9474 | 秋と言えば読書の秋_小説の秋 | Kozue | 11/20 19:3:6 | 2183cfItlj66EQP/2 |
空雲さま、イベントに参加させていただき、ありがとうございます^^ 駄作とは思いますが、どうぞよろしくおねがいしますm(_ _ *)m 題名:【あの時】 |
Kozue | 11/20 19:4:1 | 2183cfItlj66EQP/2||65 | ||
冬の、凩が吹く日だった。 |
Kozue | 11/20 19:4:11 | 2183cfItlj66EQP/2||575 | ||
私は、父の親友と話していた。 本当は、父とそのおじさんが飲みに行く予定だったらしいが、 父は風邪を引いている。おじさんは携帯電話を持っていないし、 電話も引いていない。一体、父とおじさんはどうやって約束を決めたのだろう。 少々訝しがりながらも、わざわざ私はおじさんに、 父は今日来られない、ということを伝えに来たのだった。 |
Kozue | 11/20 19:4:34 | 2183cfItlj66EQP/2||967 | ||
教えられた住所に行ってみると、薄気味悪い灰色の家の中に、 頭の毛が少し後退した、恰幅の良いおじさんが一人で煙草をふかしていた。 私は、用件を伝えたらすぐ帰ろうと思っていたのだが、おじさんに引き止められてしまった。 最初は嫌々ながらおじさんの話を聞いていたが、よくよく話していると、とても面白くて、優しい人だった。 |
Kozue | 11/20 19:5:0 | 2183cfItlj66EQP/2||877 | ||
おじさんは大声で、自分の家族の事、トラックの運転手という職業についての事や (おじさんはトラックの運転手だった。)、恥ずかしかった事を、 もううんざりと言うほど大声で話した後、急に声を落として、 こんな話を私にしてくれた。 |
Kozue | 11/20 19:5:24 | 2183cfItlj66EQP/2||560 | ||
『いまだに俺にゃぁ、気になることがあるんだよ。』 |
Kozue | 11/20 19:6:25 | 2183cfItlj66EQP/2||837 | ||
―『あれは7年前の冬かなぁ、そうだ、今時分だよ。あまりの寒さに、 俺はむしゃくしゃして、車をすっ飛ばしていたんだ。だって、こう寒くちゃ、 生きてる感じがしねぇだろ。俺は夏生まれだしな。寒さには弱いんだよ。 そんで、車をすっ飛ばしてたわけだ。まぁ、俺が通った道は、人通りも車も 少ないし、すっ飛ばすには最適な道だったわけだ』― |
Kozue | 11/20 19:7:30 | 2183cfItlj66EQP/2||914 | ||
―『(こりゃぁ楽しいなぁ。) 俺の気分が良くなり始めたころなぁ、脇道から何か、こう、黒いモノが飛び出してきたんだよ。避けるまもなく、俺はそれを轢いちゃったわけだ。 〔―バスッ〕て感じの、そりゃあ気味の悪い音だったぜ。最初、黒かったもんだから、カラスかと思ったんだけどよ、まぁ一応確認してやっか、と思ったんだ。忌々しい、何でこんな時に、って感じでよ、俺の気分はまた悪くなってきちまったんだ。渋々車から降りて、轢いちまったのを見たらよ…』― |
Kozue | 11/20 19:8:19 | 2183cfItlj66EQP/2||754 | ||
―『ヒトなんだよ、6歳くらいの。女の子で、黒い服を着てたんだ。 たしか、髪は肩の近くで、お下げにしてたかねぇ。』― |
Kozue | 11/20 19:15:17 | 2183cfItlj66EQP/2||76 | ||
―『あんときはもう、なんかよう、顔から血の気が引いちまってよぉ…。顔から血の気が引くっていう、その言葉通り、さぁーッと顔が冷たくなったんだよ。あんなおぞましいこと、もう無いと思うぜ。ああ、やっちまった。もうダメだと思ったよ。』― |
Kozue | 11/20 19:16:4 | 2183cfItlj66EQP/2||659 | ||
―『罪を犯したときはなぁ、人間、意外に冷静になるものなんだぜ。 頭真っ白で、何も考えられなかった。 普段だったら、そんなことしなかったんだと思うがよぉ、俺は、 気分も最高に悪かったしよ、その場から逃げちまったんだ。 つまり、轢き逃げってことさ。 その後一週間くらいは、新聞に轢き逃げ事故の記事があるかどうか、 ヒヤヒヤしながら読んでたよ。』― |
Kozue | 11/20 19:16:53 | 2183cfItlj66EQP/2||218 | ||
―『今はどうしてるんだろうなぁ。 もうあの子は死んじまってるかもしれないと思うと、こう、 胸がチクリと痛くなるんだよ。俺は、もう二度とあの浅草の道は通りたくねぇ。 なぁ、お嬢ちゃん、俺はどうやったら、この、罪悪感とやらから 逃げられるんだ…?』― |
Kozue | 11/20 19:17:38 | 2183cfItlj66EQP/2||343 | ||
ああ、と、私は納得した。私が小さい頃に遭った交通事故、 それを引き起こしたのはまさしくこのおじさんだろう。 おじさんが言っていた事故当時の状況に、見事に合致しているのだ。 …まさか今になって、犯人が分かってしまうなんて。 |
Kozue | 11/20 19:17:58 | 2183cfItlj66EQP/2||504 | ||
―なぁ、お嬢ちゃん、俺はどうやったらこの、罪悪感とやらから逃げられるんだ…? |
Kozue | 11/20 19:18:22 | 2183cfItlj66EQP/2||12 | ||
私は今ここにいます、生きているんです、おじさん。 あの時、私は死ななかった。もう気にする事なんてないのに。 あの時逃げなければ、おじさんはこんなにも嫌な思いをして、 生きてきた事もなかったのに。 |
