戻る
8399セイクリッド・ブルー第三部(4)istint5/31 15:46:216056cfxn4lGWp7tYY
http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-8340.html  前回までの話

istint5/31 15:47:56056cfxn4lGWp7tYY||53
スネイクが城に入るとそこは正面大ホールだった。
「ここに入るのも久し振りだな。
 っと、干渉に浸ってる暇はねえ、さっさとあのマネケを助けてずらからねえと。」

istint5/31 15:47:266056cfxn4lGWp7tYY||134
スネイクは城の勝手がわかっていたので最短距離をとって牢を目指す。
大きなドアを勢い良く開けると、そこにはソロネが立っていた。
ソロネは三メートル程もあろうかという大きな槍を携えており、そこに立ちはだかってるだけでスネイクは心臓をわしづかみにされるような気分だった。
スネイクは城を出る前に何度かソロネと出会った事があったので、彼の性格は良く判っていた。
彼は根っからの軍人で、スネイクに言わせれば「頭の固いおっさん」だった。
いくら旧知の仲とは言え、話が通じる相手ではない。

istint5/31 15:47:366056cfxn4lGWp7tYY||633
ソロネは五聖将軍の中では一番の古株で、今まで数え切れないほどの軍功を上げてきた。
その戦槍「ムジカ」は騎乗のジスティすらも馬ごと真っ二つにする程の破壊力らしい。

istint5/31 15:47:446056cfxn4lGWp7tYY||135
「去るが良い、砂漠の蛇よ。
 ワシはお主がここの王子であろうと容赦はせぬぞ。
 まあ、どちらにせよいずれ叩き潰すつもりだがな。
 少しでも生き永らえたければ去れい!」

istint5/31 15:47:536056cfxn4lGWp7tYY||393
ソロネが言葉を発するたび、威圧感でスネイクは腹の底がよじれそうだった。
しかし、彼は得意のナイフを取り出すと、ソロネを睨み付けた。

istint5/31 15:48:96056cfxn4lGWp7tYY||141
「へっ…流石は五聖将軍のソロネだな。
 外で暴れてるバカとは違って言葉に重みがあらあ。
 でも俺たちだって命張ってんだ、ここで逃げ出すわけにゃあいかねえよ。
 俺の部下もあんたらに殺されたりしてるしな、これでも組織の頭だからよ、面倒だがてめえを倒して道を作らねえと。」

istint5/31 15:48:216056cfxn4lGWp7tYY||18
スネイクは台詞を言い終えると同時に、指の間に挟んだナイフを思い切りソロネに投げつけた。
全部で8本のナイフは真っ直ぐ同じ軌道でソロネの顔目掛けて飛んでいく。
ソロネは自分の体より大きい槍を信じられないスピードで振り下ろすと、ナイフを粉々に砕いた。
スネイクはナイフを投げると同時に踏み込んでいたが、予想以上の反応速度に、攻撃に移る事が出来なかった。
それどころか、大きな槍をまるでナイフを振り回すかのように軽々扱うソロネに近づく事さえ出来ない。
スネイクはチッと舌を鳴らすと、懐からナイフを四本取り出すと、指の間にそれを挟み、グッと握り締めた。

istint5/31 15:48:356056cfxn4lGWp7tYY||566
「ほう、短刀四刀流を扱えるのか。
 しかし、カーティスやシェリフェルならともかくお主の力量では槍にナイフで当たっても勝負は見えておるぞ。」

istint5/31 15:48:496056cfxn4lGWp7tYY||169
ソロネは百戦錬磨の軍人だったのでそれぞれの武器の特性を見抜いていた。
ナイフは小回りが利き、誰にでも扱いやすい武器だが、それで槍や、大剣に対抗するのは余程熟練された技が無いと無理だ。
槍は重量級の武器で扱いは難しいが、リーチもあり、基本的に同じ力量のものが戦えば剣では槍に勝つ事は不可能とされている。
ソロネほどの達人が相手では尚更だ。

