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8720神札書記オギワラ7/27 19:41:592212cfBcsmysAsVME
本編(第一部) 1〜4話http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-8622.html

神札書記・短編集
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ミッション:03
ソフト・トマト(前編

オギワラ7/27 19:43:262212cfBcsmysAsVME||622
 身を起こすと、なんだかやたらと視界がぼんやりして、まだ夢の中にいるような感じだ。
 「……ぶぇっくし!」
 俺のではないくしゃみに驚いて目を向けると、弟の陽平が網戸にへばりついたまま眠っていた。畳敷きの布団から、寝ている間に涼しいほうへと動いていったのだろう。濃い朝靄と共に朝の冷たい空気が流れ込んでいるせいか、陽平は寒そうに身を縮こめている。
 ぼんやりしているのは、部屋にまで立ち込めた靄のせいらしい。
 「ずるずるずる……いえっきし!」
 足元に蹴り転がされた薄布団を放ってやると、陽平は珍妙かつ散漫な動きでもそもそと潜り込んでいった。何の虫だ、お前は。

オギワラ7/27 19:44:122212cfBcsmysAsVME||929
 ふと時計を見やる――5時半過ぎ。
 俺にとってはいつも通りの起床時間だ。夏休みに入ってからは実入りのいいバイトができるから、すっかりこういう生活時間帯になってしまった。
 布団を得た陽平は丸くなったまま未だに熟睡中だ。多分、両親も起きてはいないだろう。
 そもそも、父さんの田舎へ遊びに来たのが昨日。俺は、バイトもあるし行きたくなかったんだが、朝帰りした弱みもあって、無理やり連れてこられた。
 網戸から伺える庭はもう明るかったが、まだ日は昇っていない。
 「……うぅん」
 俺は途方にくれた。

オギワラ7/27 19:44:502212cfBcsmysAsVME||982
 これと言ってすることがない。流れ込んでくる空気が肌寒かったので、取り合えず戸を閉めようと縁側へ向った。
 足元の陽平を踏まないよう、サッシに手をかけたところで、ふと――
 「おー……」
 朝もやに包まれる中、刈り込まれた庭木や下草には、一面、露が光っていた。深い群青色のソラにはちぎれ雲すら浮かんでおらず、透き通るような空気は都会育ちの肺に清々しい。

オギワラ7/27 19:45:92212cfBcsmysAsVME||500
 新聞配達や通勤の喧騒はなく、人気も、鳥のさえずりすらない。
 庭の向うを露に光る芝草が広がり、ぽつりぽつりと点在する平屋建て。海へと連なる丘陵までを緩やかに曲がりながら、使い込まれていないアスファルトの黒がひっそり佇んでいる。
 しばらく、そんな絵画みたいな田園風景を眺めていて、ようやく思い立った。
 「……散歩、してみるか……」
 やっぱり、寝ぼけていたのかもしれない。

オギワラ7/27 19:45:502212cfBcsmysAsVME||569
 、
 父さんの実家を抜け出し、浜辺までの数キロの湿った道のりを、ただあてもなくふらふら歩く。浜辺まで行って、帰ってくればちょうどいい時間帯のはずだ。
 「……ぉーい」
 体をほぐしながら歩いていると、思わぬほうから声をかけられた。
 「竜介、えらく早起きだなぁ」
 なんと言っても、俺を手招いているのは、父さんの父親。ようするに俺の祖父だった。
 「やっぱり、田舎の家じゃあよく眠られんかったかね?」
 「あー……いや、俺はいつもこんなもんなんで」
 「そうかそうか」
 祖父は、日に焼けた顔をほころばせている。

オギワラ7/27 19:46:342212cfBcsmysAsVME||39
 「ところで、腹減ってないか?」
 「むちゃくちゃ減ってる」
 それならよかったと放り出されたのは、握りこぶし程もあるトマトだった。
 「今取ったばかりだから、それ程冷えてないんだが」
 そんな声も気にせず、俺はトマトにかぶりついた。
 「なんじゃ、そんなに腹が減ってたのか。足りなきゃまだあるが」
 俺の食いっぷりに嬉しそうにした祖父は、さらに二つ三つとトマトを手渡してくれる。
 腹は確かに減っていたが、それを上回ってトマトはむちゃくちゃうまかった。全てを胃に収めてしまうまで、ほとんど時間はかからなかった。

オギワラ7/27 19:47:162212cfBcsmysAsVME||33
 ごちそうさまでした、と拍手を打つ俺に、祖父はにんまりと笑みを向けていた。
 「そんなに喜んでもらえたなら、育てた甲斐があったっていうもんだ」
 「育てたって、じいちゃんが?」
 「ああ」
 地鎮めの神様のものらしい小さな社と、その前にそれなりの大きさの菜園があった。
 短い畝には、何本かの支え棒が立っていて、まだ青いトマトの他にもナスやらキュウリやらがぶら下がっているのが見える。奥には、スイカ。昨日食べたスイカはおそらくここで採れたものなのだろう。
 「それよりもだ、竜介」
 祖父が真剣な顔で俺を見つめてきた。

オギワラ7/27 19:47:472212cfBcsmysAsVME||474
 「その神札をどこで手に入れた」
 ―――え?なんで……じいちゃんが神札のことを知ってるんだ。
 そんな俺の疑問に答えるように祖父は言った。
 「わしもながいこと、バトラーをやっとったからな。神札の匂いっちゅうもんが何となく分かるんじゃよ」
 「そんな……」
 「神札の力は人を狂わせる。おまえもその力は分かるじゃろ。悪いことは言わん。神札と関わるな」
 珍しく強い調子で祖父が言ったが、俺にそれは出来ない。
 「約束だから……それは出来ないよ」
 鈴野、そして、黒木さんとの約束がある。

