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9617セイクリッド・ブルー第四部(3)istint12/19 3:12:135870cfeyoZ4WKUZMQ
http://bbs.chibicon.net/bbs/t12-9569.html 前回のお話

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さて、ルヴィンたちはマシュル森の中間程の地点に来ていた。
レンティーニの代わりに新しくメンバーに加わったマサムネ、スネイクがルヴィンとニナを守るために周囲に目を光らせていた。
マサムネは亡国のスパイ、スネイクは盗賊団のボスということもあり、その仕事振りは申し分なかった。
また、マサムネは独特の剣術を使い、新しい技術をルヴィンに教えるという役割も担ってくれた。
マサムネの得意剣術は一撃必殺の居合いという剣術で、グランデュールのどこにもそのような剣を振るう者はいなかった。

istint12/19 3:13:375870cfeyoZ4WKUZMQ||79
居合いは、鞘に収めた刀の核力を、刀の刃と標的の身体が触れ合う瞬間からその身体を刃が通り抜けるまでの間、均等に爆発させることで刃の切れ味を極限まで高める技だ。
核力の最大容量だけで言えばルヴィンはレンティーニと比べても引けを取らなかったが、放出量に於いてはまだまだムラがあった。
その点、スネイクやマサムネは核力の容量は少なかったが、一度に放出する量、密度を巧みに操作できたのでスタミナもルヴィンよりも持続したし、破壊力も高める事が出来た。
ルヴィンは自分の核力をコントロールする術をスネイクたちに教わりながら、旅をしていたのだ。

istint12/19 3:13:525870cfeyoZ4WKUZMQ||970
ニナは元々素質があった上、日々魔力を高める修練を積んでいたので、アンシェントソーサリングを操る為に必要な準備は整っていた。
四人は密集する木を掻き分けながら進んでいた。
森の中では馬は扱いにくい為、徒歩での旅だった。

istint12/19 3:14:85870cfeyoZ4WKUZMQ||596
しかし、スネイクだけは、グランデュール城中庭での戦いで見せた、エア・ボードを持参していた。
このエアボードの原動力はスネイクの魔力だ。
静止している間は地面から一メートルほど浮くだけだが、うまく風を読んで操れば馬と変わらないスピードで走るし、魔力で上昇気流を作り、核力でそれをコントロールすれば高く飛び上がる事も出来た。

istint12/19 3:14:245870cfeyoZ4WKUZMQ||674
スネイクはたびたび上空から辺りの様子を伺い、安全を確認した。
ルヴィンも何度かエアボードを教わったが、浮かばせることも出来なかった。
スネイクがいつものように偵察にとぶと、その数分後くらいにこわばった表情で戻ってきた。
「ジスティ達が後を追けてきているぞ。」

istint12/19 3:14:325870cfeyoZ4WKUZMQ||342
ルヴィンたちの中に緊張が走る。
マサムネが落ち着いた声で訊ねる。
「ジスティとはあの死せる悪鬼の事でござるな。 
 数はどれくらいでござるか?」

istint12/19 3:14:455870cfeyoZ4WKUZMQ||547
スネイクがざっと見た限りでは五体くらいだったが、奴らは人とは違い、気配も影も持たない為、正確な数を把握する事は困難だった。
しかも、ジスティの中に一体、見たこともないモンスターが混じっていた。
四人は荷物をまとめると、駆け出した。
追いつかれてはまずいことになる。
ジスティだけでもこんな森の中では相手にすると面倒なのに、実力が未知数のモンスターを相手に戦うのは得策ではなった。

istint12/19 3:14:555870cfeyoZ4WKUZMQ||627
しかし、ジスティは骨だけになった疲れを知らない軍馬に乗っていたのでみるみる内に距離を詰められる。
「もう駄目だ!
 迎え撃とう!」
ルヴィンが叫ぶや否や、黒い矢が彼の頬をかすめた。

