904 | 可か科か蚊か | NN永井 | 6/14 14:4:34 | 2201cfaxOHz//GDbg |
三郎は野心に燃えていた。 「俺は絶対、勝訴の人になるんだ」 勝訴の人とは何か。 おそらくご覧になったことがあるに違いない。裁判の華と言ってもいいだろう、判決が下るや否や裁判所から脱兎の如く駆け出し、勝訴と書かれた垂れ幕を掲げる人のことである。 しかし勝訴の人にはどうやったらなれるのか。喜三郎にはまったく見当がつかなかった。 まずはアルバイト求人誌を隅から隅まで熟読した。世の中には実にいろいろなアルバイトがあるものだということはわかったが、勝訴の人の求人は載ってなかった。 やはり勝訴の人はアルバイトではできないのであろう。そう思った喜三郎はハローワークに行った。昔で言う職安である。 |
NN永井 | 6/14 14:5:4 | 2201cfaxOHz//GDbg||612 | ||
ハローワークで勝訴の人になりたいのですがと言うと、職員は怪訝そうな顔をした。繰り返し喜三郎の説明を聞いた後、うちでは勝訴の人の求人は扱ってないと答えた。 「勝訴の人が無理なら、せめて平成の人の口はないでしょうか」 「なんですか平成の人って」 「ほら、亡くなった小渕さんがやってたじゃないですか。平成と書かれたパネルを掲げて」 「ああ、新元号発表。でもあれはそうそうあるもんじゃないですよ。それにまず官房長官にならなきゃできないし、官房長官になったからってできるもんじゃないし」 |
NN永井 | 6/14 14:9:23 | 2201cfaxOHz//GDbg||864 | ||
俺はもう死んでるのかも |
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