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8505セイクリッド・ブルー第三部(6)istint6/20 21:52:396056cfkDxXC90Qe0E
http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-8454.html 前回までのお話

istint6/20 21:53:576056cfkDxXC90Qe0E||795
「まだ死にたくないだろ?
 いつまで這いつくばってるつもりだい?」
そう言うと、シェリフェルはルヴィンの腹を思い切り蹴り上げた。
ルヴィンはもう青龍のオーラにも守られていない生身の身体だった。

istint6/20 21:54:166056cfkDxXC90Qe0E||277
内臓が悲鳴をあげ、血反吐を吐く。
ムスティンももう反撃する余力を残してはいなかった。
ニナがたまりかねて、ムスティンに小声でささやく。

istint6/20 21:54:266056cfkDxXC90Qe0E||224
「このままじゃ、ルヴィンが殺されちゃうわ!
 いい?今から私が言うとおりに動いてちょうだい。」

istint6/20 21:54:486056cfkDxXC90Qe0E||257
ムスティンはニナの作戦を聞いて、驚いたが、すぐ準備に取り掛かった。
彼はプロの暗殺者らしく冷静に正確に任務をこなす。
最期の力を振り絞ってバリアントダガーを再び開放状態にした。

istint6/20 21:54:576056cfkDxXC90Qe0E||336
シェリフェルももちろん、それに気付いた。
「おやおや、そんな状態で何をするつもりなのかな?
 今更何をしたって無駄さ。」

istint6/20 21:55:86056cfkDxXC90Qe0E||493
ムスティンは口元に笑みを浮かべた。
「さあ、どうするか見てろ。
 はあっ!」
ムスティンは全魔力を込めて、エルフの究極防御結界、光の壁を発動した。

istint6/20 21:55:196056cfkDxXC90Qe0E||128
しかし、それはムスティンにでも、ルヴィンに対してでもなかった。
なんと、シェリフェルがその壁に囲われたのだ。

istint6/20 21:55:296056cfkDxXC90Qe0E||183
そこにすかさず、ニナがアンシェント・ソーサリング「プロミネンス」を撃ち込んだ。
ニナは前回はこの魔法を制御し切れなかったが、今回は賢者からもらい受けた杖のお陰で、完璧な発動だった。
渦を巻きながら燃え盛る業火は、空高く舞い上がり、光の壁に囲まれたシェリフェル目掛けて突っ込んだ。
膨張し、そして凝縮していくはずの炎は、光の壁のせいで膨張する事ができない。
逃げ場を失ったエネルギーは壁の内部で暴れ狂い、温度と圧力を上昇させていく。

istint6/20 21:55:456056cfkDxXC90Qe0E||45
ムスティンはルヴィンを拾い上げて、避難した。
これはニナが光の壁の特性を利用した作戦だった。
光の壁は左右からの攻撃に対しては絶対的な防御力を誇るが、上方までカバーできないのだ。
そして術者が解除するまで壁の外には出られない。
シェリフェルは地獄から召喚された炎に焼き尽くされるだろう。

istint6/20 21:55:556056cfkDxXC90Qe0E||856
これがニナの作戦だった。
炎は次第に収縮を始め、魔界へ還っていく。
…が、収縮を始めた炎は再び勢いを増し、凄まじい勢いで上空に向けて噴き上げられた。
噴き上げられた炎は、ニナたち目掛けて飛んでくる。
ニナは急いでもう一発プロミネンスを放ち、それを相殺した。

istint6/20 21:56:26056cfkDxXC90Qe0E||743
「何が起こったの!?
 まさか…」

istint6/20 21:56:96056cfkDxXC90Qe0E||838
ムスティンの魔力が尽きて、壁が取り払われると、中から黒いオーラに覆われたシェリフェルが姿を現した。
彼は火傷一つ負ってはいなかったのだ。

istint6/20 21:56:166056cfkDxXC90Qe0E||320
「まさかアンシェント・ソーサリングを操る奴がいるとはね。
 そんな奴はこの教団でもマジェリッド将軍くらいさ。
 フフフ…でも残念だったね。
 少し寿命が延びただけだ。
 そろそろ死んでもらいましょうか、ね。」

istint6/20 21:56:336056cfkDxXC90Qe0E||513
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istint6/20 21:56:426056cfkDxXC90Qe0E||653
アリステアはハルファスを下し、少し休んでいた。
「これだけの使い手を殺すのは惜しい。
 それにこの男はまだこの教団では話のわかる奴だ。」

istint6/20 21:56:516056cfkDxXC90Qe0E||970
そういう理由であえて止めを刺さなかった。
彼が休んでいるとそこにレンティーニとスネイクが現れた。
スネイクがアリステアに声をかける。