istint12/19 3:15:125870cfeyoZ4WKUZMQ||177
不気味な馬に跨ったジスティ達が続々と現れる。
しかし、七体のジスティは襲い掛かってはこなかった。
そして、ジスティの群れの中央からどす黒い肌の怪物が姿を現した。
怪物は片目が傷付いて塞がっており、右手には大きな斧を握り締めている。
斧を持ったほうの腕だけ異様に発達して肥大化していた。
口からは鋭い牙が見えていた。
身体はルヴィンの倍ほどの大きさだった。
しかし、ジスティと比べてもどこか人間のような雰囲気が残っているように感じられた。

istint12/19 3:15:455870cfeyoZ4WKUZMQ||789
「小僧オオオオオオオオ!
 会いたかったぜえ!」
そう、彼は姿こそ変わり果てていたが、あの聖蒼教団の団長、バルガスに違いなかった。
片目はルヴィンによって潰されたままにしていたのだ。
怪物はもう一度威嚇するように斧を振り上げて雄たけびを上げた。
森全体の空気が震えて木々が怯えているように見える。

istint12/19 3:15:565870cfeyoZ4WKUZMQ||863
スネイクは構わずバルガスに向けてナイフを飛ばした。
バルガスは高速で向かってくるナイフを摘み上げると粉々に握りつぶした。
「そう慌てるなよ、俺が用があるのはそこの小僧だけだ。
 お前等はジスティの玩具になってな。」

istint12/19 3:16:45870cfeyoZ4WKUZMQ||342
ルヴィンは本能的にバルガスの尋常ではない力を感じ取り、己の右腕に宿る青龍の力を解放した。
猛々しく迸る青い奔流を見てもバルガスは微動だにしなかった。

istint12/19 3:16:135870cfeyoZ4WKUZMQ||802
「それでいい、それでいい。
 俺の復讐はここから始まるんだ。
 お前を叩き潰した後はあのレンティーニだ!」

istint12/19 3:16:235870cfeyoZ4WKUZMQ||936
バルガスがルヴィンに大斧を振り下ろした。
ルヴィンは青龍のオーラを纏った剣でそれを受け止めたが、それでも斧の勢いは受けきれず足が地面にめり込む。
体中の骨が砕かれるような衝撃が走り、思わず後ろに飛びのいた。
飛びのくと同時にルヴィンは氷の槍を作り出してバルガス目掛けて撃ち出した。
バルガスはそれも素手で掴むと粉々に砕く。

istint12/19 3:16:465870cfeyoZ4WKUZMQ||477
「グフフ…あの小僧がここまでよく成長したものだ。
 しかし、闇の転生と肉体改造を受けたこの俺には青龍の力など通用せぬ!」

istint12/19 3:16:575870cfeyoZ4WKUZMQ||670
ルヴィンも今の一瞬の交戦でバルガスの力を確信した。
シェリフェルとは全く異質の直線的な攻撃だった。
ルヴィンもどちらかと言えば直線的な攻めを得意としていたが、青龍のパワーでも受け止めきれないとなると、攻め方を変えざるを得なかった。

istint12/19 3:17:185870cfeyoZ4WKUZMQ||623
周囲ではジスティたちとスネイクたちの戦いが始まっている。
バルガスの極度に発達し、肥大した右腕から繰り出される斧の斬撃は青龍のオーラでコーティングされた剣でも受けきれない。
一撃受け止める毎に態勢を崩してしまう。
ルヴィンは焦っていた。
青龍とのリンク率を上げれば何とかなるかもしれないが、白の塔の賢者から貰った腕輪でもその力を押さえきれない。

istint12/19 3:17:275870cfeyoZ4WKUZMQ||396
しかも、意識を青龍の支配下に置かれるだけではなく、ルヴィンの恐ろしいもう一つの力がここで解放されるかもしれない。
その力は破壊を望む力だ。
バルガスだけではなく、スネイクたちまで被害が及ぶだろう。
ルヴィンは周囲を見渡した。
幸い、スネイクたちは善戦しているようだ。

