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9553魂&休息地(小説)シェイラ12/8 0:45:142184cfPSp9oKKU0aw
どうぞ、ゆっくりしていって下さい〜。

シェイラ12/8 0:45:462184cfPSp9oKKU0aw||293
傷響き

呻く声に
耳を澄まし
傷つける事に
喜びさえ覚える
我よ
そんなお前が
何より憎憎しい
あの時自ら

命を絶てんと思えるが
それさえ叶わずに
囚われ続ける
無限の意識の回廊に

シェイラ12/8 0:48:282184cfPSp9oKKU0aw||448
闇夜
 近付く近付く。すっと通り過ぎて、振り返るとその人は闇の内。
 すっと消えていく。
 これから何人と通り過ぎるのだろうか、振り返ってもその人は闇の内。
 ちらちらと女性と子二人通り過ぐ。黒に埋め尽くされる。
「ああ、無理心中か」
「可哀想」
 ひそひそひそ
 ひたひたゆく道、この道。冷たい無機質な道。瞳はひたと通り過ぐ人。
 私もいつか闇の内。

シェイラ12/8 0:48:502184cfPSp9oKKU0aw||628
休息地(RPG風味?)
 とっぷりと夜も更けた頃、彼女は今日二回目の火の番についた。身の丈ほどの大剣を膝に置いてゆっくりと、磨き始める。こざっぱりした衣装と、赤の紋様が付いた胸当て。それにかかるかかからないかの落ち着いた茶の髪。火の中に揺らめいている。
 時折、火を見て何を思うのか、この広がる漠々たる砂の中に何を思うのか、作業を止めては磨くのを繰り返す。

シェイラ12/8 0:49:202184cfPSp9oKKU0aw||769
と、気配。
「隣いい?」
 隣に黒のブーツ。見上げると、いつもの顔。自分の顔にも笑顔が舞い降りる。
「どぞ〜」
 少し、いつものテンションに戻しつつ、隣を薦める。
「う〜、夜は冷えるわね」
 実際、二人とも毛布に包まっている。

シェイラ12/8 0:50:32184cfPSp9oKKU0aw||20
「だね。砂漠ってこうも冷えるもんだとは思ってなかったよ」
 あははと笑う。
「他のは?」
「今日の強行軍で疲れちゃったみたい。ぐっすり寝てる」
 一回目の時も、交代する時に何度声を掛けた事か。最終的には業を煮やして、もう一つの武器である拳を大いびきをかく仲間の腹に埋めた事はさすがに黙っていようと思った。
「でもさ、あんたが一番疲れてそうだったけど?」
「あら、そう見えた?残念でした。こう見えても鍛えてるんだから」
 と、自らの長い足を上げる。黒のブーツが毛布から顔を出した。
 それが彼女の得物。

シェイラ12/8 0:50:372184cfPSp9oKKU0aw||120
「確かに。あんた前衛だしね」
 他愛もない雑談が過ぎた後、圧倒的な星と何処までも続くかに見える砂漠が、自分たちほんの数人しかいない小隊を包み込もうとしているように思えて、黙りこくる。
 これはどうするべきかと考えるが、浮いてくる言葉は全部かき消されて、砂漠の中に溶け込んでいく。仕方ない。暖かい飲み物一つ持ってきてくれないかと半分冗談のような事を言ってみようと思った時だった。

シェイラ12/8 0:51:102184cfPSp9oKKU0aw||837
「やっぱり、倒すの?」
 一瞬、剣を拭く手が止まるが、
「うん」
 また淀みなく拭き始める。
「辛い?」
「ば〜か。決まってるじゃん」
 顔には笑みが浮かぶ。女性はいつものように言い返さない。
「だって、この間まで仲間だった奴だよ?それが、さ。あんな風にいきなりいなくなって」
「あんな風に、私達の敵となって?」
 言葉を継ぐ。無理もない。

シェイラ12/8 0:51:372184cfPSp9oKKU0aw||399
彼女にとっては、この旅のきっかけを作ったのも彼であったし、何より頼りない兄の様だったその姿はいつも彼女と共にあった。その姿が、ある日突然消えて、敵の中に見えた時は驚愕の表情よりも、何も見えてない表情をしていた。
「解んないよ。どうして、あいつがあいつらの側に回ったのか。考えても、考えても」
 女性は黙って、聞き役に徹していた。
「でも」
 視線を落とす。

シェイラ12/8 0:52:42184cfPSp9oKKU0aw||218
「やるっきゃないなって。だって、色々努力したよね?あたし達。届かないなりにさあ。あ〜、本当はぶっちゃけ、戻ってきてほしいよ。正味な話」
 女性は何かを言い掛けるが、口を閉ざしてしまった。
「けど、もう無理な事は解ってるんだ。だから、これで全てを終らせる」
 そこには、もうたった十六の少女の表情はなかった。戦いの時にほんの垣間見せる練磨の戦士の表情をありありとにじませる。掲げた大剣には淡い焔が写り、決意を具現しているかのようだった。

