8482 | 真夜中のスクールメイト―全員遊戯― | 空華 | 6/17 12:22:41 | 2031cfugNPyUOK282 |
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空華 | 6/17 12:25:29 | 2031cfugNPyUOK282||913 | ||
「そこ、行ってみたいな」 エリスのその一言から、全ては始まった。 なんかもう昼夜構わず出てくるようになった、毎度おなじみの魔界メンバーと、2-Gにて。 休日だが、部活動で学校に来ている響―バスケ部員だ―と、ついてきた晴陽。 水筒に口をつけて、中身を飲んでいる響。 にこにこと、先週行ったらしいキャンプ場の写真を広げる晴陽。 そしてエリスが指差したのは、晴陽が広げた写真の1枚だった。 延々と広がる芝生。所々に、花らしきものも見える。 ただ、それだけなのだが。 「なんか、ただっぴろくて気持ち良さそう」 「そう?……たしかに広かったけど、印象には残って無いかなー」 |
空華 | 6/17 12:25:57 | 2031cfugNPyUOK282||311 | ||
小首を傾げる晴陽と、こころなしか目を輝かせるエリス。 と、その横合いから、ジーンが顔を出した。エリスの見ていた写真を手に取ると、それを眺める。 「ふーん……魔界には、こういう所ないしな」 「そうですよね。わたしもここ、ちょっと行ってみたいです」 メアが写真を見上げて、肯定する。 成り行き上、他の皆―千冬を除く―もそこへと集まった。 それを、椅子に座った晴陽・響が見ている。 キャンプかと千冬に聞かれて、晴陽は頷いた。 「はーるひぃー」 「きゃあっ?」 |
空華 | 6/17 12:26:33 | 2031cfugNPyUOK282||550 | ||
唐突に背後からのしかかられて、晴陽が軽く声を上げる。 いつのまに移動したのか、エリスが晴陽に覆い被さっていた。 まるで子供のような口調で、言う。 「連れてってー?」 「無理だろ」 「無理だな」 呟いたのは晴陽ではなく、その傍らの響。 それとほぼ同時に言ったのは、やや遠巻き気味に騒ぎを眺めていたラドだった。 晴陽が「重い……」と呟くのを無視して、エリスは彼女の上で泣き真似をする。 「晴陽ー、響とお兄ちゃんがいじめるー」 「まあまあ、エリス……いじめる気で言ったのではないと思いますよ?」 おっとりとした口調で、ティフがフォローする。 |
空華 | 6/17 12:28:32 | 2031cfugNPyUOK282||33 | ||
ようやくエリスは晴陽の上から退いて、軽く跳ねるようにしてティフの方へ行く。 「ねー、ティフも行ってみたくない?」 「気になりはしますけれど」 「……ほら、みんな、行きたいって言ってるのにー」 「いや、俺に言われても」 ひらひらと軽く手を振って、心なしか目を逸らしつつ響が言う。 続いてエリスはラドに目を向けるが、彼にも目をそらされた。 彼女は次に、ジーンに泣きつく。 彼は世にも困った表情で、視線を無意味に上向けた。 「目立つ……よな?」 「当たり前じゃない」 |
空華 | 6/17 12:28:57 | 2031cfugNPyUOK282||38 | ||
「……まあ、そうよね。ジーンとかエリスとかはともかく、ティフの白髪とか、メアの狼耳とか。 千冬はもともと、あんまり人に見えないらしいけど」 きっぱりと、呆れた風に言い切った千冬の横から、付け足すように晴陽。 うー、と呟くエリス。 そんなとき、ラドが一言、ぼそりと呟いた。 「……んなに行きたいなら、魔術でも使えば」 そっけなく言ったつもりなのだろうが、エリスは表情を明るくした。 離れたエリスを見ながら、ジーンが軽く手を打つ。 |
空華 | 6/17 12:29:17 | 2031cfugNPyUOK282||629 | ||
「なるほど、その手があったか」 「ジーン、エリス……やり方、分かるんですか?」 「そうですよ。お二方とも、勉強中じゃ……」 ティフとメアに言われた二人が、固まる。 晴陽はそれを少し面白そうに、響は少し呆れたように、見ていた。 そして千冬は、 「……ラドがやれば良いじゃない、それ」 確かに正論。 *** 「……なんで俺が、こんなこと……」 |
空華 | 6/17 12:32:16 | 2031cfugNPyUOK282||458 | ||
ぶつぶつ言いながら、ラドが何やら書いた紙を作っている。 それを楽しげに、教室に貼るジーンにエリス。 にこやかに手伝う、ティフとメア。 晴陽も、そして引張られて響も、千冬も。 「空間魔術だっけ」 「そ。空間の一部を、別のものに変えるってやつ」 「……ラドの方が上手なんだ」 「うん、お兄ちゃん頼み」 認めるエリスを、響は溜め息混じりに見やる。 彼女はあっけらかんと笑った。 ……そして、十数分後。静かなラドの声が、完全にとじまりされた教室内に響いた。 『現世に夢を。この地にまやかしの色を。来たるはただ幻。 今、現を夢を謳う。混ざりし2つの狭間に、世界を』 |
空華 | 6/17 12:42:11 | 2031cfugNPyUOK282||123 | ||
+後書き+ 読んでいただき、有難うございました^^ 久しぶりに、晴陽と響が出てきました。あと、ラドも。 今回も、前後編です。 これの後編で、番外編は終わりです。 次の話の予告を、軽くしますね。 視点は再び晴陽・響側。 日直の晴陽と、彼女に付き合わされた響は、噂のある理科室の戸締りに入る。 そこに、魔界の言葉を話す青年が居て…… な感じです。詳細は、お楽しみに^^ |
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