istint12/19 3:17:385870cfeyoZ4WKUZMQ||363
力でこそ劣るものの、スネイクは圧倒的なスピードでジスティの攻撃を寄せつけていない。
彼はジスティの剣を両腕の手甲で巧みにさばき、レンティーニすらも驚愕させた正確さでナイフを投げ、斬りつける。
彼のナイフは全身に隠されていて、普段は両手の指の間に挟んで殴りつけるように使っていたが、時には蹴りと同時にブーツに仕込んだナイフが飛び出したり、手のナイフを投げつけた直後に手甲の中に仕込んだ少し長めのダガーで攻撃する事も出来る。

istint12/19 3:17:575870cfeyoZ4WKUZMQ||169
スネイクはフォルク、アロンの大荒野にまたがる大盗賊団を纏める頭領だけあって、戦闘にも長けていた。
彼はナイフという短い武器を使っていたため、接近戦タイプだったが、正確な投げナイフの技がそのリーチのなさをカバーして、中距離攻撃も可能にしていた。
しかも彼の戦法はあの聖蒼教団の猛将軍『カーティス』によって鍛えられ、更に荒野で生き延びていく為に自然に身につけたアウトローだが無駄の無いものだった。
その為、彼にはジスティの不規則な剣線もみえていた。
いや、むしろ荒くれ者達の中で生きてきた彼にとってはカーティスのような正統剣法を極めた敵よりこういった相手のほうがやりやすかったのだ。

istint12/19 3:18:95870cfeyoZ4WKUZMQ||745
一方マサムネは目を閉じたまま、腰の鞘に収めた刀の柄を握り、ジスティの攻撃に寸分違わずその刀を抜き放ち、ジスティの腕を、胴を切り裂いていく。
マサムネは空気の流れなどで敵の動きを察知していたので相手が誰であろうと関係ない、といった様子だった。
彼の剣の型は完全に敵の攻撃に合わせてカウンターを叩き込むものなので、一撃必殺でいて、必中の技だ。
証拠に彼は最初の立ち位置からほぼ動いていなかった。

istint12/19 3:18:245870cfeyoZ4WKUZMQ||737
しかし、今度は二頭の騎馬ジスティに挟み撃ちにされる。
その時初めてマサムネは真上に飛び上がった。
一方のジスティはそれを目掛けて恐るべきスピードで矢を放つ。
もう一方のジスティは生前身につけていたであろう、炎の魔法を剣をふるって飛ばす。

istint12/19 3:18:405870cfeyoZ4WKUZMQ||387
マサムネは腰の鞘を左手で外し、肩に乗せるように構えた。
そしてカッと目を開くと「居合い・月嬰」と奥義の名を口にし、横薙ぎではなく、縦に振り下ろす居合いを見せた。
彼の居合いは先に放たれた矢、魔法よりも速く、その剣速は矢と炎を跳ね返し、ジスティの兜を割った。
それと同時に真後ろで剣を振りかぶっていたジスティの剣を鞘で受け止め、真っ直ぐ首に刀を突き刺した。
「居合い・扇陽」マサムネはそうつぶやくと、いつもより身体を後方に捻り、また腰に戻した鞘から遠心力たっぷりの一撃を加えて馬ごとジスティを胴斬りにした。

istint12/19 3:18:535870cfeyoZ4WKUZMQ||224
その後も彼は縦と横の居合いを巧みに使い分けてジスティを圧倒する。
ニナは賢者に貰った杖で地面に描いた守護法円と呼ばれる丸い陣の中で何かを唱えていた。
守護法円の中には闇に属するものは立ち入る事は出来ない。
ニナが呪文の詠唱を終え、カッと目を見開くと、手に持った杖が青白く輝き出した。