istint5/31 15:49:46056cfxn4lGWp7tYY||763
だが、スネイクにはある考えがあった。
インヴァリッドを使うにはリスクが大きすぎる。
この武器は物理的には最強クラスの攻撃力があるが、反動が大きすぎ、まだ未完成だ。
それより安全に戦う方法があった。

istint5/31 15:49:206056cfxn4lGWp7tYY||424
それは今日まで王族だという素性を隠していたスネイクが封印していた力だった。
グランデュール王家には代々特別な力が備わっていた。
かつて、この王国を建国した初代王から受け継がれてきた力だったが、徐々にその血は弱くなり、ほぼ忘れ去られたものとなっていた。

istint5/31 15:49:366056cfxn4lGWp7tYY||828
しかし、スネイクは古書を読み漁り、腹心の部下にのみそれを研究させ、自分の体に流れる古い王家の血を一時的に蘇らせる方法を編み出したのだ。
それに元々、スネイクは王家の血が今までよりも濃く、幼い頃からカーティスによって鍛えられてきたのでその力を使用するだけの器は持ち合わせていた。
突然、スネイクの身体から赤色の気がゆらゆら噴出し、眼球の色も金色に変化する。
これにはソロネも驚きを隠せなかった。

istint5/31 15:49:476056cfxn4lGWp7tYY||344
「なんだ!?
 何が起こったというのだ!
 まさか…これがカーティスの言っていた王家の力なのか!?」

istint5/31 15:50:246056cfxn4lGWp7tYY||308
スネイクの指から赤色のオーラが蔦ってナイフを包み込んだ。
ソロネが槍を大上段に構え、スネイク目掛けて振り下ろす。
スネイクはその槍をナイフを四本交差させて受け止める。
受け止めた瞬間、槍とソロネの攻撃の重さにスネイクの足が地面にめり込んだ。
端から見れば身体の小さなスネイクはソロネの攻撃で叩き潰されそうに見える。
しかし、彼は全ての攻撃をその両腕で受け止めていた。

istint5/31 15:50:406056cfxn4lGWp7tYY||639
今度は右手で槍を受け止めると、余った左手の二本のナイフをソロネの腹に向けて投げつけた。
ナイフはソロネの腹に突き刺さったかに見えたが、その分厚い鎧に少し傷を付けたに留まった。
ソロネはスネイクの左手ががら空きになったのを見て、その怪力で左腕を鷲づかみにする。
完全に動きを止めた上で、もう一撃入れるつもりだった

istint5/31 15:50:496056cfxn4lGWp7tYY||828
スネイクは慌ててブーツの中に隠してあるナイフを取り出し、ソロネの腕を力いっぱい斬りつけた。
スネイクの身体には至るところにナイフが隠されている。
ソロネが怯むと、スネイクは服の裏からナイフを次々取り出し、ソロネに投げつける。
それと同時に四本のナイフを巧みに操り、ソロネの身体を斬りつけ、死角から斬ると同時にナイフを飛ばしたりし、翻弄する。

istint5/31 15:51:16056cfxn4lGWp7tYY||734
ソロネは一旦距離を取ろうと後ろに飛びのいた。
「フフ…先ほどよりスピードが上がってるな。
 中々愉しませてくれる。」」

istint5/31 15:51:196056cfxn4lGWp7tYY||473
ソロネは攻め込まれているにも関わらず、余裕の笑みを浮かべていた。
一方、攻め込んでいるはずのスネイクは、焦りを感じていた。
この状態でいられる時間はそう長くは無い。
それにこんなところで時間を食っていたら外のルヴィンたちがシェリフェルに殺されてしまうかも知れない。