オギワラ7/27 19:49:302212cfBcsmysAsVME||314
 「そうか……」
 祖父は困ったように虚空を睨む。
 「なら、力ずくで奪わせてもらうぞ」
 祖父は、籠の中から取り出した神札を掲げた。
 俺も、ポケットの中から神札を取り出し、掲げる
「バトルも久しぶりじゃわ、召喚」
「くそっ!なんで。スサノオ、召喚!」
 俺と祖父の掛け声が早朝の菜園に響いた。

オギワラ7/27 20:2:92212cfBcsmysAsVME||429
〜後書き、もしくは言い訳〜
短編第三回、祖父とトマト。どうだったでしょうか。
今回は竜介が田舎へ遊びに行きます。田舎、いいですね〜なんか涼しそうな感じがして。
田舎描写は無駄に長かったりもしますが……そのせいで前後編の二部構成になってしまいましたA=´、`=)ゞ

しかし、何故祖父が神札持ってたりするんでしょうか?そして、竜介の素質は彼譲りだったりもするんです。
その辺、詳しい事は後編で。
読んでくださった方、ありがとうございました〜o(´▽`*)/

キーア7/27 20:37:132191cf/cZWdmfTKcw||806
こんばんわ〜☆

やっときましたね。ミッションがv
竜介にも弟なんていたのですか・・・驚きです。
しかもその弟さんも少し変わっている気が・・・。
網戸にへばりついたまま寝ているなんて・・・とても真似できません(笑)
でも、その様子から見ると可愛い弟さんだと思います(*´ェ`*)ポッ

祖父も神札を使うとは・・・。いつから使い始めているのでしょうかね。
やはり、竜介やその親が生まれる前から使っていたのでしょうか・・・。

後編も楽しみにしております

7/27 20:45:46046cfspiIRyuDmgI||631
わぁ、新展開!
なかなかギャグ系も混ざってるような、混ざってないような。
笑えるとこありましたがね。
なぜ祖父が神札持ってるのか、ものすごく気になりますね。
あっさりやられたら、それこそ爆笑ですが・・・

やっぱり、強敵なんでしょうか?
てか、「関わるな」って言ったくせに、なにを持ってる、ジジイさん。

オギワラ7/27 21:3:442212cfBcsmysAsVME||456
キーア様こんばんわ〜☆
早速の感想、ありがとうございます(^人^)

陽平、網戸にへばり付いたまま寝るって、かなりの強者ぶりがうかがえて来ますね。
もう、この弟は只者じゃないです。
そして実は竜介の兄弟、弟のほかにも一人暮らしをしている兄がいます。
その兄もそのうち登場する予定。この兄貴もまた曲者な予定なのです。

神札の歴史は、シャーマ○キングなノリを考えています。
平安時代あたりから、人知れず暗闘は繰り広げられていたのですが、そこから現在の状況にいたるまでは様々な過程がありました。
そこら、辺もまた今度に。
是非是非、後編も宜しくお願いします♪(*゚ 3゚)/

オギワラ7/27 21:15:512212cfBcsmysAsVME||639
崚様こんばんわ〜。いつもありがとうございます。
なにやら、サーファー姿が板についてますね(*≧∇≦)/

祖父が神札持っているのは、前回登場した白瀬先生と密接な関わりがあります。
ネタバレすると、元同僚だったり。この爺さんと白瀬先生の若かりしころの神札昭和史も、そのうち、きっと出ますw
昔は、爺さんも一線級のバトラーでしたから、早々簡単に負けないと思われます。昔とったきねづかって奴です。

Σ(゚ロ゚」)」なかなか鋭いところを突いて来ますね(滝汗
関わるなって言ったのは、孫に自分と同じ過ちを犯して欲しくないからでしょう。
老婆心という奴ですね、これまた(ホントカヨ
では、後編も宜しくお願いします^^

7/27 23:31:192202cfflaWz7oZhNA||559
こんばんわ。

オレに戸惑い、アレ誰だろ?と思い起こす事数秒。
今回は、久々の竜介の登場ではありませんか。

しかし、竜介が羨ましい。
そんな田舎に行ける機会があるなんて(ぇ
僕も都会に住んでいる訳ではないのですが、田舎でもない。
とにかく、そんな綺麗な田舎の風景を表せるなんて、凄いですね・・・

トマトに見惚れながら読んでいると、祖父が神札の話を。
もしやと思うと、やはり神札召還・・
神札、歴史長し。
しかし、それ以上に、何故こんなモノが生まれたのか気になりますね・・・

では、次回も楽しみにしています。

オギワラ7/28 20:6:342212cfBcsmysAsVME||213
一様こんばんわ。
いつもありがとうございます^^

自分も、こんな場所があったら行ってみたいですわ〜(*´▽`*)
田舎の風景は実在の場所というよりはジ○リ作品からイメージをもらってたり。
あんな作品を書いてみたいです。ホント

そして、トマト。夏野菜の中では一番好きです。
あの赤が夏という気がして良いのですよ。

もう、バトルへ向うパターンはお約束ですねw
これからも、セオリーは大事にしていきたいと思っております。
何故生まれたか……それは、いつかきっと明かされると思います。正直、考えてなかったりorz
ではでは、後編もよろしくお願いします^^b


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