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9490秋と言えば読書の秋_小説の秋舞緋紅11/22 15:57:05870cfQ3QHHGYW2aI
こんにちは♪
上記のイベントに参加させてもらっております。
題名は【籠の鳥】です

舞緋紅11/22 16:1:355870cfQ3QHHGYW2aI||638
堕天使―――

貴方はその種族を知っていますか?

純白の翼の天使、漆黒の翼の悪魔が禁じられた罪を犯して、堕ちた種族。

どの種族からも見放されていて、一生を孤独に、狭い檻の中で暮らす。

そんな種族。

私はその中の一人。

舞緋紅11/22 16:5:275870cfQ3QHHGYW2aI||27
私は元々、天使だった。

だけれど、悪魔と恋をして・・

二つの種族の間では、恋もしてはいけない。

もし、したならば、すぐに堕天使になり、離れ離れにさせられてしまう。

「会いたいな・・。あの人と。もう一度だけでいいから・・」

ボソッとつぶやく。

私達は籠の鳥。

この檻からは一生出られない。

舞緋紅11/22 16:7:525870cfQ3QHHGYW2aI||146
だから、二度と会えるはずはない。

声も届かない。

けれども、何もしないのは嫌。

せめて、歌で、あの人に伝えたい。

私の思い。

どんなに綺麗に歌声 響かせても届かないのも分かってる。

「私の思い 届けばいい・・。例え声は届かなくても、気持ちだけは・・」

私のせめてもの思い。

舞緋紅11/22 16:10:55870cfQ3QHHGYW2aI||830
そして私は喉を枯らすまで歌った。

もう歌えない。

その限界まで歌い続けた。

歌い続けたら、終わった後、あの人の声が響いてきたような気がした。

私の思い、届いたのかな?

