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9289息抜き読み切り小説10/10 1:14:222221cfajqyHv/U9Ck

「時和ー!!出陣の用意じゃ!!」
ドタドタと鈍い足跡が邸内に響き渡る。
造りの良い邸には朝の光がよく通り、清清しい。
程よく温もった布団のなかからでずに、
私は勢い良く吹っ飛んでいくふすまを哀れんだ。
「朝っぱらからなんなんですか…父上?」
「上方にて戦じゃ!!今日こそ名のある大武将の首を手中に収めるのじゃ!!」
…ああ、上方で戦ですか…ふ…。
出そうになった欠伸をかみ殺し、平静を装う。
今欠伸などしたら…はあ。想像したくもありませんがね。

10/10 1:22:262221cfajqyHv/U9Ck||786
明るく鼻歌を歌いながら部屋から出られた父上に少しため息が。失礼。

それにしても…こんな気持ちの良い朝から戦など、無粋な世の中ですねえ…。

そんなことを考えつつ伸びをし、
渋々、しかし素早く布団からでて身にまとうものを着替える。
着替え終わった私は刀をひとつ手に取り、
卓上に置いたままにしている本を片手に大広間へと足を進めた。

大広間に向かう廊下は、長くも無く…短くも無い。
見た目は派手でこそ無いが本質はしっかりしているこの邸は私も気に入っている。

弐陣爺様はいいものを御造らせになられましたね…。

10/10 1:30:552221cfajqyHv/U9Ck||472
今は亡き爺様に思いをはせ、見えてきた大広間にゆっくりと立ち入った。

―そこには…勢い良く湯漬けを召し上がられている父上。
喉に詰まらなければよろしいのですが、ねぇ。

「うぐっ…!!」

ほら、「言わんこっちゃない」じゃないですか。

喉を詰まらせた父上を横目でみ、真向かいに座り膳をとる私。
慌てて父上に駆け寄り手厚く介護する次女がかわいそうです。

「一足先に失礼します、父上。」

席を立ち、縁側に腰をおろした私に父上は悲しげに鼻をすすりました。

10/10 1:49:302221cfajqyHv/U9Ck||497
戦場に着いた私と父上。

嗚呼…血生臭い。

思わず顔をしかめますが…父上は平気な様子。
それどころか武者震いをお初めになられました。

「いくぞ、時和。」
―父上…。
「はい。」

先に走り行く父上の姿が一瞬…揺らいだような…。
降ってくる矢に神経を集中させ、不吉な予感を払いのける。

いざ―参らん。

私は馬に鞭をあて、駆け出した。

10/10 1:49:512221cfajqyHv/U9Ck||378
+++++一時休憩+++++

10/10 16:17:582221cfajqyHv/U9Ck||953
あの予感はきっと…疲れからでた幻覚だろう。

戦場に出ておられた一国の大名を討ち取った私。
父上も将軍と指揮官を御倒しになられた。
今父上は…私の横で笑顔を見せておられる。

『バン!!』

「!!」

突然の銃声に直ちに後ろを振り返る。
―何事ですか…?
顔を青くし、私の横を…指差す…側近。

10/10 16:25:402221cfajqyHv/U9Ck||653
横を見れば…信じがたい光景が広がっていた。

―先程まで…たった今まで…笑顔を見せていた父上が。
何故…血を流し地に伏せておられるのですか…?

目を見開き驚愕の色を見せる私に父上は―微笑まれた。

「時和…よ…。」

―父上…?

「いつまでも――頼りない親で…すまなかっ…た。」

―父上がタヨリナイ…?

「撃った者を…恨むで…な…いぞ…」

そう仰って父上は目を静かに伏せられた。
まるで私をひとり、おいていくかのように。

10/10 16:36:02221cfajqyHv/U9Ck||413

「―父…上?」

慌てて鞍から降りようとする私を側近の一人が手を上げて遮った。

「時和様…政宗様は―亡くなられっ…まし…たっ!!」

しゃくり上げながら良く通る声で宣告した側近は
父、政宗の「遺骸」を指し示す。

「っ…!!父上ー!!」

優しかった父上。少しぬけていた父上。
いつでも明るかった父上。力加減が分からなかった父上。
母上を無くした私を慰め、立派な人間へと―育ててくださっていた父上。

頼りなかったなんて嘘です!!
何故私を置いていかれるのです!?今なら―今なら言えるのに…。

―大好きです、父上。

10/10 16:43:342221cfajqyHv/U9Ck||845
人目も憚らず駆け寄り、父の胸に顔を押し付けて泣きじゃくる時和。
その姿に家のものは皆、涙した―…。

『パタン…』

―俺は本をゆっくりと閉じた。
ゆっくりと体をベンチの背に預ける。
そして、くわえているタバコを眺めながらボンヤリと考えた。

―今度実家に戻って親と一杯やるか。

【大人になると恥ずかしさに邪魔されて本音を伝えられなくなっていくようだ。
いつか後悔するのなら…言葉じゃなくてもいい。精一杯態度で―示していこう】

―空は快晴、雲ひとつ…無し。


END

10/10 16:45:392221cfajqyHv/U9Ck||799
++++アトガキ(?++++
ハイ、最近書いた短編を載せさせて頂きました。
―なんじゃこりゃ。
なんだかまとまっているようでまとまっていませんね。orz

それでは。

m(__)m感想などありましたらお願いしますm(__)m

アーチャー10/10 17:34:302212cfFmUhO3MpuXI||610
わるくはなかったです。ただちょっと急展開だなーっておもいました。2回か3回に分けてやれば涙でたかも

シェイラ10/10 22:8:432184cfxjjWj.peYGk||816
こんばんわwおお、今回は時代劇ものですか〜。最後の展開の仕方とか、最後の言葉とか選び方がナイスです♪また、短編読ませて下さいね!

バルトーク10/13 17:33:62212cfBcsmysAsVME||820
こんばんわ^^
短編を書けるなんて、尊敬しちゃいますよ。僕は話を短くまとめる事が出来ないので、短編とかに憧れているんです。
しかも、よくよく読むといい感じの一人称な文体ですね〜。
一人称て僕は書くのが苦手です。一人称で物語を連載されているのを何回か拝見しているので、そちらも頑張って下さいね!

MR.かずき10/13 18:49:235914cfyxaKgf3wSm2||172
やっぱり小説の才能が…実はというと、これ続けてほしいですね〜w(無理言うな
死神騎士(ナイト)読みました。誕生日だというのになんでこき使われなきゃ…(家でねw
ふぅ、息抜きなのにコレですか〜ではまた騎士のほうに期待!w
さ〜よ〜う〜な〜ら〜

おっちょここい10/15 6:19:72217cfhQUbvFv0ntM||983
これで息抜きとは思えないぐらいすごいですね…・
嗚呼、感動です。

10/21 19:52:246038cfnfcUv4AMadg||517
あらら…;見知らぬ間に沢山のご感想が!!

沢山のお褒めの言葉、感想、そして今後の参考になる意見を
皆様、本当に有難うございます^^*


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