istint5/31 15:51:316056cfxn4lGWp7tYY||26
(このまま戦っていてもこのおっさんを倒すのは無理だ。
 王家の力を発動した時点で俺の全能力は五倍ほど上昇しているはずなのに、あの野郎全然疲れやがらねえ。
 よし…ここは盗賊らしく…)
スネイクは全闘気を拳に握った四本のナイフに集中する。
ナイフは炎のように赤く輝き、膨大な量のオーラが凝縮されている事を物語っていた。
ソロネもそれに気付き、槍に神経を集中する。

istint5/31 15:52:76056cfxn4lGWp7tYY||837
「フフフ…最期の攻撃に出おるか。
 こちらも礼を持って応えねばな。」
ソロネはスネイクの攻撃を、受け止めて、その後完膚無きまでに粉砕するつもりだった。
と言うより、あの量のオーラを全て特攻に使われると、避ける方がリスクが大きかった。

istint5/31 15:52:226056cfxn4lGWp7tYY||894
ソロネにしてもはじめて見る技で、どんなトリックが隠されているか分からない。
逃げ損なってダメージを負うよりも正面から攻撃を受け止めるほうが安全だった。
なぜなら自分の方がスネイクより遥かに大きいオーラ量を誇っていたし、身体能力もまだ上だった。

istint5/31 15:52:366056cfxn4lGWp7tYY||59
(へっ…俺の全力なんか怖くないってか…。
 流石はソロネのオッサン、将軍の中の将軍だぜ。
 だが…)
「それがアンタの命取りだ!」

istint5/31 15:53:46056cfxn4lGWp7tYY||329
スネイクは勢い良くソロネ目掛けて突っ込む。
ソロネは衝撃に耐えようと身構えた。
が、そのまま真っ直ぐ突っ込んで来るかに見えたスネイクは、ソロネの前でクルッと宙返りをすると、両手の拳を思い切りソロネの足元に叩き付けた。

istint5/31 15:53:146056cfxn4lGWp7tYY||880
赤い光が弾けて地面には亀裂が走り、岩柵が隆起する。
土煙が舞い、砕かれた地面の欠片が飛び散った。
ソロネは足元をすくわれてヨロヨロと態勢を崩す。
飛散する岩片から顔を庇いながら叫んだ。

istint5/31 15:53:266056cfxn4lGWp7tYY||761
「小癪なまねをしおって!
 がっかりしたぞ!」
ソロネが槍を引っつかみ、スネイクを捉えようとする。
しかし、土煙のせいか、スネイクの姿は見えない。

istint5/31 15:53:346056cfxn4lGWp7tYY||41
「まさか!?」

istint5/31 15:53:426056cfxn4lGWp7tYY||140
ソロネが気付いた時はもう遅かった。
スネイクは土煙と爆音に紛れて、ソロネの頭を飛び越えて奥のドアの前にいた。

istint5/31 15:53:486056cfxn4lGWp7tYY||712
「はっはっは!
 残念だったな、オッサン!
 ひとまず勝負は預けとくぜ、じゃあな!」

istint5/31 15:54:26056cfxn4lGWp7tYY||334
ボロボロに刃こぼれしたナイフをポーンと投げるとさっさと奥の部屋へと消えていった。
ソロネはそれを追おうともせず、じっと立っていた。

istint5/31 15:55:206056cfxn4lGWp7tYY||36
やがて、豪快に笑い出す。
「フフフ…ガハハハ!
 中々面白い奴だ、のう、ハルファス。」

istint5/31 15:55:386056cfxn4lGWp7tYY||459
影から戦いを見守っていたハルファスがソロネの元に駆け寄ってきた。
「ふざけた盗賊ですな。
 所詮ゴミはゴミ。
 卑劣な手を使います。
 追いますか?」

istint5/31 15:55:486056cfxn4lGWp7tYY||771
ソロネは緩んだ顔を引き締めるとハルファスに命じた。
「そうだな、捕らえてワシの前に引きずってこい!」
ハルファスは命を受けると風のように飛び出していった。

