9326 | こちら吼え猛る獣の会 | バルトーク | 10/16 22:56:22 | 2212cfBcsmysAsVME |
吼え猛る獣の会。それは魔獣関連の事件を解決する機関である。 この大きな建物の中には、数百人の捕縛師や破魔剣士などが生活をともにしている。 吼え猛る獣の会に引き取られ、捕縛師や破魔剣士の教育を受ける以前はどうあれ、そこで認められた時点で、彼らの故郷は他になくなるのだ。 1−1 http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-9302.html |
バルトーク | 10/16 22:57:34 | 2212cfBcsmysAsVME||956 | ||
1−2 「おい、どうした?凄い匂させて」 ようやく厨房から開放されて、げんなりしながら浴室へと向うエルクを捕まえたのは同期の捕縛師、ラッセルだった。 エルクに気さくに話し掛けてくる、ここでは珍しい人間である。 「なるべく気をつけたんだけど……、臭うか?」 くんくんと、袖に鼻を近づけて嗅いでみるのだが、鼻が麻痺しているのか、全然わからない。 「そんな生臭い体をして、何言ってんだよ。今夜食事に来なかっただろう?何やってたんだ?」 「ああ」 曖昧にうなずきながら、やはり臭うのかともう一度嗅いでみる。わからない |
バルトーク | 10/16 22:58:37 | 2212cfBcsmysAsVME||121 | ||
「エルク?」 「あ、悪い。門限におくれたんでおわびに今日の獲物の腸を抜いてたんだ。おかげで食事にはありつけたんだが……そんなに臭うか」 くんくんと鼻を鳴らしてエルクを、ラッセルはしげしげと眺め、次いでわははと破顔した。 「とてもそうしていると、破魔剣士にはとても見えんな、エルク。仮にも由緒ある黒傭剣の使い手なんだから、もう少し言動には注意したほうがいいんじゃないか?」 からかいを含んだ声に、エルクは内心むっとした。 |
バルトーク | 10/16 22:59:22 | 2212cfBcsmysAsVME||134 | ||
黒傭剣――自分のささやかな願いである吼え猛る獣の会での恩返し計画を、根底から覆してくれた元凶。会にある中で、もっとも我が儘で、貪欲で、達の悪い……破魔剣。魔獣の天敵。その厄介なものに気に入られたせいで、自分は未だに仕事のひとつも任されないで穀潰しの名を欲しいままにしているのだ。 正直言って、黒傭剣が呪わしい。そのことを知っているくせに、からかうなんてラッセルも人が悪いとというものだ―――そう思った。だが、顔には出さない。 「おい、目が険しくなってるぞ。怒ったか」 器用にもエルクの感情を読み取ったラッセルは、反省する様子もなくそう言った。 |
バルトーク | 10/16 22:59:50 | 2212cfBcsmysAsVME||634 | ||
「その手の話題が嫌いだって、知ってるだろ……」 「だけどよ、黒傭剣が使い手を選んだのは、四十年ぶりなんだろ。以前にあいつが選んだ使い手は五人。全員が歴史に残る破魔剣士として活躍しているってことで、二年前にお前が選ばれたときも、各国から依頼が殺到したっていう話じゃないか。きっと偶像化してるんだろうな。今も依頼は結構来ていて、いつまで出し惜しみする気か、なんて依頼状もあるらしい。会長も対処に困ってるんじゃないか」 あくまでも他人事として――確かに、ラッセルにとっては他人事以外の何物でもないのだが、面白がる同僚を呪わしく思った。 |
バルトーク | 10/16 23:0:22 | 2212cfBcsmysAsVME||59 | ||
「本当の事を公表すればいいじゃないか。四十年も渋っていたために黒傭剣は現在、飢餓の真っ最中にあるってそのために、護り手のなり手がいないんだって」 「ま、なりたくは、ないだろうなあ……お前が抜いた途端に、黒傭剣は自分の飢えを満たす。奴は魔獣の命を喰らうから、真っ先に餌食になるのは護り手。公表すればいい面の皮だ。会はたかが刀に振り回されてるのかって言われるだろうしな」 実際に振り回されているのだから、いわれても仕方のないことだ、とは思う。けれど、長い歴史の中で、世界中に植え付けてきた、吼え猛る獣の会への幻想を崩すのは、あまり得策ではない。 |
バルトーク | 10/16 23:1:9 | 2212cfBcsmysAsVME||605 | ||
各国の権力から完全に自由である吼え猛る獣の会。いかなる国の王に対しても、服従する義務を負わないでいられるのは、この幻想のおかげなのだ。 捕縛師、破魔剣士、そして人間側に与した魔物『護り手』から構成される会の組織は、依頼されれば世界中どこでも飛び、問題を起こす魔獣を封じることで生計を立てている。いかなる国の法にも縛られぬ、完璧な自由組織。 世界中の人間が信じている。どのように魔獣に苦しめられようと、会に依頼すればきっと助けてくれる。 |
バルトーク | 10/16 23:1:28 | 2212cfBcsmysAsVME||273 | ||
その神聖視された会の像があるため、過去何度かの例外はあったものの、どのような権力者も、そこを手中に治めようとは、などとは考えなかったのだ。 もちろんそれは、幻に過ぎない。けれど幻が権力から守っているのだ。壊すのはあまりよろしくない。 「要するに、あの黒傭剣が悪いんだろ」 簡単にして、至極満足な結論に達し、エルクは結局不毛な行為だった事に気づいて憮然とした。 「敵か見方かも見分けられないほど腹が減るまで、やせ我慢するなんてバカじゃないか」 おかげで自分は護り手を見つけられずに、破魔剣士とは名ばかりの平穏すぎる毎日を、苛々しながら過ごさなければならないというわけだ。 |