istint12/19 3:19:115870cfeyoZ4WKUZMQ||631
「ルヴィン、退きなさい!」
ニナの声を聞いたルヴィンは咄嗟に地面を転がって防御の姿勢をとった。
ニナがバルガスを睨みつけて杖から強力な魔力を迸らせた白球を放った。
この白球は聖の属性を持つ魔法、「ホーリー」。
闇の眷属に対して絶大な威力を誇る魔法だ。
それは闇の転生術を施されて生まれ変わったバルガスとて例外ではなかった。
「バルガス!覚悟!」

istint12/19 3:19:225870cfeyoZ4WKUZMQ||55
ジスティ達はその光を見ただけで顔を押さえて苦しみ出した。
そこを一挙に二人が叩き潰していく。
バルガスは避けようとしたが、足が動かなかった。
不審に思い、足元を見ると足と地面が固く氷で繋がれていた。

istint12/19 3:19:365870cfeyoZ4WKUZMQ||337
「グ…ぐがああああ!!こ…小僧おおおお!」
バルガスは異常に肥大化した腕で白球を押さえつけた。
一瞬、白球の動きが止まったが、すぐに右腕の崩壊が始まった。
バルガスの表情が苦痛に歪む。
右腕からシュウシュウ音を立てて湯気が出る。

istint12/19 3:19:525870cfeyoZ4WKUZMQ||843
しかしホーリーの魔力も徐々に空気中に霧散していき、小さくなっていく。
そして遂にバルガスは渾身の力を振り絞ってホーリーの魔力を打ち消してしまった。
勝利の笑みを浮かべるバルガスだったが頭上に何かの気配を感じ、空を見上げた。
ルヴィンがすかさず飛び上がってバルガスに斬りかかったのだった。
バルガスが気付いた時にはもう遅かった。
ルヴィンの剣は青龍の気をたっぷり吸った一撃だったので、バルガスの弱った右腕はその破壊力に耐え切れずに斬りおとされた。

istint12/19 3:20:45870cfeyoZ4WKUZMQ||678
「う…うぐあ…」
バルガスは肩を押さえてよろめいた。
ルヴィンは止めを刺そうと刃を返してバルガスの胴に剣を振り上げた。
バルガスは森中に響き渡るほどの断末魔の悲鳴を上げた。

istint12/19 3:20:145870cfeyoZ4WKUZMQ||160
スネイクたちもルヴィンが勝利したと思い、肩の力を抜く。
ルヴィンは力を込めてバルガスの身体を真っ二つにしようとする。
しかし、川の流れを逆流させるほどのルヴィンの剣を以ってしてもそれを振りぬくことは出来ない。
スネイクが異変に気付いてルヴィンに向かって叫んだ。

istint12/19 3:20:275870cfeyoZ4WKUZMQ||410
「ルヴィン!そいつから離れろ!」
ルヴィンは胴に食い込んだ剣を抜こうとしたが、どんなに力を込めて引っ張っても抜けない。

istint12/19 3:20:375870cfeyoZ4WKUZMQ||584
バルガスは口から泡の混じった血を吐き出しながら笑った。
「グフフ、残念だったなあ。
 闇の手術を受けた俺の身体はその程度の攻撃で滅ぼす事は出来ぬわ。
 フフフ…俺は四聖獣の力すらも超えた!!
 小僧ども、遊びはこれまでだ。」

istint12/19 3:20:515870cfeyoZ4WKUZMQ||673
バルガスの肩からシュルシュルと数本の触手が伸び、見る見る内に右腕が再生する。
ルヴィンは危険を感じて即座にその場から飛びのいた。
バルガスの右腕の一撃が先ほどまでルヴィンのいた地面に大穴を空けた。
ルヴィンはレンティーニに教わった通りに全身を魔力の膜を張り巡らしていて、急な気の流れを察知する事ができたのだ。
目に魔力を集中させるとバルガスの全身からおびただしい量の闇の気があふれ出しているのが見て取れた。

