8829 | いのち、だいじなもの | 姫乃唯 | 8/6 17:30:48 | 2201cfhWjkShK/07M |
暗い暗い、暖かい所。 ちょっと狭いけど、身体を伸ばせば伸ばすだけ伸びれる。 優しい雰囲気に満ちていて、周りから元気がいっぱい流れ込んでくる。 それとは別に、じわりとすっごくあったかい気持ちのこもった水が染み出てくる。 上からとってもやわらかい想いが伝わってくる。 すごく、すごく心地良い。 しばらくしたら、顔が光を浴びた。 暗くて狭い場所から出たみたい。 光はとってもまぶしくて、結構熱かった。 けど、けど本当に気持ち良い。 こんな気持ち良いことがあるなんて知らなかった。 もっともっと、いっぱい光を浴びたい。 |
姫乃唯 | 8/6 17:31:14 | 2201cfhWjkShK/07M||497 | ||
? 女の人が笑ってる。 嬉しそうに、手を合わせて笑ってる。 その女の人はお水をくれた。 とっても美味しくて、光に当てられてのどが渇いてたからすごく嬉しかった。 お姉さんは僕にいっぱいお水をくれる。 お姉さんがしゃがんでも見上げなきゃいけないくらいの大きさ。 光をいっぱい浴びたいから、お姉さんが美味しいお水をくれるから。 今ではお姉さんがしゃがんで目線が一緒になってる。 |
姫乃唯 | 8/6 17:31:32 | 2201cfhWjkShK/07M||802 | ||
お姉さんはいっぱいいろんなことを話してくれた。 時々悲しそうな顔をしているから、とっても悲しくて、とっても痛い。 笑って欲しいから、もっともっと大きくなった。 そうするとお姉さんはすっごく素敵な笑顔になって、いっぱい話しかけてくれる。 お姉さんが立っているのと同じくらいの大きさになると、お姉さんは良くもたれかかってくるようになった。 それで今までよりもっともっとお話をしてくれた。 それからまた大きくなって、今度はお姉さんが見上げるようになった。 お姉さんは本当に喜んでくれて、とっても嬉しかった。 |
姫乃唯 | 8/6 17:31:49 | 2201cfhWjkShK/07M||541 | ||
最近のお姉さんは元気がないように見える。 前よりずっとたくさん優しく話しかけてくれるけど、前よりも弱々しい感じがする。 お姉さんは相変わらず僕に美味しい水をくれるし、事細かにお世話してくれる。 とっても楽しそうに構ってくれるお姉さんだけど、動きがすごく遅くなっている。 前よりも、ずっとお話の数が少ない。 冬が来て、とっても寒くなるとお姉さんはなかなか僕に会いに来てくれない。 |
姫乃唯 | 8/6 17:32:5 | 2201cfhWjkShK/07M||363 | ||
今は秋。そろそろ肌寒いくらいになってきた。 お姉さんはもう、以前より会いに来てくれない。 ついに、一緒にいてもお話を聞けなくなった。 けど、お姉さんの優しい気持ちが、もたれかかってる所からぎゅっと伝わってくる。 けど、けどどうしてかとっても寂しい。 お姉さんと一緒にいて嬉しいのに、優しくしてもらってすごく嬉しいのに……何でかとっても寂しい。 |
姫乃唯 | 8/6 17:32:20 | 2201cfhWjkShK/07M||346 | ||
冬が来た。 寒い冬。 冬の間ずっとお姉さんを待ち続けた。 けど今年はとうとう、一度も会いに来てくれなくなった。 すごく悲しかった。 でも、でも嬉しかった。 冬が来て、それが過ぎて、春が来る。 そうすればお姉さんはいつものように、また会いに来てくれる。 素敵な笑顔を見せに、また会いに来てくれる。 いつもそうだったから、今年もきっとそうに違いない。 |
姫乃唯 | 8/6 17:32:49 | 2201cfhWjkShK/07M||859 | ||
