8243 | セイクリッド・ブルー第三部(1) | istint | 5/4 23:8:33 | 2182cf6/QyeTS6hoM |
http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-8164.html まとめ http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-8123.html 前回までの話 |
istint | 5/4 23:8:45 | 2182cf6/QyeTS6hoM||770 | ||
伝説に満ち満ちた、美しい真夜中過ぎよ 戦神達を、再び殺戮のワルツに誘うつもりか 飲み疲れた酔っ払いがもう一度 さかずきに思い出の血を満たせと願うように 時は繰り返される 彼を呼んでいる 定められた歯車の動きは逆らえない 流れる水はただ海に流れ着くだけ 運命が 我に従え さもなくば抗え 目覚めの刻 ただ温もりを お前の血を |
istint | 5/4 23:9:1 | 2182cf6/QyeTS6hoM||903 | ||
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istint | 5/4 23:9:18 | 2182cf6/QyeTS6hoM||474 | ||
もうここに繋がれてどれ程の時間が経ったろう? 日の光が差さないこの場所では時間の感覚が無い。 今まで計7回、拷問係りがここを訪れた以外は特に刺激の無い時間が続いていた。 コツコツと暗い牢獄のなかを硬いブーツのかかとが音を響かせる。 その音が止まり、牢の鍵を開ける音がする。 |
istint | 5/4 23:9:26 | 2182cf6/QyeTS6hoM||501 | ||
(誰…だ…?) |
istint | 5/4 23:9:37 | 2182cf6/QyeTS6hoM||397 | ||
突如頭の上からザバッと水を掛けられた。 朦朧としていた意識を冷たい水が覚まさせる。 レンティーニはゆっくり目を開くと顔を上げた。 そこには白の塔でレンティーニを拘束した五聖将軍の一人、シェリフェルが立っていた。 |
istint | 5/4 23:9:51 | 2182cf6/QyeTS6hoM||361 | ||
「やあ、お目覚めかい?英雄殿? ここの居心地はどうだい?」 シェリフェルは相変わらず自分の心の内を隠すかのように笑顔を貼り付けていた。 |
istint | 5/4 23:10:1 | 2182cf6/QyeTS6hoM||711 | ||
レンティーニはブルブル顔を振ると答えた。 「悪くないよ。 ただ、少し退屈だな。」 |
istint | 5/4 23:10:10 | 2182cf6/QyeTS6hoM||415 | ||
シェリフェルはクスクス笑った。 「フフフ…そうだろうね。 でも今に面白い事が起こる…きっとね。 僕は君を処刑する事には全然興味ないし、ただ自分の力を試したいだけなんだ。 君には餌になってもらうよ、フフ。」 |
istint | 5/4 23:10:24 | 2182cf6/QyeTS6hoM||337 | ||
レンティーニはシェリフェルを睨みつけた。 この男は相変わらず掴み所が無い。 それより恐らくこの男はルヴィンたちをおびき寄せようとしているのだろう。 ムスティンが付いているとはいえ、あの三人のレベルではこの男には太刀打ちできないだろう。 レンティーニですら、万全の状態で無かったにせよ傷一つ負わせることが出来なかったのだから。 |
istint | 5/4 23:10:32 | 2182cf6/QyeTS6hoM||523 | ||
「殺せ…」 搾り出すようにレンティーニが訴えた。 |
istint | 5/4 23:10:41 | 2182cf6/QyeTS6hoM||44 | ||
シェリフェルはついに大声で笑い出した。 「あはは、君はせっかちだなあ! そんなに急ぐなよ。 命は大切にしないとね。 君の仲間の首を君の前に並べたらゆっくり殺してあげるから、さ。」 |
istint | 5/4 23:10:47 | 2182cf6/QyeTS6hoM||48 | ||
そういうとシェリフェルはレンティーニの腹に拳をめり込ませ、去っていった。 レンティーニはそのまままた気を失った。 |
istint | 5/4 23:11:2 | 2182cf6/QyeTS6hoM||373 | ||
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istint | 5/4 23:11:10 | 2182cf6/QyeTS6hoM||22 | ||