istint12/19 3:21:05870cfeyoZ4WKUZMQ||869
ニナはまだ魔力に余裕があったが、次の一手を決めかねていた。
なぜなら、ホーリーが通じないと次に出せる魔法はそれを越える破壊力のものでなければならない。
そして、ニナが操れる最高の魔法は彼女が最も得意とする炎のアンシェントソーサリング『プロミネンス』。
しかし、この魔法は炎の属性を持っている為、ルヴィンの基本属性の氷(青龍)と相克の関係にあるため、この場で使用することは出来ない。

istint12/19 3:21:115870cfeyoZ4WKUZMQ||73
マサムネとスネイクがルヴィンの横に並んだ。
スネイクがバルガスに向かって手に持ったエアボードを向ける。

istint12/19 3:21:245870cfeyoZ4WKUZMQ||59
「おっさん、俺たちを倒さねえ事にはチェックメイトとはいかねえよ。
 もうちっと付き合ってくれや。」
そしてルヴィンに向かって小声で囁いた。
「おい、ルヴィン、今から俺とマサムネで時間を稼ぐから何かいい方法を考えろ!
 あいつの再生能力は半端な力で攻撃しても無駄だ。
 俺とマサムネには悔しいが一撃であいつを粉砕できるような大技はねえ。
 いいな、お前が決めるんだ。」

istint12/19 3:21:365870cfeyoZ4WKUZMQ||793
マサムネはルヴィンの肩にそっと手を置いた。
「心配なさるな。
 ルヴィン殿はご自分でも判らぬほどの潜在能力を秘めておられる。
 拙者たちも簡単にはやられはせぬよ。」
ルヴィンは静かに頷いた。

istint12/19 3:21:585870cfeyoZ4WKUZMQ||790
スネイクがエアボードに魔力を込めて飛び出した。
その瞬間、マサムネとスネイクの身体を光が包む。
ニナの防御魔法だ。
二人の肉体は活性化され、体力が徐々に戻っていった。
バルガスはスネイクを叩き潰そうと斧を振り上げたが素早いスネイクの動きを捕らえる事が出来ない。
スネイクは風の魔力を巧みに操り、バルガスを翻弄する。

istint12/19 3:22:115870cfeyoZ4WKUZMQ||549
「…一撃だけだからな、カリ。」
そういうと背中に差していた大きな両手持ちの剣を抜いた。
地上最強の物理攻撃力を誇る原子振動剣、インヴァリッドだ。
この剣は強度は生体金属に劣るが、相手の防御を完全に無視するという特性を持っていた。
それは剣自体が衝撃と同等の波長の振動を生じるためで、使用者の腕にもかなりの反動が起きる。
スネイクの今のレベルでは二、三度振るのが限界だった。

istint12/19 3:22:235870cfeyoZ4WKUZMQ||650
カリの話ではそれ以上衝撃を受けると腕の骨が粉々になるそうだ。
スネイクの攻撃は受け止めようとしたバルガスの斧をすり抜けて彼の頭の骨を削ぎ落とした。
しかしスネイク自身も反動に口元をゆがめる。

istint12/19 3:22:355870cfeyoZ4WKUZMQ||690
すかさずその攻撃に合わせてマサムネがバルガスの腹に刺さったままのルヴィンの剣を抜いて、放り投げた。
スネイクはそれを空中で受け取り、ルヴィンの方へ投げる。
マサムネはバルガスの攻撃を見事な体さばきでかわし続ける。
バルガスの攻撃速度もスネイクの攻撃によって僅かに鈍っているようだった。

istint12/19 3:22:545870cfeyoZ4WKUZMQ||708
「おのれえ!ちょこまかと…まとめて粉々にしてくれるわ!」
バルガスは右腕を更に肥大化させて溜まった核力を一度に爆発させた。
渦を巻いた気の嵐がスネイクとマサムネを吹き飛ばした。
「ぬう…なんと凄まじい…」
マサムネとスネイクは辛うじて反応したので直撃は免れていた。
しかし、二人ともニナの防御魔法が掛かっていない状態ならば致命傷だっただろう。
態勢を立て直しきれていないマサムネにバルガスが襲い掛かる。