istint5/31 15:56:06056cfxn4lGWp7tYY||739
********************************

istint5/31 15:56:136056cfxn4lGWp7tYY||127
その頃、エラド教皇は城にはおらず、闇の神殿に赴いていた。
闇の大公、闇の代弁者であるグラッドに呼び出された為だ。

istint5/31 15:56:376056cfxn4lGWp7tYY||527
エラドが神殿内部の大ホールに行くと、そこには闇ソーサラー「ベアン」が先に到着していた。
ベアンは相変わらず不気味な鎧で全身を覆い隠し、憎悪と破壊のオーラを溢れ出させていた。
エラドにすら殺気を飛ばしてくる。
エラドはこの新参者が気に食わなかった。
たかだか二度や三度の転生を行っただけの分際で伝説の闇ソーサラーと同列に加えられているベアンに苛立ちを感じていた。
いずれ首を斬りおとして魂を喰らってやるつもりだった。

istint5/31 15:56:546056cfxn4lGWp7tYY||68
しかし、すぐにでもそうしない理由があった。
ベアンの側にはいつもザファが付き纏っている。
それだけではない。
ベアンの発する不気味な闘気は闇ソーサラーのエラドにとっても、決して心地よいものではなかった。
エラドは確実にベアンを殺す為には、あの男を使う気だった。
黒い男を…。

istint5/31 15:57:156056cfxn4lGWp7tYY||462
あいつならやれる。
ベアンと同質のオーラを持ちながら自分に従順な兵器。
あの黒い男はエラドの切り札だった。

istint5/31 15:57:246056cfxn4lGWp7tYY||378
しばらくするとそこに黒いローブをすっぽり被った闇ソーサラーが現れた。
その闇ソーサラーはエラドに近づいてきて話し掛けた。
「久し振りね、エラド。
 暗雲の塔建造以来かしら。
 あなたの軍は日増しに大きくなっていっているようね。
 でもおかしな気を起こさないことよ。
 彼が見てるわ…フフフ。」

istint5/31 15:57:426056cfxn4lGWp7tYY||694
その闇ソーサラーは透き通るような女の声で話した。
彼女は唯一、女の闇ソーサラー、名前はわからない。
誰も彼女の名前を知るものはいない。
他の闇ソーサラーからは便宜上「プロセルピナ」と呼ばれていた。
彼女が名前を名乗らない理由は、名前に縛られる事を嫌った為だ。
彼女は誰にでも優しかったが何を考えているか判らない。

istint5/31 15:57:586056cfxn4lGWp7tYY||703
突然ホール中に不気味な闇のオーラが充満した。
「闇の代弁者、グラッドのおでましね。
 フフフ…このオーラ、痺れるわ…。」

istint5/31 15:58:126056cfxn4lGWp7tYY||305
グラッドはいつもオーラのみで姿を見せない。
闇ソーサラーですら彼がどこで司令を出しているのか、どのような姿をしているのか知るものはいなかった。
ただ、分かっている事は、彼の言葉は闇の意思であり、サ・レギュオンの意思であるということだった。
「闇ソーサラーよ、闇の意思を伝えよう。
 サ・レギュオンはお怒りだ。
 地上の全てを闇に塗り替え、死をもたらし、恐怖で埋め尽くすのが貴様等闇ソーサラーの役目である事は分かっておるな?
 エラド、貴様が地上で行っている事は闇の意思に沿うものか、己に問うてみよ!」

istint5/31 15:58:236056cfxn4lGWp7tYY||297
エラドはピクッと身体をこわばらせたが、すぐに気を持ち直し、答えた。
「仰っている意味が良く判りませんな。
 私は闇の軍団をより強大にする為に聖蒼教団を掌握しているにすぎませぬ。」

istint5/31 15:58:336056cfxn4lGWp7tYY||181
プロセルピナが隣でクスクス笑い出す。
「どうかしらね…?
 アノ子の事は内緒なのかしら?
 私も最近まで全然知らなかったんだから。」