istint6/20 21:56:586056cfkDxXC90Qe0E||215
「さすが、陽炎剣法の正統継承者だな。
 守護聖クラスをあっさりやるとは。」

istint6/20 21:57:96056cfkDxXC90Qe0E||672
アリステアが首を振る。
「あっさりではなかったですよ。
 守護聖クラスともなると流石です。
 レンティーニ殿もお助けできた事ですし、早く脱出しなければ。
 今に中枢部が動き…」

istint6/20 21:57:226056cfkDxXC90Qe0E||728
そこでアリステアが口を止めた。
彼の目の前の大階段からセルレイスとカーティスが並んで歩いてきていたのだ。
セルレイスは三人にすぐ気付いて野太い、威圧的な声で語りかけてきた。

istint6/20 21:57:306056cfkDxXC90Qe0E||481
「ほう、王国騎士団長ともあろうお方が侵入者の手引きをしておるとはな。
 三人ともどこへ行くつもりだ?
 もう逃げられんぞ。
 俺が出てきたからにはパーティーの時間は終わりだ。」

istint6/20 21:57:506056cfkDxXC90Qe0E||435
セルレイスの威圧感にスネイクの身体がこわばる。
こいつはやばい。
絶対に戦ってはいけない。
彼の本能がそう告げていた。
シェリフェルの得体の知れない不気味さよりも、ジュディケーターの恐ろしさよりも圧倒的な存在感がホールを包み込んでいた。
それに隣にいるのは、スネイクがどう逆立ちしても敵わない剣聖と呼ばれる男、カーティスだ。
レンティーニは、と言うと相変わらずの落ち着きぶりだった。
アリステアも驚いてはいたが、すぐに剣を取り、構えていた。

istint6/20 21:57:566056cfkDxXC90Qe0E||408
「バルマスディール様、レンティーニ殿は先を急いで下され。
 私でも時間稼ぎくらいはできましょう。」

istint6/20 21:58:86056cfkDxXC90Qe0E||278
カーティスも剣を抜く。
「アリステア、貴様ごときが時間稼ぎにでもなると思っているのか?
 命を棄てるもんじゃない。
 貴様では俺には勝てん、違うか?弟よ。」

istint6/20 21:58:156056cfkDxXC90Qe0E||781
アリステアの顔に汗が吹き出ていた。
そう、彼が唯一認める兄とは、カーティスの事だったのだ。
しかし、アリステアは退かなかった。

istint6/20 21:58:246056cfkDxXC90Qe0E||184
「教団に魂を売り渡し、王国の貴族としての誇りを忘れた貴様に弟などと呼ばれる筋合いは無い。
 刺し違えても貴様を討つ!」

istint6/20 21:58:366056cfkDxXC90Qe0E||952
アリステアがカーティスに斬りかかった。
カーティスは造作なく剣の鞘で受け止めると、陽炎が作り出すもう一本の刃も、短刀で受け止めた。
完全に幻の刃が出る場所、タイミングを見切られていた。
それどころか、逆にアリステアの首筋に切り傷が出来てしまった。

istint6/20 21:58:526056cfkDxXC90Qe0E||428
カーティスは鞘に収めた剣の刃から陽炎の幻の刃を発生させたのだ。
レンティーニは過去に一度この剣技と対峙したことがあるので、その性質は知っていた。
戦いにくさも。
以前は格下の相手だったから、力押しで勝てたものの、カーティスが相手となるとレンティーニでもそうはいかないだろう。
それに、セルレイスが迫ってきている。

istint6/20 21:58:596056cfkDxXC90Qe0E||759
レンティーニは決断した。
「よし!走れ!」

istint6/20 21:59:96056cfkDxXC90Qe0E||233
スネイクはアリステアの身を案じたが、レンティーニに無理矢理引きずられながら、しぶしぶ走り出した。
「おい!
 レンティーニ!
 アリステアを見殺しにするのか!」
「まあ、そういうことになるな。
 だが俺たちが残ったところで、全滅する可能性のほうが高いだろう。
 あいつはお前を生かす為に残ったんだ。
 男の生き様を無駄にするわけにはいかん。
 俺もかつては友に生かされた身だ。
 つらいのはわかる。」

istint6/20 21:59:216056cfkDxXC90Qe0E||85
スネイクはまだ何か言いたそうだったが、諦めた。
アリステアは王国の騎士団長だから立場上、無下に殺されたりはしないだろう。
それにカーティスは幼い頃から知っているが、そんなに悪い奴でもない。

istint6/20 21:59:396056cfkDxXC90Qe0E||995
ルヴィンは生きているだろうか。
あいつが死んでしまったら何もかも終わりな気がする。