istint12/19 3:23:55870cfeyoZ4WKUZMQ||825
バルガスは大柄だがスピードも優れていて、ムスティン程ではないが、即座に相手の背後や左右から攻撃を仕掛ける事が出来た。
マサムネも辛うじてその刀で攻撃を受け流す。
苦戦を強いられていた。

istint12/19 3:23:165870cfeyoZ4WKUZMQ||897
ルヴィンは賢者に貰った腕輪を使い、青龍と自分の核力をリンキングさせていた。
青龍がルヴィンに語りかける。
(我が主よ、これ以上何をしようというのだ。
 我が力を完全に制御するにはまだ幼すぎる。
 もうじきその限界を超えてまた意識を失うぞ。)

istint12/19 3:23:265870cfeyoZ4WKUZMQ||299
「判ってる、判ってるよ。
 …けどこのままじゃどうせ全滅だ。
 心配するな。
 これ以上はお前には頼らないから。」

istint12/19 3:23:385870cfeyoZ4WKUZMQ||199
(…ではどうするつもりだ?)

istint12/19 3:23:585870cfeyoZ4WKUZMQ||883
ルヴィンは右腕に限界まで溜まった青龍の核力、魔力を必死に押さえ込んでいた。
腕がブルブル震えて全身から汗が大量に吹き出してきた。
「こうするの…さ!」
そういうとルヴィンは自分自身の核力を使い、あふれ出る青龍の気を少しずつ全身に行き渡らせていく。
そう、ルヴィンは青龍の力を制御出来るギリギリまで引き出し、更にそこに自分の力を上乗せしたのだ。
この技術は誰に教わったのでもない。
彼が、危機に直面して自ら編み出したのだ。

istint12/19 3:24:75870cfeyoZ4WKUZMQ||147
レンティーニがブラックウルフと同化し、更に自分の意識の支配下に置くまでには彼の戦闘センスを以ってしても五年の歳月を費やした。
それを、不完全とはいえルヴィンはこの一瞬でやってのけたのだ。
「よし!
 これならあいつとも渡り合えるぞ。」

istint12/19 3:24:215870cfeyoZ4WKUZMQ||192
そう言うとルヴィンはスネイクたちが取り返してくれたノスリの剣を手にした。
世界最強の金属、生体金属で出来た剣はルヴィンの手にスッと吸い付いた。
(考えたな…しかし今の状態ではまだアブソリュート・ゼロの開放は出来ぬ。
 レベル3までの法術を開放しよう…)(※アブソリュート・ゼロは聖獣兵器のレベル5)

istint12/19 3:24:395870cfeyoZ4WKUZMQ||372
「ありがとな、青龍!
 じゃあ早速…」
ルヴィンは剣を構えて魔力を集中した。
ルヴィンの頭の中に次々と青龍の兵器開放コードが流れ込んでくる。
「レベル2…プリズン!」
ルヴィンが魔法を放つと、バルガスの周囲の水分が凍りつき、いびつな形の檻が出来上がった。
檻は巨大な氷の塊で、バルガスの攻撃を受けても少し表面が欠けるだけだった。

istint12/19 3:24:525870cfeyoZ4WKUZMQ||319
「おのれえええ!
 これで勝ったつもりかあああ!」
バルガスはまた右腕に闇の力を集中した。
右腕は膨れ上がり、黒く変色していく。
「がああああ!」
バルガスは極限まで高めた核力を放出した。

istint12/19 3:25:25870cfeyoZ4WKUZMQ||643
ルヴィンはスネイクとマサムネを守るために飛び出した。
巨大で分厚い氷の檻を破壊し、地面を抉りながら凄まじい威力の核力が飛んでくる。
ルヴィンは正面から迎え撃つ気だった。