ルヴィンたち三人と一匹は半獣の村でポトフに馬を借り、大急ぎで砂漠へ向かっていた。 ニナの魔法で馬の脚力、体力を大幅に上昇させ、夜も徹して馬を飛ばす。 もう少しで森を抜けられそうになったところでニナが疲れを見せたので三人は野宿する事にした。 焚き火を囲んでしばし休息の時間だ。 |
istint | 5/4 23:11:24 | 2182cf6/QyeTS6hoM||976 | ||
「なあ、ムスティンが見た男ってどんな奴だったんだ? すごい大男か? 俺も教団の大きい団長と戦ったことあるけど強かったぜー。 それからあのソロネって将軍も強そうだったな。」 ルヴィンがお茶をすすりながらムスティンに質問を投げかける。 |
istint | 5/4 23:11:35 | 2182cf6/QyeTS6hoM||715 | ||
ムスティンは木にもたれて目を瞑っていた。 「あの男か…。 今まで感じたことの無いような嫌な気を放っていたな。 見た目は…そうだな、ルヴィンと同じくらいの背格好の若い男だったよ。 イェン司令よりも遥かに強そうだったよ。 認めたくはないが勝てる気がしなかったね。」 |
istint | 5/4 23:11:44 | 2182cf6/QyeTS6hoM||179 | ||
ルヴィンとニナは淡々と告白するムスティンの言葉を聞いてブルっと震え上がった。 しかし、相手がどんな奴でもやり遂げなければならない。 ムスティンはあの男の事を思い出しながら何か違和感のようなものを覚えていた。 |
istint | 5/4 23:11:53 | 2182cf6/QyeTS6hoM||213 | ||
(あの感じ…何か引っかかるな…) |
istint | 5/4 23:12:7 | 2182cf6/QyeTS6hoM||675 | ||
ニナは疲れが一番ひどかったので先に眠りに付いた。 ルヴィンはニナが作った薬草を右腕に塗りたくって包帯を巻くと、痛みを少し忘れる事が出来た。 ムスティンがルヴィンの右腕を見て、ある事を思いついた。 |
istint | 5/4 23:12:14 | 2182cf6/QyeTS6hoM||797 | ||
「おい、ルヴィン、お前賢者に貰った腕輪はめてみろよ。 実戦でぶっつけ本番じゃ後が怖いからな。」 |
istint | 5/4 23:12:26 | 2182cf6/QyeTS6hoM||45 | ||
ルヴィンは少し躊躇したが怖がってると思われるのが癪で思い切って包帯の上からはめてみた。 すると右腕が青く光りだし、青龍の気が少しずつ漏れ出す。 ムスティンが横からルヴィンに細かく気のコントロールの仕方を指示する。 |
istint | 5/4 23:12:34 | 2182cf6/QyeTS6hoM||698 | ||
「お前、今まで青龍の力を攻撃にしか使ってなかったろ? うまくコントロールすればそれだけの気の放出は傷の回復にも使えるはずだ。」 |
istint | 5/4 23:12:41 | 2182cf6/QyeTS6hoM||641 | ||
ルヴィンがムスティンの言うとおりやってみると、驚いたことに右腕が徐々に回復していくではないか。 完全とは至らなかったがかなり良くなった。 |
istint | 5/4 23:12:49 | 2182cf6/QyeTS6hoM||231 | ||
「やはりな。 それから、回復と攻撃は今のお前には同時には使えん。 戦闘時は左腕に腕輪をはめるようにしろ。 その理由もすぐわかるから。」 |
istint | 5/4 23:13:1 | 2182cf6/QyeTS6hoM||373 | ||
ルヴィンはムスティンの言うとおりになったのが少し癪だったがムスティンの知識の深さを認めざるを得なかった。 今は意地を張ってる時ではない。 戦闘においてはムスティンの方が上なのだから少しでも言うとおりにして自分を高めなければ。 暫らくすると、ルヴィンもそのまま深い眠りについてしまった。 |
istint | 5/4 23:13:8 | 2182cf6/QyeTS6hoM||674 | ||
翌朝、ルヴィンが目を覚ますとムスティンの姿が無かった。 ニナはまだ眠っている。 ルヴィンが川に水を汲みに行こうとすると、森の奥に人の気配がした。 |
istint | 5/4 23:13:15 | 2182cf6/QyeTS6hoM||112 | ||
ムスティンだ。 彼は一人で何かの特訓をしているようだった。 ルヴィンは声を掛けようとしたが、普段のクールな彼からは想像出来ないほどの気迫で声を掛ける事が出来なかった。 何をどうやったかは分からないが、ムスティンの周囲の大木が根こそぎ倒されていた。 |
istint | 5/4 23:13:25 | 2182cf6/QyeTS6hoM||899 | ||