istint5/31 15:58:426056cfxn4lGWp7tYY||812
ホール中に充満しているグラッドのオーラが膨れ上がる。
「黙れ!プロセルピナ!
 私は今エラドと話をしておるのだ!
 サ・レギュオンは全てお見通しだ。
 今地上で何が起こっておるか見るがいい!」

istint5/31 15:58:566056cfxn4lGWp7tYY||887
グラッドの台詞と共に大ホールの広い空間にルヴィンたちの姿が映し出された。
シェリフェルが暗黒の闘気を噴出し、ルヴィンが青龍のオーラを巻き上げている。

istint5/31 15:59:86056cfxn4lGWp7tYY||17
「どうだ?
 此れほどのオーラを持つものが地上にいる事がおかしいではないか。
 闇ソーサラーですら地上では忌々しき光の呪いによって力を出せぬというのに…なんだ、この者達の力は!?
 こうなるまで地上を放って置いた貴様の怠慢ではないのか、エラド?」
エラドは一気に青ざめた。

istint5/31 15:59:206056cfxn4lGWp7tYY||704
(はめられた…!
 ザファめが、こうなる事を予測してこの会合を開くと言い出したに違いない…。
 シェリフェルのバカ者めが、力を見せびらかしおって!)
プロセルピナはうっとりシェリフェルとルヴィンを見つめていた。

istint5/31 15:59:316056cfxn4lGWp7tYY||274
「素敵な坊や達ね…。
 特にこっちの青い髪の子…かわいい。」

istint5/31 15:59:446056cfxn4lGWp7tYY||211
ベアンはというと、映像が映し出されてから明らかに態度がおかしかった。
それは彼の身体から噴出すオーラが物語っていた。
そして、初めて彼が口を開いた。

istint5/31 16:0:176056cfxn4lGWp7tYY||948
「グラッド卿…あやつらの力は、古代人の作り出した呪われた力に違いない。
 今叩き潰しておくが上策でしょう。
 私なら容易くそれを行えます。
 ついでに聖蒼教団もグランデュールも壊滅させてみせます。」
喋るたびに鎧の首の辺りの継ぎ目からフシューと黒い煙のような気を吐き出し、何とも不気味だった。

istint5/31 16:0:276056cfxn4lGWp7tYY||637
エラドはベアンを睨みつけた。
(こいつ…!
 もしや気付いていながらわざと…忌々しい奴だ。
 コイツを行かせてしまえばワシの今までの苦労が水の泡だ。)

istint5/31 16:0:386056cfxn4lGWp7tYY||433
慌ててエラドがベアンを遮った。
「待て!
 貴様が行く事はない。
 これはワシが招いた結果だ。
 ワシが行ってくるがよかろう。」

istint5/31 16:0:596056cfxn4lGWp7tYY||420
グラッドは何も言わなかった。
しかし、空中から突然一振りの剣が降ってきた。
その真っ黒の剣は変わった形をしており、刀身は真っ直ぐではなく、反り返って、なお且つ炎が揺らめいているようにギザギザになっていた。
この剣は闇ソーサラーなら誰でも知っている剣だった。

istint5/31 16:1:136056cfxn4lGWp7tYY||465
かつての大戦でサ・レギュオンが使用し、星を砕き、恒星の軌道を変え、銀河の運行すら妨げたという剣だ。
ゲヘナと呼ばれるこの剣が再びこの世に姿を現すことは闇王の復活が近いことを意味していた。
また、ゲヘナを与えられたものは闇王より全ての指揮権を委ねられ、闇の軍団を意のままに操る事が出来る。
その権力は闇の代弁者グラッドとほぼ同等で、軍団指揮に於いてはグラッド以上の権限を許された。
プロセルピナが瞳をウルウルさせながら剣に近づく。

