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8476Strange-04sIs6/16 18:35:311252cf0MNeLIaTrdk
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※荒らし、冷やかしは回れ右。作品の批評は○。
※* 前回の感想へ * が載るまでのレスはご遠慮を。
※この物語はフィクションです。

sIs6/16 18:35:371252cf0MNeLIaTrdk||759

大学に入ってから何年経っただろう。
もう少ししたら就職活動が始まる。
私は別に就職先はどこでもいい。いや、就職しなくてもいい。
だからきっと、就職活動は適当に済ませてしまうだろう。
今は大学で勉強して、バイトをこなすだけの日々が続いている。


sIs6/16 18:35:441252cf0MNeLIaTrdk||625


- 二月二十一日 * ミヤシキ ケイコ -



sIs6/16 18:35:551252cf0MNeLIaTrdk||436

バイトって、結構体力を使う。
私はもう二年バイトしてるから、さすがに体も慣れてきたけど、新しく入ってきた人はよく体調を崩す。

「宮式さーん、今日も新人の阿本さんお休みだから六番のレジよろしくねぇ」

ロッカールームで制服に着替える私に、正社員の人がそう言ってきた。
私のバイト先は某大手スーパー合久店。

「あ、はぁーい」


sIs6/16 18:36:71252cf0MNeLIaTrdk||338

取り合えず返事はする。でも心の底では舌打ちをする。
他人の仕事をやることほど、体がムズムズすることってない。
昨日も六番のレジをやらされた。
私の本当の仕事は、食品売り場の商品の補充だ。

でも、レジ打ちって結構楽しいかもしれない。
そりゃあ何時間も立って同じ言葉ばかり喋るけど、色んな人と会う。
今日の夕飯は天ぷらなんだろうか、油を二つも買う主婦。
友達とわいわい喋くりながらペットボトルのジュースを一本だけ買っていく小学生。
皆が皆、それぞれの買い物をしているのが分かる。

今日は誰と会うだろう。


sIs6/16 18:36:201252cf0MNeLIaTrdk||735

「・・・あ、酒宮君?」

レジに立って数分で、知り合いがやって来た。
彼は、私の妹の幼馴染だ。私とも多少は仲が良かったが、ここ数年は会っていなかった。
私は彼の名前をすぐに呼んだが、向こうはピンと来ない様子。

「・・・あ、えっと・・・? あー・・・、誰でしたっけ?」
「・・・私よ、宮式啓子。ほら、和恵の姉の・・・」
「あぁあぁ、宮式さん。ども」


sIs6/16 18:36:301252cf0MNeLIaTrdk||246

彼はペコリ、と頭を下げた。
そしてペットボトルのジュースとポテチの袋を渡される。
私はそれを出来るだけ素早くレジに通す。

しばらく無言。
しかし気まずいのが我慢できなかったのか、突然彼が、

「・・・あの、宮式どうしてますか」

と聞いてきた。
私はちょっとだけ、手を止めてしまった。


sIs6/16 18:36:411252cf0MNeLIaTrdk||744

「?・・・それはどういう・・・?」
「いや、あいつ三日ぐらい前から学校に来てないんですよ。
 宮式さんも知りませんか」

私は三日前からの記憶を掘り返してみる。
和恵とは家が違うから、会話は全くしていない。
それどころか、メールの一通すらやり取りしていない気がする。

「し、知らないけど」
「・・・そうすか・・・」

レジが混雑するといけないので、それ以上は何も喋らずに彼と別れた。
しかし彼と別れてからも、私の頭は和恵のことで一杯のままだった。


sIs6/16 18:36:501252cf0MNeLIaTrdk||739

仮にも今年東大受験する和恵が、家出をするとは考えられない。
風邪を引いたにしても、それなら酒宮君の耳にも届くはず。
なら一体和恵はどうしたんだろうか。


sIs6/16 18:37:01252cf0MNeLIaTrdk||944


宮式和恵の姉、宮式啓子はそのとき、既に妹が生きていない可能性までは考えていなかった。



sIs6/16 18:37:81252cf0MNeLIaTrdk||555


- 二月二十一日 * サカミヤ フミト -



sIs6/16 18:37:191252cf0MNeLIaTrdk||899

変だと思ったのは、二月十六日に親友の野山幹宏に話しかけたのが最初だ。

「あ、おい野山、昨日はどうだったんだよ?」

十五日、野山は彼女の面ヶ瀬千佳に突然呼び出されたらしい。
彼が行く前に俺の携帯にメールをよこしたので、俺はそれを知っていた。
でも彼女があの面ヶ瀬だ、大方渡し忘れたチョコを渡されたとか、そんなところだろう。
だから俺は貰えたのかどうかを聞こうとした。


