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867「あの頃、■■だったよ」と言う君に言おう春巻行者6/13 1:25:72101cfPts7SluXurQ
−−ごめん…−−

貴方が本当に好きなんだ。
もう、きっと貴方以外を好きになんてなれないと思う。
これから先も、ずっとずっと…。
凄く愛しい君。

そんな君とは一緒に居たい。
そんな君とは片時も離れたくない、離れて過ごすなんて考えられない。
一時も離れないで、ずっと傍らに居て…。

春巻行者6/13 1:26:172101cfPts7SluXurQ||237
…でも、こんな甲斐性の無い僕といれば君は不幸になる。
好きな人の幸せな顔を見られるのが幸せ…、
そんなものは、<ただ外面が良い様に見られたいだけだ!>
こう思う人もいると思う…、でも僕にとってはホントに本当。
君の笑顔が大好き。

だから、君には何も言わずに【さよなら】を言おう…。
何故って? だって、悲しい別れの思い出なんて、誰も欲しくはないだろう?
…君の泣き顔なんて見たくは無い……。
そんな簡単な理由。

春巻行者6/13 1:38:462101cfPts7SluXurQ||206
−−寒い…−−

あれから、二年半かな…。
長いようだけど、期間を思い出してみると凄く短い。
やっぱり君の居ない生活は予想通りにつまらなかった…。 だから、二年半なんてあっという間。

君の元から出ていったのは、たしか五,六月。
聞いた所によると、寒い時期に別れがあると、心も凍てついてしまって立ち直りが遅くなるようだから、暖かい、というよりちょっと蒸し暑いくらいの頃に、僕は出ていった。
…今は一二月の初め。
出て行く時は物凄く雨が降っていて、ちょっと大変だったけど、今は軽く、細雪がちらついている程度。

春巻行者6/13 1:53:572101cfPts7SluXurQ||518
年末年始できつい仕事も今日はお終い。 ついつい、ふぅと溜息のひとつも出てしまう。

家路を、疲れた足を引き摺りながらのろのろと、いつもよりかは遅目に歩いていく。
街を歩いていると、クリスマスも近い所為か、ネオンがやけに目につく。 …眩しい。

ボーッと、その辺の店を、ショーウィンドウ越しに覗いて見たりしている。その間もちゃんと足は進める。
そんなことしていると、ふと、ある店が目に付いた。 なにやら喫茶店の様だが、昔の西洋を思い浮かばさせる、そんな造りだった。
僕は、妙にその雰囲気気に入り、ふらっと中へ入っていった。

春巻行者6/13 2:9:162101cfPts7SluXurQ||369
内装は、外の造りとは少し異なった感じで、西洋だけではなく最近のモダンテイストが融合ささった様なものになっていた。
そして店内の照明は暗く、燭台の蝋燭と、壁に吊るされていて、見てくれは古いととれるランプの薄暗い灯りだけだった。

テーブルの席とカウンターがあったが、どうせ僕ひとりだけなので、丁度空いていたカウンターの一番奥の端っこを陣取った。

僕は、疲れた身体をマヒさせようと酒を頼んだ。 (喫茶店といっても、夜は酒類も出しているらしい)
雰囲気的には、ちょっとしたバーみたいだ。
「ソルティドッグ、下さい」

春巻行者6/13 2:18:302101cfPts7SluXurQ||775
出された酒を、僕はチビチビと飲んでいる。 あー、明日もまた忙しいのかなぁ…、なんて他愛もないことを考えていながら。
軽く酔ってきたみたいで、身体が少し熱ってきた。

そうすると、近くにショーカットの女の人が来た。
「あのー、…ココいいですか?」
「あ、どうぞどうぞ;」

僕は慌てて隣のいすに置いてあった、僕の上着と鞄を取り除けた。
周りをよく見てみると、さっきは結構席も空いていたのに、何時の間にかほとんどが埋まっている。

春巻行者6/13 2:31:222101cfPts7SluXurQ||50
僕は、隣に座った人には、特に興味を示さないで、やはり独り静かに酒をすすっていた。

しかし、隣の彼女が話し掛けてきたことで、それは変わった。
「あの、……私のこと、覚えて…ませんか?」
「え?」
僕は唐突に話し掛けられたことで、少々驚いた。
「えと;何でしょうか?」
「…私の顔、覚えてません……?」
「…?!」

その言葉で僕は彼女の顔を薄暗がりの中、よっく目を据えて見てみると、化粧をして髪を切っていたので分かりづらかったけど、
それはまさしく、僕が二年半前にもとを出ていった、今も昔も愛しさは変わらない、あの彼女だった。

春巻行者6/13 2:37:42101cfPts7SluXurQ||538
「………………」

どうして…。今頃になって僕の前に現れるなんて……。
僕は、突然の彼女の登場により、心身ともに緊張していた。
喉を潤そうと思い、グラスに口をつけた。 グラスの淵についている塩がやけにしょっぱく感じた。

そのお陰で、乾いた喉は、さらにカラカラになった感覚だ。

春巻行者6/13 2:43:112101cfPts7SluXurQ||569
「…どうして、いきなり出ていったの」
彼女が沈黙を破った。
「君が悲しむといけないから…」
「どうして私が悲しむの?」

そんな…、
「僕が君に何もしてあげれないから…」
「貴方は、私をいつも優しく抱きしめてしてくれたわ」

そんな、そんな…
「…でもプレゼントも何もしてあげられなかった…」
「貴方がずっと傍にいてくれれば私……」

春巻行者6/13 2:56:22101cfPts7SluXurQ||120
そんな、…君はホントにそんなこと良かったの?
「あの頃、幸せだったよ」
「………………」
「貴方が居たから…」

ああ、僕は勝手な自分のエゴで君との幸せに別れを告げてしまった。
僕と別れれば、君は他の人とでも幸せになれる、そう思っていた…。 
でも、君の想いは違った?
君も僕と居られれば幸せだったと言うの?
それなら……僕が君の所を出ていったのは無意味だった?

僕はねずっと、ずっと君を想って過ごしたんだ。 悲しい位に独りは寂しかった…。
でも…真実が理解できた今なら言える。

春巻行者6/13 3:6:562101cfPts7SluXurQ||916
【あの頃、幸せだったよ】と言う君に言おう…。

「今も君のことを、愛している…」

人前だったけれど、彼女を抱き寄せた。
肩口にある彼女の顔は、抱きしめた瞬間に、涙が溢れ出た…。

彼女を抱きしめた時、左腕がぶつかって、呑みかけのソルティドッグがカウンターから雨の様に零れ落ちた。
僕達の関係は、雨で一休みして、また雨で駆けて行く。 二年半ていう長くて短い夕立と、コレカラっていう、いつ終わるかも分からない長雨と共に…。


−−−おはし−−−

春巻行者6/13 3:10:252101cfPts7SluXurQ||416
いつもながら、尻つぼみな小説です…^^;
気合がだんだんと、抜けていきます……(へにょへにょ〜

感想・ダメだし等、下さると有りがたいです。(どっちでも◎
お待ちしております。m(__)mヘコリ

マーブル☆6/15 22:58:122191cfBdfQGHIF/RQ||620
良かったです^^


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