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9461私が見つけた道を信じて・・・ポロシリ11/17 19:15:581382cfqHRRFNvIqZE
海はどこまでもどこまでも続いているのだという。
そう、私の頭上に広がる空のように・・・
それを聞いた時から私はむしょうに海というものが見たくなった・・・

ポロシリ11/17 19:16:251382cfqHRRFNvIqZE||957
生まれつき体の弱かった私は、外で遊ぶ事が出来なかった。
それ依然に外に家の外に出た事すら数えるほどしかない。

1日中ベッドで寝ている事のほうが多かったぐらいだ。
家族には、無理をしないでベッドで寝ているように、といつも言われていた。
それが一番体に良いからと・・・

しかし、時を重ねるにつれ、体力がつくどころかだんだんやつれてきた。
もしかして、私の体は病気になのかも知れない・・・

もの心がついた時からそんな事を考えていた。
そして私が10歳になった時、両親は初めて私に病気のことを話してくれた。


ポロシリ11/17 19:16:521382cfqHRRFNvIqZE||130
あまりショックは感じなかった。自分の中で薄々感じていたのから。
逆に私は安堵さえ覚えてかもしれない。自分の体が日に日に弱くなっていく理由が分かったから。

だからだろうか、私は変わろうと思った。病気に打ち勝ってやろうと思った。
その時の私はベッドから立ち上がる事も一苦労だったけど、毎日必ず自分の足で歩くことにした。

始めは家の中をほんの数歩から十数歩。その後に簡単な体操・・・
それだけで体は言う事をきかなくなった。

だけど私はあきらめずにがんばった。いつか病気は治るものだと信じて。
毎日毎日かかさず行った。

ポロシリ11/17 19:17:181382cfqHRRFNvIqZE||679
それからどれくらい時間が過ぎただろう。
始めは立ち上がるだけで精一杯だったのに、今では家の中を歩くくらいなら訳なかった。

私は、少しずつだけど、体力がついてきているのだと思った。
そう思うと、何だか嬉しくなった。
少しずつ病気は良くなってきているのではないかとさえ感じた。

ポロシリ11/17 19:17:441382cfqHRRFNvIqZE||73
そんなある日、お母さんが外に散歩に行こうと言った。
私はとても嬉しかった。

体が弱くなってから、どんな事があっても決して家の外にだしてもらえなかったから。

最後に外に出たのがいつだったのか、もう憶えていない。
ただ、いつもベッドから家の外を眺めていた。

外に出て、太陽のまぶしさを、風の心地よさを、草のにおいを、友達の声を
いろんなものを感じたかった。
だからお母さんにそういわれた時、とっても嬉しかった。

ポロシリ11/17 19:18:91382cfqHRRFNvIqZE||819
家の外は何もかもが新鮮だった。
何よりも驚いたのは、いつも眺めていたあの青い空がどこまでもどこまでも続いている事だ。当たり前の光景のはずなのにそれにとても感動して私は思わず見とれてしまった。

思わず、お母さんに、空ってどこまで続いているの?って聞いてしまった。
お母さんは、一瞬顔を曇らせて考えていたが、すぐにいつもの笑顔でこう言ったんだ。

ずっと、ずっと続いているんだよ。山を越え、川を超えても空は続いているんだよって・・・
それを聞いて私はうらやましく思った。どこまでも続いているという空が・・・

ポロシリ11/17 19:18:251382cfqHRRFNvIqZE||802
その日から私はお母さんと一緒に外に散歩に出かけるのが日課になっていた。
外に出るのが楽しかった。今まで知らなかったものがいろいろ目に飛び込んでくる。

空の下を歩ける事がこんなにも嬉しい事だなんて、思わなかった。
毎日の散歩は決して長いものではなかったが、私は空の下に出られる事で満足だった。


ポロシリ11/17 19:18:431382cfqHRRFNvIqZE||144
そんなある日お医者様が私の診察にやってきた。

お医者様といっても他の人より病気や怪我の手当て、それに薬草関係の知識が普通のひとより少し多いだけの、気が良くいつもニコニコしているおじいさんである。

周りの人はみんな彼の事を爺と呼んでいた。
みんなが爺と呼んでいたものだから私は爺がお医者様だとはつい最近まで知らなかった。

ポロシリ11/17 19:19:21382cfqHRRFNvIqZE||931
だけどいつもと柔和な表情はどこへやら、今日の彼の表情はどこか硬かった。
心して聞きなさい・・・

爺は私にそう前置きし、今私の体に起こっている真実を話してくれた。
爺の話はいろいろ難しい事もしゃべっていたけど簡単にいうと、

『私はもうすぐ死んじゃうから私の好きな事をやりなさい』そう言われたのだ。
私はいつかそんな日が来るのではないか、と覚悟していた。

覚悟はもう決めていたはずなのに、やっぱり悲しくて悔しかった。

ポロシリ11/17 19:19:301382cfqHRRFNvIqZE||471
だから私は爺に聞いてみた。
「私、空を触ってみたい。どこまでも広がっている空を・・・」
空を触ろうなんて馬鹿げた話である。だけど私は本気だった。