ルヴィンはそのままそっとニナの元へ戻った。 ニナは眠そうにあくびをしているところで、ルヴィンに気付くとにっこり笑って「おはよう。」と言った。 暫らく二人で朝食をとっていると何食わぬ顔でムスティンが戻ってきた。 ニナがムスティンにもお茶を勧めた。 |
istint | 5/4 23:13:35 | 2182cf6/QyeTS6hoM||513 | ||
ムスティンは一言「ありがとうございます」とだけ言ってお茶をすすった。 朝食の時間も終わり、また三人は馬を飛ばす。 三人の不安とは反して、何の問題も無く、森を抜けて荒野に辿り着いた。 焼け付くような太陽がひび割れた地面を照り付けている光景は何百年経っても変わらないもののように見える。 |
istint | 5/4 23:13:42 | 2182cf6/QyeTS6hoM||900 | ||
しかし、ここもかつては美しい森林地帯だったらしい。 3万年前、闇の勢力によってこの姿に変えられてしまったのだ。 スネイクのアジトまではここからそう遠くない。 このペースで行けば明日にも辿り着く事が出来るだろう。 |
istint | 5/4 23:13:53 | 2182cf6/QyeTS6hoM||126 | ||
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istint | 5/4 23:14:8 | 2182cf6/QyeTS6hoM||199 | ||
スネイクのアジトでは、何やら皆慌しく動き回っていた。 スネイクの元に一つの情報が届いたのが原因だった。 それは黒騎士レンティーニが聖蒼教団に捕らえられたというものだった。 スネイクは走り回る子分たちをよそに、一人で部屋にこもっていた。 豪華なベッドの上に片足を立てて座り込み、ひたすら壁に向かってナイフを投げていた。 彼は考え事をするときはいつもナイフを投げる練習を繰り返す癖があった。 |
istint | 5/4 23:14:17 | 2182cf6/QyeTS6hoM||979 | ||
(…この情報は恐らく正しいものだろう。 あいつらは俺とレンティーニが出会ったことは知らないはず。 俺たちを焙り出す罠には思えない… 助け出したいが今、グランデュールの城は外敵に対して巨大な城壁で囲われている。 入り口は一つしかないから侵入は不可能… 真正面から攻めても全滅するのがオチだ。 さて、どうしたものか。) |
istint | 5/4 23:14:24 | 2182cf6/QyeTS6hoM||588 | ||
そこへ勢いよくドアが開き、子分が入ってきた。 スネイクが投げたナイフが子分の頬をかすめる。 |
istint | 5/4 23:14:32 | 2182cf6/QyeTS6hoM||688 | ||
「あ、アブねえな!親分! いきなりナイフなんか投げつけやがって… それはそうとあんたに客だぜ。」 |
istint | 5/4 23:14:39 | 2182cf6/QyeTS6hoM||825 | ||
スネイクは子分の反応を見てケラケラ笑うと、「悪い、悪い」とふんぞり返ったまま謝った。 「で、その客ってのは誰なんだ?」 |
istint | 5/4 23:14:47 | 2182cf6/QyeTS6hoM||934 | ||
スネイクが尋ねると、子分の後ろからルヴィンたち三人が姿を現した。 ルヴィンたちの姿を見ると、スネイクは大喜びで出迎えた。 |
istint | 5/4 23:14:53 | 2182cf6/QyeTS6hoM||691 | ||
「また会えたな、ニナさん。 お前もだ、ルヴィン。 そっちの兄ちゃんも初対面だが歓迎するぜ。」 |
istint | 5/4 23:15:0 | 2182cf6/QyeTS6hoM||362 | ||
しかし、ルヴィンたちが妙に大人しいのでスネイクは眉をひそめた。 「ん? いつものバカみてえな元気はどうした。 何かあったか?」 |
istint | 5/4 23:15:6 | 2182cf6/QyeTS6hoM||724 | ||
そこでルヴィンが事情を説明する。 スネイクはいつに無く神妙な面持ちで話を聞いていた。 |
istint | 5/4 23:15:27 | 2182cf6/QyeTS6hoM||601 | ||
「なるほど、情報は正しかったらしいな。 んで、その兄ちゃんが見たのは多分、五聖将軍の死神シェリフェルだな。 レンティーニもとんでもない奴に目ぇ付けられたな。 あのイカレ野郎に狙われたら最期、死ぬまでオモチャにされるぞ。 しかもイカレた頭の中身とは裏腹に半端じゃない強さだ。 多分、五聖将軍の中でもナンバーワンじゃねえかな。 いや、もしかしたらこの世界でも三本の指に入るかも知れねえ。 あいつには降伏なんて言葉は通用しねえ。 |