istint5/31 16:1:236056cfxn4lGWp7tYY||786
「ああ…ゲヘナの火炎よ、再び宇宙を焼き尽くすのね。
 美しい…」

istint5/31 16:1:336056cfxn4lGWp7tYY||124
しかし、なぜこの剣が出現したのかは誰にも分からなかった。
再びグラッドの声がする。
「闇ソーサラーども、聞くがいい。
 そして忘れるな!
 貴様等はこのゲヘナの剣の下、未来永劫戦い続けるのだ。
 そして最大の功績を残したものにこの剣と軍団の指揮権を与えよう。
 フフフ…ハハハハハハ!」

istint5/31 16:1:496056cfxn4lGWp7tYY||457
エラドはゲヘナの放つ黒い輝きに思わず唾を飲み込んだ。
この剣をその権限を持たないものが抜こうとすれば闇ソーサラーとて魂を分解され、再生できない。
しかし、この剣があれば…この剣さえあれば、新しい闇の世界を創世できる。
エラドはいそいそと部屋を後にした。

istint5/31 16:2:56056cfxn4lGWp7tYY||699
プロセルピナはその姿を見送ってからグラッドに語りかけた。
「いいのかしら?
 彼を一人で行かせて。
 多分私たちを裏切るわよ、彼。
 知っていたんでしょう?あの子達の事。
 あなたも人が悪いわね。」

istint5/31 16:2:176056cfxn4lGWp7tYY||663
グラッドはそのことについては答えなかった。
代わりにベアンが口を開いた。
「やはりザファの言った事が正しかったか。
 しかし、あの男も哀れよな。
 自分の権力に固執するあまり本質を見失っておるわ。」

istint5/31 16:2:326056cfxn4lGWp7tYY||378
プロセルピナはベアンを見つめた。
「以外にあなたっておしゃべりなのね。
 でも面白くなってきたわ。
 エラドもこれで動かざるを得なくなったわ。
 あの聖蒼教団にはセルレイスもいるんでしょ?
 彼には色々恨みのある方もいることだしね。
 フフフ…楽しみね。」

istint5/31 16:2:446056cfxn4lGWp7tYY||867
グラッドの気配は徐々に薄くなってきた。
「そろそろ時間だ。
 プロセルピナ、あまりエラドをからかうな。
 それからベアン、貴様、あまりあの二人の事で余計な行動を起こさぬことだ。」

istint5/31 16:3:06056cfxn4lGWp7tYY||891
プロセルピナはローブのフードを取ると美しい顔をあらわにした。
艶やかな黒髪は地面に付くほど長く、口元には微笑をたたえている。
言われなければ誰もが女神だと見紛うであろう。
「もう時間なのね、グラッド。
 ベアン、あなたもザファの所に戻るんでしょ?
 あの人ったらいつもおかしな実験ばかりしてないで少しはこっちを手伝って欲しいわね。」

istint5/31 16:3:86056cfxn4lGWp7tYY||327
ベアンは無言でプロセルピナの側を通り抜けていった。
彼が歩くたび、地面からは黒い湯気が噴出していた。

istint5/31 16:4:166056cfxn4lGWp7tYY||519
今回はここまでです。
作者入院の為、少し更新が遅れました。
病院は退屈だったっすよ〜

シェイラ6/4 23:18:82184cflpErDM/W23U||410
え?だ、大丈夫ですか!お話の方も、闇のソーサラーの切り札が出てきたりとますます、心躍るような展開になってきましたね。楽しみです!あまり無理をなさらずに、これからも頑張って下さい!


本文(<>," shift+7使用不可)
 ※メルアドや電話番号を公表してはいけません、荒らしを批判するのは「俺が神掲示板」以外は禁止!
 
特殊文字 by.チビファンタジー 過去ログ
無料ゲーム総合サイト: おもしろフラッシュ総合サイト: PS2:GBA:PSP:NDS:GC:XBOX