の灰色の狼。 「戻ってきたわ」 「みなさま、ご迷惑をおかけしました……」 ――彼女は帰ってきたのに。 雰囲気が重いのは、けして気のせいではなかった。 |
空華 | 4/23 14:45:36 | 2031cfugNPyUOK282||730 | ||
+後書き+ なんだか暗い終わり方ですが、これから明るくします。 響が全然目立たなくて、すみません; なんだかもう、言い訳だらけです。 平日はあまり書けないので、次回も休日になると思います。 読んでいただき、有難うございました^^ |
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