だけど、今年の春になってもお姉さんは来てくれなかった。 夏を待って、秋が来て、冬になっても。 次の春も、その次の春も。ずっと、ずっと……。 お姉さんに嫌われたのかな。何かひどいことをしちゃったのかな。 不安になった。 お姉さんが全てだったから。 お姉さんが世界の全てで、とっても大事な人。 そのお姉さんに嫌われるのは、嫌。 どうすればお姉さんはまた好きになってくれるかな。 またあの素敵な笑顔を見せてくれるかな。 ずっと、待ってる。 ずっとずっと、ずっと待ってる。 |
姫乃唯 | 8/6 17:33:18 | 2201cfhWjkShK/07M||880 | ||
またお姉さんがここに来てくれるまで、満面の笑顔を見せてくれるまで。 ずっとずっと待ってる。 次の春も、その次の春も、その次の次の次の春も。 ずっとずっと、ずっと待ってた。 けどお姉さんは来てくれなかった。 でも、やっと分かった。 お姉さんに嫌われたんじゃないって。 お姉さんはずっと好きでいてくれてたんだって。 |
姫乃唯 | 8/6 17:33:50 | 2201cfhWjkShK/07M||24 | ||
やっとやっと、分かった。 お姉さんは、死んだんだ。 もう、二度と来てくれない。 あの優しくて素敵な笑顔は、大好きだったお姉さんはもう、会えない。 死んだんだって、分かった。 いつの間にか、周りの人たちもずいぶんと様変わりしていた。 お姉さんが中心だったこの世界で、それを彩ってくれたお兄さんや他のお姉さん。 みんなみんな、いなくなっちゃった。 とっても弱々しくなって、最後にはみんな、もう会えなくなった。 |
姫乃唯 | 8/6 17:34:3 | 2201cfhWjkShK/07M||45 | ||
それを知ったとき、とってもとっても、すごく悲しかった。 それよりももっと、寂しかった。 大好きだったお姉さん、大好きだったみんな。 もうみんなに会えない。 お姉さんにはもう会えない。 そう知ったとき、とってもとっても、泣きたいくらい悲しかった。 |
姫乃唯 | 8/6 17:34:19 | 2201cfhWjkShK/07M||555 | ||
今でも覚えてる。 お姉さんと一緒にいたときのことは全部、全部全部覚えてる。 いっぱい成長したね、とか、これからもっと大きくなるね、とか。 素敵な笑顔で、いっぱいいっぱい話しかけてくれた。 今でも覚えてる。 冬に入るちょっと前、お姉さんが最後に会いに来てくれたあの日。 お姉さんが、ありがとう、って。 今までありがとう、って言ってたのを。 そのときは分からなかった。 何の意味か、全然分からなかった。 あれが最後なんて、信じられなかった。 |
姫乃唯 | 8/6 17:34:34 | 2201cfhWjkShK/07M||765 | ||
ずっとずっと分かってた。 けど、信じられなかった。 そんなの信じたくなかった。 大好きなお姉さんと、もう会えなくなるなんて信じられなかった。 だから、ずっと待ってた。 何度も何度も、春が来るのを待ってた。 お姉さんがもう一度、あの素敵な笑顔で会いに来てくれるのを待ってた。 何度も何度も何度も何度も。ずっとずっとずっとずっと、いつまでも待ってた。 |
姫乃唯 | 8/6 17:34:51 | 2201cfhWjkShK/07M||485 | ||
大好きなお姉さん。 もう会えないお姉さん。 そう知ったとき、本当に悲しかった。 知りたくなかった。 けど、もう待ってたくなくなった。 待ち続けるのが辛かった。 次の春にきっとまた会いに来てくれる。 そう信じてた。 けど次の春、会いに来てくれなかった。 夏も、秋も、冬も。 その次の春も、会いに来てくれなかった。 その次の次も。 次の次の次の次も。 いつまでもずっと、信じてた春は訪れてくれなかった。 |
姫乃唯 | 8/6 17:35:6 | 2201cfhWjkShK/07M||957 | ||