そう思いながら、かすかに響く声を聞きながら、

眠りに落ちた。


こんなことを思いながら。

舞緋紅11/22 16:13:65870cfQ3QHHGYW2aI||760
あの人にもう一度、会えるなら、死んでもいい。

そうするなら、此処を抜け出さないと。

私はこの檻の中に、運よく、亀裂が入って、崩れそうなところを見つけた。

「此処からでられるかな・・」

私は力を振り絞って、押してみた。

ガラガラガラ・・

音と共に崩れ去っていく。

「やっと外に出られる・・」

舞緋紅11/22 16:15:455870cfQ3QHHGYW2aI||854
しかし、その音を聞きつけたのか、番人の妖怪たちが襲ってきた。

「逃げなきゃ・・」

妖怪たちは、飛べない。

そう思った私は、ぼろぼろになった、灰色の翼を、やっと思いで動かし、

飛んだ。

後はあの人を探すだけ・・

しかし、ぼろぼろになった翼は、一分と持たないうちに、

体と共に落ちていく・・

舞緋紅11/22 16:19:215870cfQ3QHHGYW2aI||968
落ちていくと共に、血なまぐさい臭いが漂う。

「くっ・・。この臭い、何?」

下を見ると、瓦礫に一瞬みえたけど、それは・・

「これ・・・全部骨?!」

地面を、骨が何キロにもわたって、放置されてある。

血のついたまま。

でも、その骨の山に落ちる前に、

私は最後の力をだし、飛んだ。

あの人に会うまでは・・

舞緋紅11/22 16:21:115870cfQ3QHHGYW2aI||866
そして、今度は、1時間も、持った。

出来るだけ、いそいで飛んでいった。

そして、今度は・・

また、檻が見えてきた。

かすかに顔が見えた。

あの人だ・・・


そう思い、その檻のそばに駆けていった。


舞緋紅11/22 16:24:15870cfQ3QHHGYW2aI||78
虚ろな視線でどこかも見ていたが、私に気がついた途端、正気に戻った。

「リシェ!?逃げてきたのか!?」

彼・・・レイは私の名前を呼んだ。

「何故・・・・。もしかして、昨日呼びかけてたのはやっぱり・・」

「そう。私。」

「どうしても会いたくて・・」

舞緋紅11/22 16:27:485870cfQ3QHHGYW2aI||632
「逃げたら殺されるのに・・」

「だって、籠の鳥のまま、おわりたくない。」

「レイに会うまでは、死にたくなかったから。」

その時、辺りは足跡で騒がしくなった。

「番人たちがきた・・」

どうしよう・・このままじゃ、レイも殺されてしまう・・

そうだ。

「私が、魔法で柵を吹っ飛ばす。私にかまわず、逃げてっ」

「でも・・」

「私も後で追いかけるから。」

舞緋紅11/22 20:23:485870cfQ3QHHGYW2aI||960
「分かった。」

さて・・久々ににやるか・・

「【水よ 舞え 我の敵に襲い掛かれ[ウォーターカッター]】」

「【炎よ 焼き焦がせ 我の障害を[ファイアトルネード]】」

「グァァァ」

番人達が消えていく。

レイの檻の柵が焼き焦げて、崩れる。

「行って!」

レイは、不安そうに私のほうを見ながら、飛んでいった。

舞緋紅11/22 20:27:445870cfQ3QHHGYW2aI||482
「さてと・・どうしよっかな・・」

此処で死にたくは無い。

だから、力の限り戦わなくちゃ・・

「【暗黒の龍よ 我の敵を焼き払え 追い払え[ダークドラゴン]】」

召喚魔法はかなり力がいる。

闇の龍が、追い払ってくれてるうちにと・・

「【光の力 我に従え[ホーリーライト]】」

傷ついた翼を治療し、飛んで行く・・

舞緋紅11/22 20:30:455870cfQ3QHHGYW2aI||372
レイを探す・・

何処にいったのかな・・

「リシェ!」

レイの声だ。

「こっちだ。」

そこには小さな洞窟。

かなり下だけど。

しかも気味が悪い。

でも、逃げなきゃいけない。

あの龍も長くは持たないだろう。

そして、その洞窟へ行こうとした時――

翼が・・動かない。

体も動かない・・・・

舞緋紅11/22 20:35:55870cfQ3QHHGYW2aI||896
あ・・力の使いすぎだ・・

そう考えている間に、どんどん体が落ちていく。

死ぬのかな・・・

でも、レイにもう一度会えたから、悔いはない。

「リシェ!」

生きて行く場所はないから。

この広い世界からは抜け出せない。

「・・レ・・イ・・」

声も上手く出せないや・・


「リシェッ!」

でも、これで終わりだろう。

レイが助けようとしてくれるが、間に合わない。

――サヨウナラ。

私の体の中で鈍い音が響く。

灰色の羽根が散らばっていく。

自分を呼ぶ声がする。

舞緋紅11/22 20:41:225870cfQ3QHHGYW2aI||582
けれども遠くなっていく・・

次の世では、自由に恋したい。

自由に生きたい。

なくなっていく意識の中、そう思っていた。

最後に、空に、思いを響かせよう。

かすかな声だけれども、響かせよう。

歌える限り、精一杯。

舞緋紅11/22 20:44:245870cfQ3QHHGYW2aI||2
意識がもう無くなっていく。

でも、歌い続ける。

そして、かすかな歌声は消えていく・・

――風が吹き、血に汚れた羽根は舞っていく。

その中の一枚だけは、かすかな光を放ち、かすかな声で歌っていた。

私の心。


――今度こそ本当に、サヨウナラ。

舞緋紅11/22 20:46:565870cfQ3QHHGYW2aI||101
★あとがき
思い切りファンタジーですね・・(汗)
堕天使の最初の設定、魔法などは全てオリジナルです。

良かったら、感想お願いします・・

ロスト11/24 18:26:45915cfw24E/8k.hsQ||30
思い切って感想です。
同じような種類のものをイベント用に書き下ろさしてもらいました。

とても切ないですね。好きです、こういうの。
ファンタジーが舞台というのも、またいいです。
またこういうのができれば、是非見て見たいです。
ではでは。次の作品を楽しみに待ってます^^

舞緋紅11/25 16:28:442101cf4Bax/srUh5A||460
感想ありがとうございますっ
貴方の好みにあってよかったです!
次の作品も宜しくお願いします(死

レインボー12/20 16:35:435917cfGwFkS7dkCcQ||981
悲しい話好き がんばれー


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