戻る
9465サザンライド冒険記__第一話sIs11/18 16:47:181219cf0Go//NQU9A.


  第一話
      会議



sIs11/18 16:47:321219cf0Go//NQU9A.||813

山や森が、鮮やかな赤に色づき始めた頃の話。

ここは、とある町の集会所の中に造られた、小さな会議室。
その中で二人の男が、互いに軽く会釈をしていた。


sIs11/18 16:47:431219cf0Go//NQU9A.||909

「やあ、一年振りです、カドンさん」
「久し振りですね、エルミオールさん。
 どうです、そちらは上手くいっていますか?」

小柄な男の問いかけに、背の高い男がにこやかに答える。
「まあ、それなりに」
「いやぁ、羨ましいですね。
こっちは新しいことを始めるたびに文句ばかりで…」
「私が領主になりたてだった頃もそんなものでしたよ」

と背の高い男、エルミオールがハハハ、と朗らかに笑う。
それを見て小柄な男カドンは苦笑しながら肩をすくめた。


sIs11/18 16:47:561219cf0Go//NQU9A.||597

「ならば、私もいつかは上手くいくかもしれないですね」
「そうでしょう」

ハハハハ、と二人の笑いが重なる。

「何がそんなにおかしいんだ」

そこへ会議室のドアが勢いよく開いて、男が一人入ってきた。
大柄でがっしりした体格、そして強面、煙草まで銜えている。
外見だけで判断すればまさに悪役そのものだ。


sIs11/18 16:48:101219cf0Go//NQU9A.||583

「やあ、キリトさん、お久し振りです」

エルミオールが軽く会釈したが、キリトはそれを無視して席に座った。

「もう始めないか、さっさと帰って妻の面倒を見てやらんといかんのでな」
「まだよくならないんですか。
 治療はどれくらい進んだんですか?」
「今話すべきことではないだろう。
 それより、ルーシェはまだか」

会議室内を見回して、キリトが苛々した口調で急かした。
エルミオールとカドンも席に着く。
四つの座席に三人。
あと一人がまだ来ていない。


sIs11/18 16:48:201219cf0Go//NQU9A.||752

「…まだ来ていないみたいですね」
「もういい、始めるぞ。遅れたのはあいつの責任だ」
「いいえ、愚民どもの責任よ」

愚民、などという失礼極まりない言葉とともに、ドアが静かに開いて女が一人部屋に入ってきた。

「やっと来たか、この遅刻魔馬鹿女め」
「黙って頂戴、私は急いだわ。
 うちの馬鹿どもが騒いでいたから遅れたのよ」


sIs11/18 16:48:271219cf0Go//NQU9A.||336

部屋に入ってくるなりキリトとルーシェは罵声の応酬を始めた。
この二人はいつもこうだ。
そしてこれもいつものことだが、ルーシェの遅れた理由、もとい言い訳はわけがわからない。

「まぁまぁ、落ち着いて。
 とにかく揃いましたから、会議を始めましょう」

エルミオールが困ったような顔で二人を制し、一応その場は収まった。


sIs11/18 16:48:391219cf0Go//NQU9A.||493

*


sIs11/18 16:48:591219cf0Go//NQU9A.||880

ウェドナ大陸南東部のサザンライド地方は、四つの自治領が置かれている。
その四つの自治領はそれぞれ一人の領主が治めている。

ある意味では「国」なのだが、国際的に認められていないし、領主達も「国」とは考えていない。
これら四つの自治体をまとめて「サザンライド連邦」と称する者もいるが、
やはりこれも国際的に認められていないため、その名称は誤っていることになる。