その度に心が痛くなって、とっても辛かった。 だから、お姉さんに会えないってはっきり分かって、すごく悲しかったのと一緒に、ほっとした。 もう、待たなくていいんだって。 待ってても、お姉さんは会いに来てくれないって。 そう分かって悲しくなって、安心して……やっぱりとっても悲しくなった。 どうしても会いたい。 もう一度、もっともっとお姉さんに話して欲しい。 いつまでも、ずっと一緒にいたい。 |
姫乃唯 | 8/6 17:35:42 | 2201cfhWjkShK/07M||105 | ||
心が痛くて辛くて悲しくて苦しくて、身体がどんどんやせ細っていった。 次の春、元気が全然でなかった。 次の春、昔よりずっと細くなっていた。 次の春、体がすぐ折れるようになった。 次の春、身体がぼろぼろになっていた。 次の春、意識がもうろうとしてきた。 次の春…………。 お姉さんが会いに来てくれた。 |
姫乃唯 | 8/6 17:35:55 | 2201cfhWjkShK/07M||575 | ||
あの優しくて素敵な笑顔で、やっと会えたねって、会いに来てくれた。 信じられなくて、でもでもすごく嬉しくて。 お姉さんが話しかけてくれた。 もう、二度と離れないって。 いつまでもずっと一緒だって。 だから、とっても眠くなったけど、何も怖がらずに。 ゆっくりと、地面に倒れこんだ。 それから後の意識は、ない………………。 |
姫乃唯 | 8/6 17:36:16 | 2201cfhWjkShK/07M||782 | ||
「あー、あの木。やっぱり倒れてるー」 「やっぱり?」 「うん、うちのひいおばあちゃんが育ててたんだけどね? あれ、ひいひいおばあちゃんだったっけ? うんまあずっとご先祖様のおばあちゃんがすっごく大事に育ててたんだけど、流石に寿命なのかなーってくらい最近枯れ木状態だったのよー」 「ほう」 「触るとすぐ崩れるし、ちょっと強い風が吹いただけでも倒れるんじゃないかなーと思ってたら案の定倒れてるじゃない? 私が小さい頃にはもう葉っぱの一枚もつけてなかったんだけどさ、もっとずっと大きくて立派な木だったんだよー。それこそご神木みたいなー。だからちょっと残念だなーって」 |
姫乃唯 | 8/6 17:36:26 | 2201cfhWjkShK/07M||986 | ||
「そうか」 「うん。なんかちょっと寂しいなー。ご先祖様からの贈り物みたいな感じだったしさー」 「そうだな」 「うん。……でさー、あそこのアイスが美味しいらしいんだけど、行かない?」 「行っても良いがおごらんぞ。自分の分は自分で払え」 「いいじゃんケチー。ま、いいや。行こー」 「ああ」 |
姫乃唯 | 8/6 17:36:34 | 2201cfhWjkShK/07M||994 | ||
ずっとずっと、お姉さんと一緒にいるよ。 だから、寂しくなんかない。 何よりも何よりも、大事な大事なお姉さん。 いつまでも、一緒だからね。 |
姫乃唯 | 8/6 17:40:3 | 2201cfhWjkShK/07M||833 | ||
まああとがきのようなものです。 思いつきというかなんというか、書きたいかなぁ、と思ったので突発的に書いたものです。 その所為かだらだら続いたのでなかなかに鬼長いものになってしまいましたね。 読んでいただければ惜しみない賞賛を送らせていただきます。 あ、題名とかは意外と適当なので深い意味はありません。 時間のあるときに見ていただければ、相当無意味に大量の時間を潰せるかと思われます。 微妙になってきたので、それではこれで失礼致しましたです。 |
しぃ* | 8/8 16:31:11 | 5913cf53laR47Pvx.||996 | ||
はじめまして。 すごく感動しました。突発的に書いたものでもすごい感動しました。 時間潰しに見るようなものではありませんよ。 この詩のために時間を作って見るぐらいのつもりで見ないと勿体ないですよ。 これからもこの詩のように感動できる詩をいっぱい作っていって下さい。 |
特殊文字 by.チビファンタジー 過去ログ![]() ![]() | ||||