9632 | 穢れた世界 | ジョルジュ長岡 | 12/20 22:26:32 | 2181cfGybU8P0uYyo |
汚らしい不精髭。整えない髪型。 いつから人の目を気にしないようになったか。 すっかり廃人のようになった俺。 この部屋を理想郷として、外界と鎖国していた。 極楽へのチケットの尽きた今日、俺はすこぶる機嫌が悪かった。 吐き気がするほどの頭痛と、納まらない苛立ちを耐えて、 無理矢理に眠りに就いた。 |
ジョルジュ長岡 | 12/20 22:26:41 | 2181cfGybU8P0uYyo||830 | ||
――――空腹 しばらくして浅い眠りから覚めた俺は、 人間の持つ最も単純な欲望を覚えた。 のっそりと立ち上がると、世界が一周。否、目眩。 食物を求め、部屋から出る。 この姿はさながら山から里に下りて来る熊のようだ。 居間には誰もいないだろうか。 もうすっかり、家族との会話も無くなった。 同じ家で生活しているだけ。それでさえも実感できなくなっていた。 |
ジョルジュ長岡 | 12/20 22:27:8 | 2181cfGybU8P0uYyo||753 | ||
家族。こんな言葉に思い浮かぶのは。 他の女性に安らぎを求め去った父でもない。 祖父の遺産を食い潰し、魂をすり減らして生きる母でも無い。 唯一、俺を慕ってくれる妹。 目を瞑ると、たとえ何年前の事でも、 昨日の事の様に、鮮明に浮かぶ記憶の数々。 誕生日の贈り物だと、可愛いがセンスの悪い鋏。いつでも服のポケットに潜めている。 バレンタインデーだと、彼氏にあげる予定だった失敗作を食べさせられた。 |
ジョルジュ長岡 | 12/20 22:27:20 | 2181cfGybU8P0uYyo||227 | ||
俺が仕事を首になった時も、笑って慰めてくれた。 今の俺は、本当に駄目な男だと思うが、 あいつの為になら変われそうな気にもなれた。 あいつにだけは幸せになってほしかった。 彼氏でもできたら、俺が嫉妬で大変かもな。 と多少自虐気味に呟いてみた。 |
ジョルジュ長岡 | 12/20 22:28:2 | 2181cfGybU8P0uYyo||480 | ||
部屋の様子がおかしい。何故だか分からないがそのような気配がした。 何より部屋の隅を、見たことも無いような蟲が湧いている。 そして異様とも思える雰囲気。黒い殺気。 そっと居間の戸を開く。ゆっくり、だけど勢い良く。 その時、俺の目に一番に映ってきたのは……。 あってはならないもの。悪魔とも異なる。異質。 腐乱した人間が立っていた。死んでいるのか生きているのか。 俺の方に向かって歩いてくるので、俺は混乱しながらもそれを突き飛ばした。 |
ジョルジュ長岡 | 12/20 22:28:13 | 2181cfGybU8P0uYyo||49 | ||
頭を打ったのか、それは立ち上がらない。 何が起こっているんだ…。まるで映画に出てくるゾンビじゃないか。 母の面影が残っているゾンビからは、悪臭が漂っていた。 俺は直感で逃げようと選択した。この草臥れた体力で、どこまで行けるのか。 何年ぶりだろうか、家から出ると、まるで浦島太郎だ。 全てが違う。街中と思われる中にゾンビがたむろしていた。 ふと目に入った鉄の棒が、武器になりそうだ。 |
ジョルジュ長岡 | 12/20 22:28:27 | 2181cfGybU8P0uYyo||985 | ||
俺に近寄るな。 棒を振り回しゾンビ達を威嚇し、必死に走るがすぐに息切れする。 家から、どれほど離れただろうか。誰にも気づかれそうない裏通りでへたれこんだ。 どこに逃げようか。一人でどこまで行ける。…一人? 「馬鹿か俺は!」 きっと家に取り残されているだろう。妹を救いに走った。 |
ジョルジュ長岡 | 12/20 22:28:42 | 2181cfGybU8P0uYyo||408 | ||
ゾンビの群れは残っている。いや、さっきよりも増えているような気がする。 町民広場までこれたが、四方八方ゾンビに囲まれると逃げられそうに無い。 いきなり後ろから、ゾンビに両腕を掴まれ、俺の唯一の武器を奪い取る。 前から、またゾンビが近づいてくる。 どけ。 よるな。 おれはいもうとをたすけなければ。 |
ジョルジュ長岡 | 12/20 22:28:52 | 2181cfGybU8P0uYyo||866 | ||
その時、二匹のゾンビにつれられて、天使が歩いてきた。 目が眩むほどの後光が射していたが、見間違うはずがない。 俺の大事な、大事な妹。 それなのに、ゾンビの両脇で抵抗もせずに、 俺のことを可哀相な目で見ている。 ああ…お前までそっちの仲間になってしまったのか。 助けられなかったよ…ごめん。 ぞんびになってみにくくなるくらいならいっそのことおれが――――。 |
ジョルジュ長岡 | 12/20 22:29:18 | 2181cfGybU8P0uYyo||976 | ||
「街中で暴れている男です。間違いありませんね?」 「…はい。私の兄です……。」 私は信じられなかった。兄があのような形相で、私を睨み付けている。 暴れている男がいるというので、まさかとは思ったが、兄の部屋から気配もない。 警官に捕まえられている兄は、観念したのか急に項垂れた。 |
ジョルジュ長岡 | 12/20 22:29:27 | 2181cfGybU8P0uYyo||484 | ||
どうしてこんなことになってしまったの。 強制退職させられた理不尽さに納得いかず、 薬物に溺れていく兄を救えなかったのは私の弱さ。 ごめんなさい。助けられなくてごめんなさい。 本当に…なんて言えばいいのか。大好きな兄の、悲しい姿。 |
ジョルジュ長岡 | 12/20 22:29:39 | 2181cfGybU8P0uYyo||791 | ||
刹那。すっかり油断していた警官の掴む手が緩んだとき、 それを振り払って、私に向かってくる。 彼はポケットに手を突っ込んで。 了 |
ジョルジュ長岡 | 12/20 22:40:19 | 2181cfGybU8P0uYyo||257 | ||
反省@途中の描写が疲れた感出ている。 Aやっぱり推敲は大切。 良ければ感想・批評をいただけると 夜も眠れないほど嬉しいです。 |
バルトーク | 12/20 23:3:5 | 2212cfBcsmysAsVME||620 | ||
こんばんわ。初めまして^^ このお話を読んだきっかけは、名前から「長岡の人ですか?」な印象からでしたw よくよく読んでみると、救いようのない話じゃないですか。悲しくなっちゃいますよ(TεT) 全編に漂うダークな雰囲気が魅力でもあるのでしょうが。 一つのお話としては、まとまっていますし、一人称の使い方なんかとても上手だな〜感じました。 やっぱり推敲は大事ですよね(゜^゜)(。_。)ウンウン これからも頑張って下さいv |
ジョルジュ長岡 | 12/20 23:48:35 | 2181cfGybU8P0uYyo||547 | ||
_ ∩ ( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい! ⊂彡【ジョルジュ長岡】 この人です 長い話読んでくれてありがとう。 |
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