istint6/20 22:0:86056cfkDxXC90Qe0E||296
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istint6/20 22:0:286056cfkDxXC90Qe0E||761
ムスティンは二人を抱え、必死に神脚を駆使し、逃げ延びていた。
彼にとってはかつて無い屈辱だった。
こうまで手も足も出ないとは思っていなかったのだ。
シェリフェルは徐々に距離を詰めてくる。
やろうと思えばいつでもやれるのに、そうしないのは彼が殺す事を愉しんでいるからだろうか。

istint6/20 22:0:406056cfkDxXC90Qe0E||283
そこに、スネイクたちが登場した。
スネイクが中庭に出た瞬間、無線が入る。
「ザーザー…こちら旗艦ヴァージルガルディ。
 生き残ったわが団員は全て保護した。
 今から残りの燃料で団長を迎えに行きます。」

istint6/20 22:0:546056cfkDxXC90Qe0E||542
スネイクは無線を引っ掴むと、早口で命令を怒鳴り散らした。
「全くてめえは遅えんだよ!
 トロトロしやがって。
 今こっちは化け物に囲まれて皆殺しにされそうなんだぞ!
 さっさと来やがれ!」

istint6/20 22:1:26056cfkDxXC90Qe0E||460
言うなり無線を切った。
レンティーニは既に剣を構えて何かを唱えていた。
「おい、スネイク。
 ちょっと離れてろ。
 こいつだけは使いたくなかったがそうも言ってられん。
 どうなるかは俺にもわからんが、これを開放する。」

istint6/20 22:1:136056cfkDxXC90Qe0E||814
レンティーニは自分の剣の解放を今まで一度もしたことが無かった。
彼の持つ生体金属の黒刀アビスは、ダークエルフに伝わる由緒正しい名剣だが、実はその剣にはエルフ語でこう記されていた。
「破壊するもの」と。

istint6/20 22:1:246056cfkDxXC90Qe0E||823
レンティーニが詠唱を終えると、黒刀は見る見るうちに、城の塔くらいの大きさにまで伸びた。
刀身からは、バリバリ音をたてながら凄まじいエネルギーが流出している。
それはヴァージルガルディの主砲に匹敵するほどのエネルギーだった。
流石のレンティーニも全身汗だくで、かなり辛そうだった。

istint6/20 22:1:406056cfkDxXC90Qe0E||40
「い…くぞ…。」
シェリフェルがそれに気付いた時は、その刃が振り下ろされていた。
シェリフェルが初めて完全に防御に全神経を集中する。

istint6/20 22:1:526056cfkDxXC90Qe0E||108
「フ…フフ…本当に面白いよ、レンティーニ君。
 君を生かしておいてよかった…ぐぐ」
シェリフェルの黒い気がさらに膨れ上がる。

istint6/20 22:2:16056cfkDxXC90Qe0E||930
その時、シェリフェルの心に声が聞こえた。
(退け、シェリフェル。
 それ以上力を使うな。
 これは命令だ。)

istint6/20 22:2:166056cfkDxXC90Qe0E||774
シェリフェルは一瞬戸惑いの表情と、怒りの表情を見せたが、空間転移の穴を作り出し、その中に吸い込まれていった。

istint6/20 22:2:266056cfkDxXC90Qe0E||543
地面が裂け、瓦礫は完全に吹き飛び、辛うじて残っていた城壁の残骸も跡形も無く平らになった。
レンティーニも力を使い果たし、その場に倒れこむ。
スネイクが慌ててレンティーニを抱え込むと、ムスティンが走り寄って来た。
その時、城の扉が開き、セルレイスと、ソロネが姿を現した。

istint6/20 22:2:376056cfkDxXC90Qe0E||899
「ほう、貴様等よくここまでやってくれたな。
 見事だったぞ。
 だが残念ながらここまでのようだな。」

istint6/20 22:2:466056cfkDxXC90Qe0E||867
セルレイスがその台詞を言い終えるや否や、巨大な影が辺りを包み込んだ。
それは旗艦、ヴァージルガルディの機影だった。

istint6/20 22:5:446056cfkDxXC90Qe0E||566
今回はここまでです。
この時期は気候が変わりやすく、体調も崩れ易いので気をつけてくださいね。
自分はおかげさまで、元気良く働いております。
でも来週は本社に呼び出しくらってしまいました…はぁ

シェイラ6/22 22:27:372184cfW1ik6iIepSE||38
ありがとうございます♪呼び出しですか?た、大変そうですね。お仕事頑張って下さい。でもシェリフェルの底なしの強さには本当怖いですよね。レンティーニの開放状態の剣には負けそうになっていましたが……あ〜続きが楽しみです!


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