「連邦」の名称は誤っているが、連邦として考えられるほど各自治領の繋がりは深いので、
一年に一度四人の領主が集まって「サザンライド地方会議」というものが行われる。


sIs11/18 16:49:111219cf0Go//NQU9A.||86

「…では、今年の会議はこれでお開きにしますか」

一年に一度しか行わないが、大体一時間もあれば終わる。
話す内容は大して重要ではないし、人数か少ないから論争になることも少ないからだ。

「あー、やっと終わった、早く帰らねば」
「それではまた来年に、エルミオールさん」

終わるや否や、キリトとカドンはそそくさと会議室を出て行った。
エルミオールも書類をまとめて会議室を出ようとする。


sIs11/18 16:49:221219cf0Go//NQU9A.||647

「あ、エルミオール」

会議室の入口のところで、ルーシェがエルミオールの肩を叩いた。
ん、とエルミオールは振り返る。

「今日の夜にまたここに来てくれない?
 あんたに話したいことがあって」

相変わらず無愛想な頼み方だが、相手はいつでも穏和なエルミオールだ。


sIs11/18 16:49:311219cf0Go//NQU9A.||609

「ええ、いいですよ。何時ぐらいに?」

あっさりとエルミオールは承諾した。

「…そうね、十時ぐらいでいいわ。じゃ」

ルーシェは軽く手を挙げて会議室を出て行った。
エルミオールもそれに続いて会議室を出、その日の夜になるまで会議室は静寂に包まれた。


sIs11/18 16:49:431219cf0Go//NQU9A.||465

*


sIs11/18 16:49:541219cf0Go//NQU9A.||671

「―――あら、お父さん、出かけるの?」

夕食が終わって間もないというのに、コートを着てどこかへ出かけようとする父親を見て、
エリシアは彼の後ろから声をかけた。

「ああ、ちょっとルーシェさんに呼ばれているからな」
「え、あの遅刻魔馬鹿女に?」

キリトと同じことを言うエリシア。
いや、それよりエリシアとルーシェは一体どういう関係なのか気になる。


sIs11/18 16:50:21219cf0Go//NQU9A.||815

「そんな言い方はないだろう」
「だって、あの女、今日の会議にも遅れたんでしょう?
 愚民どものせいだとか言ったんでしょう?
 あいつのせいで妻の面倒が見てやれないって嘆いていたわよ」

前言撤回。
エリシアとルーシェの関係より、むしろエリシアとキリトの関係が気になる。


sIs11/18 16:50:111219cf0Go//NQU9A.||356

「…まぁ、とにかく行って来るから」
「うん、気をつけてね」

エリシアの死角で困った顔をしながら、エルミオールは家を出た。
一体何にどう気をつければよいのだろうか。
外は風が強く、気を抜いていると帽子が吹き飛んでいきそうだった。
その中をエルミオールは黙々と歩き始めた。
吐く息が白い。

「…行っちゃった。いつ帰ってくるかなぁ」


sIs11/18 16:50:191219cf0Go//NQU9A.||100

*


sIs11/18 16:50:311219cf0Go//NQU9A.||658

「―――あら、本当に来てくれたのね」

既にルーシェは会議室にいた。
ルーシェは感心したような、驚いたような声を出した。

「ああ、来るさ。
 それより、家で娘が待っているから、早めに済ませたいんだが」

エルミオールはそわそわしている。
今頃泣いていないだろうか、待っていてねエリシア、などと呟いている。
その様子を見てルーシェはため息をついた。


sIs11/18 16:50:411219cf0Go//NQU9A.||639

「あら、そう。
 それじゃあ早く済ませるわ」

エルミオールが助かった、と呟く。

「ああ、頼むよ―――」


sIs11/18 16:50:501219cf0Go//NQU9A.||160

後書き

何とキャラ募集から1ヶ月も経っています。

…本っ当にごめんなさい! orz

遅くなったことについてあれこれ言うと、言い訳になってしまいそうなので…。
謝るだけにしておきます。凄く反省しています。
ルーシェさんとは違うから(爆)


11/18 19:46:582221cfvxoj8hNGJ86||477
こんばんはsIs様。

コレが噂の…。
っと、気になるところで終わっておりますね・・・!
続きが気になります、そして妄想が始まりま(コラ

「悪い方向の話だとおもしろそうだなー」

と思う反面

「良い方向の話でも楽しそうだなー」

なーんていう自分がおります(矛盾

それでは意味が分からない文章になりましたが
失礼いたします;

sIs11/19 0:42:541219cf0Go//NQU9A.||808
武さん

気になるところで終わってしまいました。
ちょっとでも面白くしてみようという狙いです。
長くなってしまったから適当なところで終わらせようとして、偶々ここで終わった、
という説もありますが(コラ)
良い方向に流れていくか、悪い方向に流れていくか、
第二話が公開されるまでどうぞ妄想で爆発してください(笑)

ピート11/20 0:6:452182cflnCBDL6OrEk||596
・・・・いやはー(ナニ
どうもお久しぶりです。懐かしい名前が目に止まったので見させていただきましたよ
ヾ(´∀`)ノシ
しかしアレですな。
昔掲載していたものの続編かと思いきや第1話。
かなり間があいたから最初から載せるのかな、と思いきや内容は別モノ。
にゃんと予想外な出来事が続くことか!
もしやsIsさんはそういう面で才能があったのではっ!(ぇ
いやー、ハメラレタハメラレタ(ぇ
ん?肝心な感想が無い?

・・・・・

ササーッ三(|出口

sIs11/20 17:8:101219cf0Go//NQU9A.||456
ピートさん

…いやはー!(爆)
凄くお久し振りです、そういえば最近お話していないですね。
続編は…今となっては作れません、あんな恥ずかしい作品の続きなんて orz
なので最初から書き直すつもりで募集してみたら、別のストーリーが浮かんじゃった。
ある意味一番予想外だったのは僕です。
ん? 肝心な感想は?

あ、そっか、次回にまとめるのね(爆)


本文(<>," shift+7使用不可)
 ※メルアドや電話番号を公表してはいけません、荒らしを批判するのは「俺が神掲示板」以外は禁止!
 
特殊文字 by.チビファンタジー 過去ログ
無料ゲーム総合サイト: おもしろフラッシュ総合サイト: PS2:GBA:PSP:NDS:GC:XBOX