爺はしばらく考え込んでいたが、空を触る事は出来ないが空と同じぐらい大きな海なら触れると教えてくれた。

海・・・
聞いたこともないはずの単語だったけど妙に懐かしくて心地いい言葉だった。
私は爺に詳しく聞いた。

爺によると、海はどこまでも水が続いていてまるで空のようなものであまりにも広くて、境界が空と混じってるように見えるというのだ。

だから私は私の頭上に広がる空のようにどこまでもどこまでも続いている海を見たくなった。

ポロシリ11/17 19:19:491382cfqHRRFNvIqZE||874
「私、海に行きたい」
私はお母さんに言った。

お母さんはとても驚いていた。
海はとても遠くにあるとか、そんな体じゃまだ無理とか、何かと理由を付けてそれを反対してきた。

今まで、私のお願いを聞いてくれなかったことなんて無かったお母さんが、まるで駄々っ子のように反対してきた。

ポロシリ11/17 19:20:91382cfqHRRFNvIqZE||900
きっとお母さんは分かっているのだ。
私にはもうそこまでの体力が残っていないという事を。

もし海にたどり着けたとしても、決して帰ってはこれないだろう事を。
だからこんなにもムキになるのだろう。

そんなお母さんの気持ちはとっても嬉しかった。
だけど、私の決心は変わらなかった。たとえ、これが今生の別れになろうとも。

ポロシリ11/17 19:20:301382cfqHRRFNvIqZE||465
「なんでお母さんがこんなに反対するか、私分かるよ。だけどそれでも私は行きたい。私の最後のお願い聞いてくれる?」

これが私の最初の、そして最後になるであろうわがままだ。
それを聞いたお母さんは黙ってしまった。

やがて、フッとため息を漏らしたお母さんは
すぐにでも出発したいんでしょ?
そう言って私の旅支度を始めてくれた。

ポロシリ11/17 19:21:61382cfqHRRFNvIqZE||41
それから数日後、私は町外れの広場にいる。見送りは誰もいない。
誰にも知られないようにそっと出てきたから・・・

私は故郷を離れ旅に出る。
無事に海までたどり着けるか分からない。それどころか途中で力尽きてしまうかもしれない。それでも私の中に不安はなかった。

私の頭上には青い空がどこまでも広がっているのだから・・・

ポロシリ11/17 19:21:281382cfqHRRFNvIqZE||872
私は空を眺め太陽の光に目を細めると、どこからか私の良く知る声が聞こえてきた。
間違えるはずはない、あれはお母さんの声だ。

私はエプロン姿のまま走ってくるお母さんを見つけ、しまったと思いながらも嬉しくなった。
だって、お母さんの泣いてる顔見ると、きっと離れたくなくなっちゃうから。

ポロシリ11/17 19:21:501382cfqHRRFNvIqZE||268
だけど、お母さんは悲しいはずなのに、とっても素敵な笑顔で『いってらっしゃい』って見送ってくれた。

だから私も『いってきます』っていって故郷を後にした。後ろではずっとお母さんが手を振っている気配が伝わってくる。

だけど私は決してふりかえらない。それが私の決意・・・
私はお母さんの声と気配を背中に感じ歩み始めた。
どこまでも続いているその道の上を・・・

ポロシリ11/17 19:21:561382cfqHRRFNvIqZE||192

ポロシリ11/17 19:22:401382cfqHRRFNvIqZE||631
あとがき

初めまして。
最後まで目を通していただき誠にありがとうございました。

このお話の舞台は産業革命以前の内陸国にあるとある村、みたいな場所が舞台です。
わかりにくい方は、RPGでよくある、山の中にある始まりの村をイメージしてもらえればどんな所か分かるかと思います。

さぁ、これから少女はどうなるのか、それは誰にもわかりません。

無事に海にたどり着けるのか?旅の道中に運命の人に出会うのか?
彼女の病気を治す薬があるのかも知れない?様々な事件に巻き込まれてしまう?

等々物語は無限大に続いていきます。
彼女の運命は貴方が握っているのです。

だから続きは貴方自身で作り上げてください。

ポロシリ11/17 19:23:101382cfqHRRFNvIqZE||554
こう思うと何だか楽しくなってきませんか?
こうやって自分だけの続きを創造するのも物語の楽しみ方の1つです。

それをわかってもらえれば幸いです。

あとがきが長くなってしまいましたが、よろしければ感想や貴方の考えた彼女のその後など書き込んでいただけたら、私としてはとても嬉しいです。

聖羅姫11/18 18:14:532202cfqwoY5iZRB.2||127
すごい感動系ですね・・・・
今自殺死のうと考えてる人に見せてあげたいくらいです

私が考えるには後悔なく死んでいったと思います。
海と空の間にいられるという事はすばらしい事だと思います

ロルス11/18 19:5:02191cfVMRoOUwRIXY||958
自分で遠く、遠くまで歩いていくのはとても辛く色々な壁にぶつかりつつ
やっと海についた・・・
そこで運命の出会いがあった・・・
続きはこのようなかんじかなあ?とおもってます

とても生きていることがすばらしい
そう訴えている様なかんじだとおもっております

ポロシリ11/19 19:16:511382cfqHRRFNvIqZE||412
他の方の書き方とテイストが違う本作品ですが、最後まで読んでいただき感想まで頂きまして、感謝感謝でいっぱいです^^

>聖羅姫さん
聖羅姫さんの世界では彼女は満ち足りた気持ちで散っていったのですね。
きっと憧れていた海にたどり着いて、満足できたのでしょう。
『海と空の間にいられる・・・』そんな当たり前の事がどれだけ大切ですばらしい事か感じてくれて嬉しかったです^^

ポロシリ11/19 19:17:21382cfqHRRFNvIqZE||409
>ロルスさん
ロルスさんの世界では無事海について運命の出会いがあったのですね。
彼女はそこで彼女の幸せを見つけたんでしょうね^^
『生きていることがすばらしい』と感じてくれたのが嬉しいです^^

続編とは少し違いますが、次回作の構想はありますw
あまり書くスピードは速くないのですが、次回作も拝見していただければ私は
とても嬉しいです。。


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