シェイラ12/8 0:52:442184cfPSp9oKKU0aw||640
「ふふ」
 毛布に埋めながら、笑う。
「な、何で笑うんだよ?」
「何でもないわ」
 その言葉に首を傾げる。いきなり、その表情が元に戻ってしまってこれまた笑みが零れてくる。そして、ますます首を傾げる。
 ふと、彼女はまた表情をなくすと、今度は空を見上げる。当然ながら、青や白の景色はなく、黒の空に載っている金銀や光だけだった。
 瞬間に思い出していた。こんな空。あいつが居なくなる前日に、自分に何か言おうとしていた事を。

シェイラ12/8 0:53:162184cfPSp9oKKU0aw||508
月光の中に美しく長い黒髪をたゆたわせ、優しげにそして寂しげに笑いながら。
「ありがとう……。だからお前に、言いたいんだ」
 それからは、何を思ったのか彼が話をはぐらかせてしまっていたので真意は聞いていない。揺れる景色。空は何処までも、透き通っていた。答えはない。もう永久に。

シェイラ12/8 0:54:112184cfPSp9oKKU0aw||555
けれど、もうそれで、充分すぎた。ずきり、ずきり走る痛みに、何時の間に、自らの体を抱く手が強くなる。
 残酷な答えもう胸の中に。
「どうしたの?」
 はっと目の前には心配そうな顔。
「何でもないよ。本当に、何でもない」
 慌てて笑顔を取り繕い、抱く手を離し言葉を作る。
「そう」
 女性も何か思う所があるらしく何も言わない。

シェイラ12/8 0:55:102184cfPSp9oKKU0aw||588
 また沈黙が訪れる。赤い光が二つの丸いのを照らす。つと、女性がもう一つの毛布に手を伸ばすとその中の主の手を握った。
「何処にも行かないで。一人で悩まないでちょうだい。お願いだから」
 そちらを見つめずに女性はは言う。答えはない。代わりに肩に寄りかかる暖かみ。 向くと、微かな寝息と安らかな表情。
 暫時の沈黙。
「……私ただの馬鹿じゃないの?」
 ぶつくさ呟くと、自分の毛布を少し折り枕にする。そして、表情を緩めた。

シェイラ12/8 0:55:312184cfPSp9oKKU0aw||121
「お眠りなさい。今は、深い深い夢の底で、いい夢を見れますように」
 頭をなぜる。
 星の光の中、二つの影は夜が明けるまでいつまでもいつまでも一緒だった。

シェイラ12/8 0:56:312184cfPSp9oKKU0aw||72
○あとがき○
ファンタジー風な小説に挑戦してみました。かなり断片的に切り取って書いたので解り辛いものになっていると思いますが、読んで下ったら嬉しいです。感想などあれば、書いていただけると、大喜びで返信させていただきます(笑)

バルトーク12/8 22:32:472212cfBcsmysAsVME||321
こんばんわ^^はじめまして。
これまた実力派の方を発見ですヾ(・▽・*)

休息地のほうなのですが、端整な文体というか、凄いきれいだな〜と感じました。
設定も、個人的にツボでグッドです。
これだけの文字数ですが、彼女たちの目的や葛藤などが垣間見れて、なにやらおいしいトコ取りな感じですね(*`д´)b

詩のほうは、書く才能も読む才能もないので、あえて感想は控えさしてもらいますm(。。;)m
是非、この世界の広がりも読んでみたいな〜なんて思いました。
では、これで失礼します。

istint12/8 23:37:585919cfxIzOTjVq.zA||396
こんばんわー!シェイラさんの小説初めて見た…(´m`)
すごく綺麗な文で書かれてて読みやすいし、ストーリーにも入り込みやすいと思います!私も見習わないと…。
続きあるのかな?また機会があれば詠んでみたいです。
あ、それからプレゼントありがとーございまっす!
またクリスマスが終わるまでにお返ししますねっ
でわでわノシ

シェイラ12/10 1:14:122182cf6Z7GUL9uEis||388
バルトークさんへ
 あ、ありがとうございます!実力派な方とは……。勿体無いお言葉です。個人的には、直す場所や『ここの表現、おかしいんじゃないかなぁ(汗)』と不安に思っていた箇所が多いので、びくびくしていたのですが……。設定、大丈夫ですか?解り辛い場所が多いような気がしたので、嬉しいです♪ 
 次も、良いものを書けるよう努力しますので、よろしくお願いします♪


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