バルトーク | 10/16 23:2:28 | 2212cfBcsmysAsVME||976 | ||
「でも、もうすぐ仕事が来ると思うぞ」 糸のように細い目を更に細めて、ラッセルが予言めいたことを言う。 「例え、無理やりにでも護り手をつけてでも……。そろそろ飢えを満たさないと、黒傭剣が手のつけられない状況になるって、お偉いがたが話してたんだよ。良かったな、仕事待ってたんだろ?」 にこにこ笑う顔に、相変わらず悪意はない。けれど、それはエルクにとって、あまtり喜ばしいことではないのだ……考えるだけでぞっとする。引き抜いた黒傭剣―――当然周囲には魔獣ばかり。そのなかで真っ先に自分のパートナーである護り手を、黒傭剣っが奪ったりしたら……あまりにありえそうで、怖い。 |
バルトーク | 10/16 23:3:13 | 2212cfBcsmysAsVME||925 | ||
「他人事だからってな、そんな楽しそうに……」 そう言うと、ラッセルはけらけらと笑う。 「あのなあ、他人事なんか楽しむ意外に、なんに使えるっていうんだ?」 「もう、いいわ……疲れた」 ぐったりして、エルクは、ふうとため息をついた。 「あ、すまん。こんなところに引き止めちまって。風呂に行くんだったな。早くしたほうがいいぞ。会長が呼んでたから」 ぽろりとこぼれたラッセルの言葉に、エルクは唖然とした。 「お呼び?会長が?」 目を丸くして尋ねる声に、狼狽がにじみ出ていた。 呆れたことに、ラッセルは罪悪感のかけらもない顔で、こっくりと頷いたのだ。 |
バルトーク | 10/16 23:3:41 | 2212cfBcsmysAsVME||5 | ||
「ああ、なるべく早く来いって。俺、それを伝えるために来たんだが、うっかり忘れちまって。悪い悪い」 悪い悪いって――生きた会の規則と言われる会長の言葉を……。 「そうなら、すぐに行かないと」 そのまま、くるりと踵を返して、会長室へと向おうとしたエルクの肩を、しかしラッセルはぽん、とたたいた。 「どく行くんだ?浴室はそっちじゃないだろ」 「それどころじゃない。風呂はいつだって入れる」 「ちょっと待てって。そんな凄い臭いをさせたまま、会長に会う、とか言うなよ?もしかしたら、大事なお客だっているかもしれない場所に、そんな姿で出るなんて考えるなよ?」 |
バルトーク | 10/16 23:4:36 | 2212cfBcsmysAsVME||911 | ||
そういえば……と再度服に鼻を近づけたエルクの顔を彼は掴むと、ずい、と浴室のほうへと引っ張った。 「身支度はきちんとするんだぞ!」 有無を言わさぬ迫力が、その時のラッセルには確かにあった、と思う。そもそも、ラッセルにはただでも弱いのだ。エルクには拒む事はできない。 「わかった。急いで入るよ」 不承不承の答えに、ラッセルは満足したらしかった。 |
バルトーク | 10/16 23:8:40 | 2212cfBcsmysAsVME||73 | ||
==後書き== 巷で読みにくいと評判。第二回目です。 今回は、世界観設定メインの話かな。とい感じです。 ちなみにラッセルは、お気に入りのキャラだったりもします^^ では、またいつかお会いしましょう。 |
正日 | 10/17 11:46:48 | 2202cfYxekcNjy70A||212 | ||
はじめまして^^ 登場人物の性格が会話などからわかることができ、とてもいいと思いました あと、読みにくいということはないと思いますよ 次回も期待しております では、短いですがこれでお暇させていただきますm(_ _)m ペコ |
武 | 10/17 14:6:21 | 2221cfajqyHv/U9Ck||889 | ||
こんにちは^^ う〜ん…ラッセルが良いキャラしてますね^^(何 エルグは黒傭剣の使い手…なんですね。 生きた会の規則(会長)に御呼ばれされるなんて 何かあったのでしょうか。 それでは次回も覗きに参ります。 |
バルトーク | 10/18 21:24:15 | 2212cfBcsmysAsVME||119 | ||
正日さん、はじめまして^^ 感想ありがとうございます! 登場人物の性格、どのように感じらたのでしょうか。 よく思って、キョラを好きになってくれたら嬉しいです。 読みにくいと言う事を指摘され、改善できていなかったので、そう言っていただけると救われました。 しかし、もっと読みやすいことを目指したりもしています。 期待に応えられているかどうか不安ですが……次回もよろしくお願いしますv |
バルトーク | 10/18 21:29:14 | 2212cfBcsmysAsVME||940 | ||
武さん、こんばんわ^^ 前回に引き続き、ありがとうございます。 エルクが会長に呼ばれたのは、なんの捻りもないですよ。予想通りに仕事の話です。 次回は、延々と初仕事の内容を聞くだけなんですよ〜。これは、微妙な予感が漂っていますね^^; 是非是非、次回も覗きに来て下さいませv |
アーチャー | 10/20 18:18:38 | 2212cfFmUhO3MpuXI||482 | ||
結構よかったです。読んでると引き込まれていく感じですね。 でも・・・キョラ |
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