istint | 5/4 23:15:35 | 2182cf6/QyeTS6hoM||231 | ||
逆らう奴は皆殺しだ。 逃げ惑う敵、命乞いをする奴、女、赤ん坊も楽しんで殺す。 建前は聖蒼教団の為らしいが実のところ、あいつは自分の快楽の為に戦ってやがる。 目的が殺しと戦いだけって点では闇の使徒よりタチが悪いかもな。 そんな奴を相手にどうするつもりだ?」 |
istint | 5/4 23:15:46 | 2182cf6/QyeTS6hoM||823 | ||
三人はスネイクの話を黙って聞いていた。 そこまで恐ろしい相手だとは思わなかった。 あの将軍ソロネ以上かも知れないとは…。 |
istint | 5/4 23:15:53 | 2182cf6/QyeTS6hoM||674 | ||
しかもスネイクの情報では今は城には遠征の為の兵士が大量に常駐し、さらに五聖将軍のうち三人までもが揃っているらしい。 しかし、ムスティンが最初に沈黙を破った。 |
istint | 5/4 23:16:3 | 2182cf6/QyeTS6hoM||321 | ||
「それでも私たちは行く。 命よりも一度でもこの私に恐怖というものを味わわせた男はこの手で葬り去らねば気が済まん。」 ルヴィンとニナもそれに続いて、レンティーニを助けに行く、と言い張った。 |
istint | 5/4 23:16:18 | 2182cf6/QyeTS6hoM||495 | ||
スネイクは初めは黙って聞いていたが、やがて頭をのけぞらせて大笑いした。 「あっはっは! 命よりもプライドが大事か! お前等みてえな無鉄砲は俺たちアウトローの中にもそういないぞ。 こいつは傑作だ。」 |
istint | 5/4 23:16:28 | 2182cf6/QyeTS6hoM||643 | ||
可笑しくてたまらないというようなスネイクの反応にルヴィンが怒った。 「もういい! お前がそんな奴だとは思わなかった。 俺は一人になっても行くからな!」 |
istint | 5/4 23:16:37 | 2182cf6/QyeTS6hoM||445 | ||
するとスネイクは意外な答えを出した。 「おい! 話は最期まで聞きやがれ、クソ野郎。 俺はお前達みてえな命知らずは大好きだ。 それにかわいこちゃんをみすみす見殺しになんて出来るか! 力貸してやるって言ってんだよ! 俺も教団の奴等は気に食わねえしな。 めちゃくちゃに暴れてやろうぜ!」 |
istint | 5/4 23:16:44 | 2182cf6/QyeTS6hoM||300 | ||
ニナはその言葉を聞いてスネイクの手を握り締めた。 スネイクは嬉しそうに笑うと子分に命じて三人を客間に通させた。 三人が行った後、部屋に残されたスネイクがポツリと一言漏らした。 |
istint | 5/4 23:16:50 | 2182cf6/QyeTS6hoM||791 | ||
「教団から城を取り戻すいい機会かもな…」 |
istint | 5/4 23:18:16 | 2182cf6/QyeTS6hoM||106 | ||
お久し振りです。 第三部が始まりました。 一体いつまで続くやら… いつも応援してくださってる皆さん、ありがとうございます。 |
フィリス | 5/5 20:6:16 | 2201cfpLxrS8ovfug||169 | ||
コンバンワ&はじめましてw すごい小説書くの上手ですねw(゚o゚)w それに面白いし...。 シェリフェルは敵ですけど、何か 好きです(ぁ... 次回からはちゃんと感想書きたいと思います♪ これからも頑張ってください♪ |
istint | 5/5 23:1:56 | 5870cfQpaHz9R/fHM||22 | ||
お初の感想ありがとうございます^^ シェリフェル好きですかあ…。 キャラを気に入って頂けて嬉しいです! |
シェイラ | 5/10 23:4:36 | 2184cfXWjm8NCfVY6||477 | ||
こんばんは!すっごく嬉しいです!何故かといえば、すきキャラのスネイクが出演しているではありませんか!ありがとうございます!レンティーニも気になりますが、スネイクの活躍が気になります。展開が楽しみです! |
istint | 5/11 23:22:7 | 5919cfILuWpNLqdXU||197 | ||
第三部ではスネイクの活躍が目白押しですよー。 いつも感想ありがとうございます。 |
炎の勇者 | 6/8 21:1:4 | 6056cfHAmeHZN/ZNA||922 | ||
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