istint12/19 3:25:185870cfeyoZ4WKUZMQ||150
「いくぞ!
 レベル3…タイラント!」
魔法を放った途端、ルヴィンの身体からノスリの剣へと全身の気が流れていく。
剣一点に凝縮された核力は眩しく輝き、バチバチ音をたてている。
ルヴィンは地面を削りながら剣を全力で振り上げた。
剣の切っ先は音速を超え、衝撃波を生じた。
衝撃波はバルガスの放った気弾を切り裂き、バルガスの胴を斜めに斬り離した。

istint12/19 3:25:325870cfeyoZ4WKUZMQ||228
しかし、バルガスの身体はまだ再生しようとしている。
ルヴィンはバルガスの方へ左手の掌をスッとかざし、そして気合を込めて握り締めた。
すると、最初に放った魔法、プリズンの破片が勢いよく槍のように一斉にバルガスに突き刺さった。
破片の一つ一つが人間と同じくらいの大きさだったのでバルガスの身体は潰れて氷の山に埋もれてしまった。

istint12/19 3:25:455870cfeyoZ4WKUZMQ||372
スネイクはそれを見届けるとその場に大の字になって寝転がった。
「あーあ、こんなしんどいのはもうごめんだな。」
マサムネもすぐ横になりたいのを我慢しながらルヴィンを褒め称えた。
「見事であった。
 ルヴィン殿は良く成長なさった。」

istint12/19 3:26:25870cfeyoZ4WKUZMQ||988
ニナが慌ててルヴィンに駆け寄り、身体を支える。
ルヴィンはそっとニナの腕をほどくと子供のように笑った。
「大丈夫、今度は倒れないよ。」
ルヴィンが剣を鞘に直そうとして、突如身震いした。

istint12/19 3:26:165870cfeyoZ4WKUZMQ||158
大気が僅かに振動している。
木々がざわめき、やがて低い唸るような音が耳に入ってきた。
スネイクがエアボードで木の上に上がって、程なく降りてきた。
落ち着きを取り戻そうとしていたが、彼の息は荒い。
そして一気に溜めていた言葉を吐き出した。

istint12/19 3:26:265870cfeyoZ4WKUZMQ||93
「サリエナの大艦隊だ。
 戦争が始まる。」

istint12/19 3:29:505870cfeyoZ4WKUZMQ||17
今回はここまでです。
いつも感想ありがとうございます。
最近何だか長くなって読み辛いですね…。
一話一話をもう少しコンパクトにまとめないと。
良かったらまた続き読んでください。
シェイラさんの詩は次の章のオープニングとかで使ったらすごくかっこいいだろうなあ、なんて思ってます。
またシェイラさんも詩とか書いたら読ませてくださいねー

シェイラ12/19 5:31:352191cfRPKfuarlpfk||25
こんにちわ〜。早すぎる時間に失礼します♪今回はみんな大活躍で嬉しかったです!特にスネイクがかっこよくて嬉しいです!自分はスピード感がある表現が出来なくていつも苦労しているんですが、 istint さんはうまいですよね。今回の作品にも戦闘シーン全くなしです(´▽`*)アハハ 次も読ませていただきます☆次の章のオープニングですかΣ(゚Д゚;それはとても幸せデス。はい。プレゼントありがとうございます。全くお返し出来ずにすいません。これからも、よろしくお願いします☆

バルトーク12/19 22:38:382212cfBcsmysAsVME||972
こんばんわ^^読ませていただきました。
前回の巻末についていた説明を読んでなを、この世界観が深く構築されているな〜と感じました。いや、ここまで世界観を作れるなんて感服です(・艸・*)

今回のお話、敵のバルガスですが、力任せな感じとバカっぽそうな名前がいい感じです(オイ
それに自己再生能力を持ってるなんて、なんとも素適じゃないですか。
まぁ、ベストキャラはマサムネさんですけど。渋いキャラ大好きです。
次回も頑張って下さい。


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