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8623月の満ち欠け(読切)sIs7/13 0:2:531251cfegGmQGYncF6


とある日の、もうすっかり陽の光も見えなくなった空の下、二人の少女が河原に座り込んでいた。



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「千佳ちゃん・・・」
「何、和恵?」
「あたしさぁ、また藤吾と喧嘩したんだ」

和恵と呼ばれた三つ編の少女は、目線を河原から自分の膝に落として呟いた。

「へぇ、どうして?」

長い髪の千佳は和恵を慰めるように微笑んでいる。


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「お月様が何で光ったり消えたりするんだってことで」
「和恵も藤吾も、変な話するのね」

和恵は一瞬目を丸くするが、すぐに「あはは」と笑った。

「藤吾はさぁ、お月様が食べられちゃうんだって」
「誰が食べるの?」
「空が」
「でもお月様はまだあるわよね」
「うん、だから『食べられたお月様はどうやって出てくるの?』って聞いたの」
「そしたら?」
「そしたら、『知らない』ってさぁ」

千佳は大笑いした。
どこがおかしかったのか、中々笑いが止まらない。

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「あははは、はは、藤吾は、変ね」
「知らないんだったら言わなきゃいいのにね」
「で、和恵はどうなの?」

千佳に聞かれると、和恵は自信満々そうに言った。

「地球が嫌いな日は消えてて、好きな日は光ってるのよ」
「それも変ね」

さっきのように大笑いまでは行かないが、ふふっ、と千佳は笑った。

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「何よ、千佳ちゃんはどうなの?」
「あたし?あたしはねぇ・・・」

少し間を空けて、千佳はこう言った。

「光りたい日は光って、光りたくない日は消えてるんじゃない?」
「あ、なるほどー、月が勝手に決めてるのね」

和恵は納得したようだ。

「だからあたし達が見たくても見れなかったり、見たくないのに見えたりするの」
「月って意地悪なんだね」
「和恵にだけはね」

意味ありげに千佳が笑った。
和恵はムッとする。

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「そんなことなーいもぉーん。千佳ちゃんにだってきーっと、意地悪だよ」
「あたしには優しいよ、だってお月様だもん」
「変だよ、それ」

千佳は驚いたように和恵を見て、そして笑った。
和恵もつられて笑う。
後から後から笑いがこみ上げてきて、中々止まらない。
やっと和恵が笑い終わって、何か喋ろうとした。

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「千佳ちゃん、あのね・・・」
「和恵ー! そんなとこで何してるの?」

しかし和恵の言葉を遮って、誰かが叫ぶ声が響いた。

「あ、お母さんだ」

和恵は「やばっ」という表情になった。
母親はどんどん和恵に近づいてきて、千佳の前にも関わらず怒鳴った。

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「和恵、暗くなる前に帰ってきなさいって言ったじゃない!」
「だぁーってぇ、藤吾うるさいんだもぉーん」

和恵はふてくされた。

「何言ってるの! ほら、ご飯だから帰るわよ。
 ・・・あら、こんな遅くまでごめんねぇ、面ヶ瀬さん」

ここでやっと千佳の存在に気付いたのか、母親はやんわりと謝った。
千佳は首を振って、

「ううん、こちらこそ遅くまでごめんなさい」

と丁寧に、笑顔で謝った。

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和恵の母親は驚きで目を白黒させながらも、取りあえず大人として言っておくべきだと思い、

「面ヶ瀬さんも、早く帰った方がいいわよ」

と無理矢理作った笑顔で言って、強引に和恵を引っ張りながら家へ帰っていった。
「あんたって子は本当に!」などとまだ叱っている。

千佳はその後姿が可笑しくなって、クスクス笑いながら家に帰った。

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* 後書き *

昔「月はどうして光ったり消えたり欠けたりするのか」ってことを真剣に考えたことがある。
まだ子供だったから「月が食べられている」とか「光りたい時に光る」とか、適当なことばっかり考えてい

た。
月が満ち欠けする本当の理由を初めて知ったのは、小学五年生のときでした。

新しく名前を考えるのが面倒だったので、「Strange」の宮式和恵と面ヶ瀬千佳を出してみることに。
一応幼馴染設定ですが、まさかこの当時から二人とも同じ高校に通うなんて想像もしていなかったでしょう
ね。


セツナ7/13 13:46:202181cfX53WKv3s.NI||609

月はどうして光ったり消えたり欠けたりするのか?

月が食べられている 光りたい時に光る

そうやって考えると不思議ですね。

科学的に考えると、神秘性はありますが少し味気ないです。
でもこうやって考えるとどんどん想像が膨らんでいって・・・

僕もずいぶん昔になりますが考えたことがあります。(確かまだ小学生のころ・・)
父に聞いて一気に夢を壊されました・・(苦笑)

子供の頃はいろんな疑問があって、よく親に聞いて困らせていました・・(赤ちゃんはどうやってできるの??など・・・)

この話し読んで、いろいろ懐かしいことを思い出させてもらいました。
ありがとうございます。


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