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9444旅_その参sIs11/11 18:47:291219cf0Go//NQU9A.

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sIs11/11 18:47:341219cf0Go//NQU9A.||132

  * 旅 その参 *


sIs11/11 18:47:431219cf0Go//NQU9A.||369

13. 秘境に隠れた湖


深く 暗く 育ちすぎた 樹海の奥底で見つけた
誰も来ない 藍色の湖
棲む魚も 波を立てる風も 波紋を呼ぶ小石も
何もない 藍色の湖

そこは 『静』 の湖

光るでもなく 流れるでもなく
水が ただ溜まっているだけの 本物の『静けさ』が
辺りに 満ちていて

その姿が まるで
神々の沐浴の為にある場所に見えてきて
畏れ多くなった

だから
僕は 湖の水に小さな波すら立てることなく
また 歩き始めた


sIs11/11 18:47:521219cf0Go//NQU9A.||769

14. 嘆きの女


嘆きの女の 叫び声は
聞いた者に恐怖を与え やがて石にしてしまう
そんな伝説を どこかで聞いたことがある

偶々通りかかった 小さな神殿の奥から
それらしき声が聞こえてきて

思わず 走って逃げた

後になってから
確かに あれは
恐怖を形にしてしまう 怖い声だと思った


sIs11/11 18:48:121219cf0Go//NQU9A.||502

15. 地下室へ


明るい街の片隅に佇む
侘しい煉瓦の家の奥で
深い地下への入口が ぽっかり口を開けている

階段を一歩降りてみれば
ああ 今すぐにでも戻りたい
あの地上の光の満ちた街へ と
足が 中々前へ進んでくれない

燃え尽きる寸前の松明が並び
古い文様の 黴の生えた燭台を照らす
足元が 妙に湿っていて
降りるたび 降りるたびに 気温が確実に下がっていく
そのうち 僕の体温も 下がってしまうのではなかろうか


sIs11/11 18:48:231219cf0Go//NQU9A.||165

やがて長く寂しい階段を降りきった先には
……何なんだ
街の片隅にあったことすら疑ってしまう
こんな 洞窟 としか言いようのない場所が
本当に街の一部なのか?

少しだけ 怖気づきながらも
湿気と年季で黒ずんでしまった木製のドアを
静かに開けた

そこから
僕は 何も覚えていない


sIs11/11 18:48:321219cf0Go//NQU9A.||2

16. 凱旋


やあ やあ
戦地から 軍隊が帰ってきたぞ

街が にわかに活気づき
城門に 亭主を待つ女や
頼もしい父を待つ幼子
愛しい我が子を待つ老婆
自国の勝利に誇りを持つ大臣が
次々に集まる

無事を祈り 無事を確認し
泣き崩れる民衆の姿は

この世で最も美しいものだった


sIs11/11 18:48:431219cf0Go//NQU9A.||149

17. 霧の墓地


先祖の墓参りに来ただけなのに
これほど危険を近くに感じるのは 何故だろう

濃霧が漂う 生臭い
ただ十字架を建てただけの粗末な墓が不規則に並ぶ
昔からある古い墓地

後ろから 何かに襲われそうで
前後左右 充分注意しながら 一歩を 一歩を 確実に
やがて目的の墓へ着くと 一気に緊張が解け
心の底から 油断

油断 は 大敵

ああ
また この墓に 無駄な屍が増えてしまった


sIs11/11 18:48:541219cf0Go//NQU9A.||990

18. 陽射しの森より僕らは一緒になった


草木の萌ゆる 小さな森の中で
切り株に腰掛けていたときに見つけた 小さな命
団栗を両手に 小さな瞳で 僕を見つめている
手招きすると素直に寄ってきて
僕の肩に ちょこん

そんなに僕の肩がいいのなら
一緒に 旅しようか

仲間が出来て 僕は独りから二人になった


sIs11/11 18:49:31219cf0Go//NQU9A.||310

20. 回想


行くところ 着くところ
様々な場所で
過去を思い出してしまう
僕が旅に出る決心をするよりも もっと前の過去のこと

ああ そうだ
お菓子の取り合いで
弟と喧嘩して 母親に叱られて
二人で河原に逃げて 仲直りしたこともあったっけ……

いつか 絶対帰るから
また あのときみたいに 些細なことで喧嘩しようか
と 弟に聞こえない声で 改めて弟に誓った


sIs11/11 18:49:151219cf0Go//NQU9A.||37

21. 草のウタ vol.2


この辺まで来ると さすがに
旅を始めた頃の草原とは違う 別の草原になっている

どこか色あせた しかし枯れたわけではない
流れ行く雲の行く先を まるで知っているかのような
しかし天まで届くように 長いわけではない
不思議な草達が 生きている場所

空はいつの間にか
藤色から 淡い桃色へと静かに変わっていて
空にも 表情があるもんなんだなぁ と
何となく納得する小さな僕を見つめている

よし 今決めた

ここを 一つのターニングポイントにして
新たな気持ちで

この旅を 続けよう


sIs11/11 18:49:241219cf0Go//NQU9A.||340

後書き

19番は欠番。

とにかく多すぎです。
8個もあります。頑張りすぎだ。
スランプ時に書いたから尚更どうだろう。
まぁいいや。


11/12 12:26:122221cfvxoj8hNGJ86||522
こんにちはsIs様。
今回は神秘的ですね…。

13は神々の沐浴の場のような静けさが伝わってきました。

でも、18の可愛らしさが個人的に一番好きなのですが^^

とてもスランプ時に書かれたとは思えません。

次は「巳」でしょうか?「四」でしょうか…?

楽しみにしております^^ 頑張って下さいませ^^

sIs11/13 19:17:81219cf0Go//NQU9A.||27
武さん
神秘的なのは13番だけだと思います(爆)
特に弟と喧嘩したことなんて、「神秘的」のどこにも掠りません。
18番は上手くいきましたね。中々雰囲気が出たんじゃないかな、と自分で頷いたり。
今回の自信作です。でもスランプなんですよ(・、・;)


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