Kozue | 11/20 19:19:5 | 2183cfItlj66EQP/2||123 | ||
おじさんの苦しみはどれだけだっただろう。 あの子は、つまり私は死んでしまったかもしれないと心配して、 ずっとその罪悪感を胸に抱いたまま、この七年間を過ごしてきたのか。 私はあの時、奇跡的に掠り傷一つしなかったのに。 ―助けてくれればよかったのに。 掠り傷も無かったくらいなんだから、警察沙汰になるはずもない。 しかし、おじさんは、自分は人を殺したんじゃないかと思い込んでいる。 あの時、私をおいて逃げたばっかりに。 |
Kozue | 11/20 19:19:39 | 2183cfItlj66EQP/2||80 | ||
―皮肉な現実。罪から逃れようとして、更なる罪を背負わされるなんて。 私から逃げても、どんなに逃げても、それはまやかし。 罪からは、逃げることなんて出来ないのに…。 |
Kozue | 11/20 19:19:53 | 2183cfItlj66EQP/2||304 | ||
―私は言う。 |
Kozue | 11/20 19:20:18 | 2183cfItlj66EQP/2||929 | ||
「そうなんですか…。私も、車に轢かれた事あるんですよ。丁度七年前。 奇跡的に掠り傷一つしなかったんですけどね。」 「それじゃぁ、お嬢ちゃん、俺はもしかしたらお嬢ちゃんを轢いちまったのかも しれんな。」 |
Kozue | 11/20 19:20:59 | 2183cfItlj66EQP/2||929 | ||
はは、まさかな、とおじさんは続けた。 私も、顔に笑顔を浮かべた。 |
Kozue | 11/20 19:21:17 | 2183cfItlj66EQP/2||769 | ||
―おじさんは、未だ真相を知らない。 |
Kozue | 11/20 19:23:20 | 2183cfItlj66EQP/2||601 | ||
**あとがき** 今回は、イベントに参加させていただき、ありがとうございます^^ 感想お願いしますm(_ _ *)m |
マハザン | 11/20 21:7:22 | 2221cfdMAGfSuwDeQ||748 | ||
うぁー、面白い。面白すぎる。 話と自分の事故が重なる、この一致感がなんとも言えません。 全体的に短くまとめられて、良い感じですね。 ただ、回想に入るタイミングが少し唐突な気がしました。 おじさんの話に入る前に、 「ある道を歩いていると、ふと昔のことを思い出した」 みたいな感じで回想を入れたら、伏線が張れて良いかと思います。 |
順介 | 11/20 22:57:59 | 2181cffYgMaRJCl/Y||254 | ||
同じイベントの参加者として感想を書きたいと思いますw 最初は予想もしなかった展開でした。 読んでいると楽しく、とても面白かったです。 言葉の使い方もうまく、大変感想になりました。 |
順介 | 11/20 22:58:31 | 2181cffYgMaRJCl/Y||383 | ||
感想→勉強です。ものすごい間違い、お許しくださいorz |
ゆうじい | 11/20 23:42:22 | 6036cf2IlF0sHJAV.||742 | ||
こんばんは、読ませていただきました ・・・凄いですね、ここまで見事な 話の作りはみたこと無いです、 自分は知っているけどおじさんは知らない ところがまたなんとも絶妙です、 おじさんは未だ知らないって事はこれからも 気にしながら生きて行くんでしょうね、 大変感動しました、こんな素晴らしい詩 を読ませて頂きありがとうございました^^ |
ゆうじい | 11/21 0:7:55 | 1211cfGT6FeSkIGCg||771 | ||
↑で小説なのに詩と言ってしまいました 申し訳ありません。 |
Kozue | 11/21 19:12:49 | 2183cfItlj66EQP/2||90 | ||
**マハザンさま** ご感想ありがとうございますm(_ _ *)m とてもとても嬉しかったです! このお話は、交通事故に遭って轢き逃げされた友達がいたことから、 アイディアを思いつきました。感謝してます。(笑) そして、的確なアドバイスありがとうございました^^ とても参考になりました。今後に繋げていきたいです。 |
Kozue | 11/21 19:14:59 | 2183cfItlj66EQP/2||917 | ||
**順介さま** ご感想ありがとうございましたm(_ _ *)m 順介さまの作品も、読ませていただきますね♪ しかし…私のようなふつつか者から何かを学び取られるとは… なんか申し訳ないです…(汗。 ありがとうございました^^ |
Kozue | 11/21 19:17:46 | 2183cfItlj66EQP/2||228 | ||
**ゆうじいさま** ご感想ありがとうございましたm(_ _ *)m いや、私なんて、まだまだですよ! そんな褒められるほどの人間じゃありません、私。本当です。 でも、とても嬉しかったです^^ ありがとうございました♪ |
すみれ☆ | 11/21 20:28:21 | 2204cfnacloQpOVtw||251 | ||
こんばんは^^ 轢かれて、かすり傷一つ無い…。 奇跡の中の奇跡だねっ! おじさん、気づいてなかったんだね^^; 車飛ばして…捕まらなかったんだ…警察に。 スピード違反として。 次回作も楽しみにしてるから、頑張ってね^^ |
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