sIs6/16 18:37:291252cf0MNeLIaTrdk||541

ところが幹宏の返事は、

「あー・・・、うん」

と、曖昧にも程がある返事だった。
しかし俺はどうしても聞きたかったので、幹宏を問い詰めてみた。

「貰えなかったのか」
「・・・何を」
「いや、何をって・・・。
 昨日面ヶ瀬と何してきたんだ」
「・・・別にぃ・・・」
「何もしてないわけないだろうが」
「ん?んー・・・」

しかしいくら問い詰めても、結局埒があかなかった。


sIs6/16 18:37:471252cf0MNeLIaTrdk||585

そしてその幹宏の彼女、面ヶ瀬千佳がその日から学校に来ていない。
最初は彼女のことだからサボリだろうと言われていたが、いくら面ヶ瀬でも四日もサボったことはない。
それに加え十九日からは、幼馴染の宮式和恵まで来なくなった。

今日の朝のホームルームで警察に捜索願を出したとか先生が言っていたが、きっと学校の面子を守る為にやったことだろう。
彼女ら自身を心配している先生なんかいない。合久高校はそんな学校だ。


sIs6/16 18:37:571252cf0MNeLIaTrdk||572

俺の母親も失踪した。
十七日に買い物に行ったきり、一度も家に帰ってきていない。
近所の人に聞いてみても、ここ数日は見かけていないそうだ。
だから俺は今日、捜索願を出しに警察署に行く。
不安になる心を必死に叱って、早歩きになって、時々自転車にぶつかりそうになりながら。


sIs6/16 18:38:71252cf0MNeLIaTrdk||840


しっかり組まれた 頑丈な歯車も いつかは必ず 壊れていくんだ

今はボロボロ それでも回る 壊れてなくなる その日まで・・・♪



sIs6/16 18:38:171252cf0MNeLIaTrdk||454

突然、そんな歌詞が頭の中をよぎった。
でも何故だろう、俺の好きな歌手の曲の歌詞なのに・・・。

その言葉の意味が分かった気がして、今は不安になるだけだった。


sIs6/16 18:38:291252cf0MNeLIaTrdk||74

* 後書き *

酒宮君が初めて出てきた(笑)
主人公の登場がこんなに遅い物語って・・・アリか、アリなのか?
今まで読んできた物語の中でそんな物語なかったから、ちょっと心配。
・・・いや、先駆者になろう、うん(何の)

しかし、無駄と取られても仕方のない第四話。
すっ飛ばして第五話に言っても問題ないかもしんない。
失踪した人たちについてちょっと分かり辛くなっちゃうけど。


sIs6/16 18:38:381252cf0MNeLIaTrdk||484

* 前回の感想へ *

>ピマさん
お久し振りです。楽しみにしてくれていてありがとうございます。
私もそうですが、きっと裏作者も喜んでいるでしょう(ホントか?)
好奇心のせいで宮式が、じゃなくて、宮式のせいで好奇心が殺されたというか(謎)
幹宏のスピードは素晴らしいです。もしかすると彼、蛇か鷹あたりの子孫かもしれない。
或いは陸上選手の、とか・・・彼の生まれが気になります(何)


マハザン6/17 14:21:122102cfXZy02qfwov.||504
・・・やばいです。レベル高いです。
状況の説明、また風景と心の描写がしっかりしているので、
物語全体としても、良い雰囲気が出てます。
前回の作品から鑑賞させていただいているのですが、
雰囲気作りのうまさと題材の質から見て、プロの作品に勝るとも劣らない感じ。
アマチュア作家の自信を、吸い取ってしまうような完成度です(汗)。
・・・私も、粉々に自身を砕かれた感じです(´ー`;

がんばってくだせぇ。影ながら、応援させて頂きますじゃ。
失礼いたしました〜。



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